緊急通報ダイヤルのオペレーターが受ける電話を軸に、その最前線で奮闘する消防士や警察官らファースト・レスポンダーの活躍を描く救命ドラマ『9-1-1：LA救命最前線』。現在米国で放送しているシーズン6以降は、放送局を変えて継続されることが分かった。米Deadlineが報じている。
高額な制作費が負担となり…
現在放送している米FOXは、20th Televisionとして最高視聴率を誇るこの作品を更新しないことにした。5月15日（月）に放送されるシーズン6フィナーレが、FOXでの最終回となる。しかし、『Glee／グリー』などで知られるクリエイターのライアン・マーフィーとブラッド・ファルチャック、ティム・マイナーのチームによるこのドラマは、シリーズフィナーレにはならない。というのも、20th Televisionの系列である米ABCへ引っ越し、シーズン7からはディズニーネットワークのラインナップに加わることになったからだ。
今回のニュースは突然決まったものではない。Deadlineは3月に、スピンオフである『9-1-1：LONE STAR』はシーズン5へ更新される可能性が大きいが、本家の『9-1-1』は更新されない可能性があり、そうなればABCがこの作品を制作する可能性があると報じていた。ちなみに『9-1-1：LONE STAR』はFOXによって正式にシーズン5更新が決定したので、秋からこの2作品は別々のテレビ局で放送されることになる。
FOXは以下のように声明を発表した。「『9-1-1』の初代放送局となれたことは名誉なことであり、アンジェラ・バセット（アシーナ・グラント役）、ピーター・クラウス（ボビー・ナッシュ役）、ジェニファー・ラブ・ヒューイット（マディ・ケンドール役）、オリヴァー・スターク（エバン・“バック”・バックリー役）、アイシャ・ハインズ（ヘンリエッタ・“ヘン”・ウィルソン役）、ケネス・チョイ（ホーウィー・“チムニー”・ハン役）、ライアン・グスマン（エディ・ディアス役）、その他のキャストとクルーとともに、このようなインパクトのあるシリーズを弊社に提供してくれた20th Televisionに感謝しています。弊社での最終シーズンが終わった後も、皆さんのさらなる幸せを願っています」
また、引っ越し先となるディズニー・テレビジョン・グループ社長のクレイグ・アーウィッチはこのように述べている。「ライアン・マーフィー、ブラッド・ファルチャック、ティム・マイナー、そして才能あるキャストによる創作意欲のおかげで、本作は過去6シーズン、テレビ史上に残る記録的なヒットを飛ばしました。20th Televisionがプロデュースすることで、そんな本作を残すことができるのは光栄なことであり、この愛するキャラクターたちの心を揺さぶる、そして気分を高揚させる物語を弊社でもっと語れることが楽しみです」
FOXが今回の判断を下したのは財政的な理由からだ。6シーズン目を迎えた『9-1-1』は、18～49歳の層の視聴率で見ると同局のドラマとしてトップだが、アカデミー賞ノミネート歴のあるアンジェラを筆頭に知名度のあるキャストが多数出演し、凝った視覚効果やスタントを伴う同作は、一話あたりおよそ900万ドルから1000万ドル（約12億3000万円から13億7000万円）と、最も高額な制作費がかかっている作品でもあった。FOXは先月、『9-1-1』と同じく6年前にスタートした医療ドラマ『レジデント 型破りな天才研修医』を打ち切っていた。『9-1-1』が打ち切られずABCで続くことになったのは、放送と配信の双方で好調だったことに加え、メインキャストたちの契約が少なくともあと1年残っているため、個別に出演者交渉をする必要がないことも有利に働いたと言われている。
『9-1-1』は、ディズニーが2019年にテレビスタジオを含むFOXの主要資産を買収する前、FOXネットワークと当時の20世紀FOX Television（現20th Television）が同じ会社の一部だった頃に製作されシリーズ化された（スピンオフの方は20th Televisionがディズニーに移った後に製作されている）。過去にも、米NBCから米CBSに移った『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』のほか、『scrubs ～恋のお騒がせ病棟』（NBCからABC）、『ブルックリン・ナイン-ナイン』（FOXからNBC）、最近では『私立探偵マグナム』（CBSからNBC）などが、最初の放送局でキャンセルされた後に作品の制作スタジオと同じ系列であるテレビ局によって拾われている。（海外ドラマNAVI）
参考元：米Deadline
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Photo:『9-1-1：LA救命最前線』 © 2021 Fox Media LLC
