『ボッシュ』『ジャック・ライアン』など…“おじさん主人公”の海外ドラマが連続ヒットの理由は?

ここ近年、ますます競争が激化しているストリーミングサービス界では、Amazonの『BOSCH/ボッシュ』やスパイスリラードラマ『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』、Apple TV+の歴史改変ドラマ『フォー・オール・マンカインド』など、中年男性を主人公にした、視聴者としてお父さん層を狙った作品が目に付く。米Varietyのライターであるマイケル・シュナイダーが、その理由を分析している。

男性視聴者を引き付けるドラマとは?

ストリーミングサービスが台頭し始めた当時、NetflixやAmazonをはじめとするプラットフォームは、地上波局との区別化を図ることにフォーカスしていた。だが、ここ近年で配信サービスは広告を導入し始め、以前はあえて避けていたように見える、『NCSI ~ネイビー犯罪捜査班』を代表する1話完結のシリーズなどの製作を始め、地上波放送局のスタイルに回帰しているように見える。

その先駆者と言えるのが、中年刑事を主人公にしたAmazonの犯罪捜査ドラマ『BOSCH/ボッシュ』ではないだろうか。1シーズンをかけて一つの事件を解決するアンソロジースタイルの本作は、7シーズンにわたって製作され、Amazon Prime Videoで最長寿シリーズとなった。この成功は、1話完結のドラマシリーズや1シーズンで終わるミニシリーズを好む傾向にある、お父さん層を視聴者として取り込めたことも理由の一つとして挙げられている。『BOSCH』は、本家終了後に登場したスピンオフでシーズン3までの更新が決まっている『ボッシュ:受け継がれるもの』も人気を博しており、新たなスピンオフ企画も進行しているほどだ。

またシュナイダーは、CIA捜査官の活躍を描く『ジャック・ライアン』や、自分の土地を守るために闘う大地主を主役にした『イエローストーン』、宇宙飛行士を中心にした『フォー・オール・マンカインド』などは、社会的にステータスのある中年男性が主人公であることにも注目している。これらの作品は、視聴者の心を掴んで離さない謎や魅力的なキャラクター、訴えかけるストーリーが特徴だ。視聴者層のなかでも、特に割合が高いのが40代以上の男性だが、この手の番組は老若男女問わずにアピールする要素も多く、ヒットに繋がっているのではないかと見られている。

配信サービスでは上述の番組のほか、シルヴェスター・スタローン主演でギャングを描く『タルサ・キング』、ジェレミー・レナー(『アベンジャーズ』シリーズ)演じる市長が汚職や差別と闘う『メイヤー・オブ・キングスタウン』、ハイジャックされた飛行機を救おうとする公証人を描くイドリス・エルバ主演の『ハイジャック』など、中年男性を主人公にした、お父さん層の心をくすぐる作品が次々にリリースされている。

自身も父親だというシュナイダーは、特に『フォー・オール・マンカインド』のファンだそうで、この歴史改変ドラマシリーズが、いかにこれまでの作品と違っていて素晴らしいかを、自分の息子と語り合っているのだとか。「その番組について、子どもと会話が出来るかどうか」が、最高のお父さん向け番組だと結論を出していた。

『ハイジャック』『フォー・オール・マンカインド』はAppleTV+で、『BOSCH/ボッシュ』『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』はAmazon Prime Video、『メイヤー・オブ・キングスタウン』はParamout+で配信中!

(海外ドラマNAVI)

参考元:Variety

Photo:Amazon Original『BOSCH/ボッシュ』/『トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン』シーズン3 © Amazon Studios/Apple TV+『ハイジャック』『フォー・オール・マンカインド』