『9-1-1』長時間勤務後に亡くなったスタッフの死因が明らかに

2024年6月22日 2024年6月20日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

2018年に米FOXにてスタートし、今年3月からは新たな放送局の米ABCでシーズン7が放送されている人気の救命ドラマ『9-1-1：LA救命最前線』。同作のスタッフが長時間勤務の後に車の事故で亡くなったことが明らかになった。米TV Lineなど複数のメディアが報じている。

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以前からの問題が事故の原因？

『9-1-1』でカメラ機材を支えるサポートスタッフ（グリップ）として勤務していたリコ・プリームは、今月10日（金）の深夜から翌11日（土）の朝にかけて14時間夜勤で働いた後、車の事故により11日早朝に亡くなった。

クルーはカリフォルニア州ポモナでロケをしていた。カリフォルニア・ハイウェイ・パトロールによると、66歳のプリームは長時間勤務を終えて帰宅すべく、トヨタのハイランダーでサン・ディマスの高速道路57号線を北上していた時、原因は不明だが車道から外れて堤防に乗り上げ、車がひっくり返ったとのこと。プリームは現場で死亡が確認された。

プリームの死因は長時間労働後に居眠り運転したためかと思われたが、1ヵ月あまり経った6月中旬、本当の死因が明らかに。検死報告によれば、彼は左心房肥大により心臓発作を起こしていたという。毒物検査の結果、アルコールやドラッグといったものは検出されておらず、自然死という結論に。

事故の直後、同作の制作スタジオである20th Televisionは、「スタジオと『9-1-1』の皆を代表して、リコ・プリーム氏のご家族とご友人に心から哀悼の意を表します」と声明を発表。米Hollywood Reporterによると、プリームが所属していたユニオン、クルー・ユニオン IATSE ローカル80は、こう述べた。「我々はすべてのメンバーの安全と幸福のために全力を尽くしており、メンバーの家族に心から哀悼の意を表します。労働者には、安全に出勤し、安全に帰宅するという当然の環境が与えられるべきです。日々の生計を立てようとしている中で、安全ではない環境に置かれるべきではありません」

なおユニオン側によれば、プリームは2日続けて14時間勤務をしたところだったという。1997年にあるスタッフが19時間連続勤務の後で帰宅途中に交通事故を起こして亡くなったことから、国際映画劇場労働組合（IATSE）は長時間勤務が居眠り運転を引き起こす危険があるとして警告を発していた。プリームは同作のほかにも、『リスキーな結婚相手』『S.W.A.T.』『シャン・チー／テン・リングスの伝説』『ゴーストワールド』といったドラマ、映画の現場で働いていた。

この悲劇的な事故にキャストも反応している。アシーナ・グラント役のアンジェラ・バセットは、「スタジオと『9-1-1』の全員から、彼の家族と友人に哀悼の意を表するわ。とにかくとても悲しいことね。誰もが大きなショックを受けているわ」と米Entertainment Tonightにコメント。

シーズン1から出演してきたアンジェラは、同作のキャストやスタッフが亡くなったのはこれが初めてだと指摘。キャストとスタッフはプリームを追悼するために集い、「彼についていろいろな素晴らしい言葉が語られた」という。そして仲間の一人に訪れた悲劇について次のように語った。「仲間の誰かの子どもが生まれたり結婚したりするのを見守ってきたけれど、今回こういうことを経験することになった。受け入れるには時間が必要なの。そして彼の家族の力になりたいと思っているわ。私たちも彼のことが恋しいけど、家族はその思いが誰よりも強いはずだから」

ヘンリエッタ・“ヘン”・ウィルソン役のアイシャ・ハインズは、Instagramで胸中を吐露。「途方に暮れている」と始まったメッセージでは、この衝撃をうまく言葉で表すことができないと綴りながら、亡きプリームを含むスタッフたちが日々いかに番組を支えてくれているかを説明し、その貢献に感謝している。さらにアイシャは「『9-1-1』のキャストとスタッフは疑いなく一つのファミリーで互いを支えてきた。辛い思いをしている人がいればその人に寄り添ってきた。そして今回のことは間違いなく辛い時期に当たるわ」と述べ、今こそお互いに支え合うことが必要だと呼びかけた。