長続きしなかった人気海外ドラマのスピンオフ【5選】

今シーズン、『CSI:ベガス』『NCIS:ハワイ』が予想外に打ち切られることになり、全米随一の人気を誇る2つのフランチャイズシリーズにとって残念な結果となった。これは、米テレビ業界きってのヒットメーカー、ディック・ウルフも彼の大ヒットフランチャイズ『LAW & ORDER』や『シカゴ』シリーズで経験している。

ここでは、人気シリーズにもかかわらず長続きしなかった海外ドラマのスピンオフ作品を紹介する。

長続きしなかった人気海外ドラマのスピンオフ

『CSI:ベガス』(2021–2024)

2000年から15シーズンにわたって放送され世界中でファンを獲得した『CSI:科学捜査班』『CSI:マイアミ』『CSI:ニューヨーク』など複数のスピンオフがヒットしたあとに、ラスベガスが舞台の本家の続編として登場したシリーズ。

本家でおなじみだったキャラクターも何人も登場して話題を集めていたが、全10話となるシーズン3の第5話まで放送されたタイミングでキャンセルに。『~科学捜査班』から合わせると通算18シーズンでの打ち切りとなった。

かつて全米No.1だった本家シリーズが、3100万人以上の視聴者を獲得したのに対し、本作の視聴者数は300万人台で推移していた。シーズン3では数字が向上し、2024年3月にはシリーズ最高を記録したが、CBSはその翌月に打ち切りを決めた。

オリジナル版で12シーズンにわたってレギュラー出演し、本作のシーズン2からカムバックしたキャサリン・ウィロウズ役のマージ・ヘルゲンバーガーは、打ち切りを受けて「全てファンのためだった」とコメントを発表した。

また、本作の前に登場したスピンオフ第3弾『CSI:サイバー』(2015–2016年)もシーズン2で打ち切られている。『CSI』シリーズからは、新たに『CSI:マイアミ』をもとにした実録ドキュメンタリーの製作が決まっている。

『LAW & ORDER:陪審評決』(2005–2006)

ディック・ウルフが生んだクライム・サスペンスの金字塔『LAW & ORDER』フランチャイズから、『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』『LAW & ORDER: クリミナル・インテント』に続き、3番目のスピンオフとして登場した本作は、陪審員制度にスポットが当てられている。

法執行機関と検察官の視点から描かれる『LAW & ORDER』シリーズにおいて、被告と弁護人、裁判官と陪審員という360度の視点を持つ、新たなスピンオフとして注目されたが、視聴率が伸びずシーズンの途中に12話で打ち切られることに。この打ち切りについて、ウルフは「驚きを隠せなかった」と語っている。

また、本作のあとに登場した同フランチャイズのスピンオフ第4弾『LAW & ORDER:LA』(2010–2011)も、視聴率を理由にシーズン1で打ち切られている。

『クリミナル・マインド 特命捜査班レッドセル』(2011)

プロファイラー集団の活躍を描き大ヒットした『クリミナル・マインド FBI行動分析課』。本家と同じFBIのBAUに所属しながら、ホッチナーが率いるチームと異なる別の捜査チームを追うスピンオフシリーズ。名優フォレスト・ウィテカーを主演に迎え、FBI長官直属チームである「レッドセル」が過激で型破りな捜査を行う様子を描く。

本家の人気キャラクター、分析官のガルシアも登場するなど話題を集めようとしたものの、平均視聴者数は930万人と振るわず、シーズン1終了直前に打ち切られた。期待外れの視聴率に、目立った話題性の欠如、そしてフォレストのおそらく高額なギャラが本作の終了に繋がったと報じられている。

また、CBSは2016年に『CSI:ニューヨーク』のゲイリー・シニーズを主演に迎え、新たなスピンオフ『クリミナル・マインド 国際捜査班』を試みたが、こちらも視聴率が振るわずシーズン2で打ち切りとなった。

『シカゴ・ジャスティス』(2017)

『シカゴ・ファイア』『シカゴP.D.』『シカゴ・メッド』のヒットに続き、『シカゴ』シリーズのスピンオフ第3弾として登場。『シカゴ P.D.』のアントニオ・ドーソン(ジョン・セダ)がシカゴ警察の刑事から州検事局の主任捜査官に転身し活躍する法廷ドラマ。しかし、同フランチャイズの中で最も視聴率が低く、NBCは1シーズン終了後に打ち切りを決めた。

NBCの担当者は当時、「『シカゴ』作品をいくつ維持できるのかという問題になりました。どれもいい番組だと思いましたが、『~ジャスティス』が一番オーソドックスで、『LAW & ORDER』に一番近かったんです」と語っている。

本作の終了後、主演を務めたフィリップ・ウィンチェスターは同役で『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』にレギュラー出演、ジョンは『シカゴ P.D.』に戻っている。

『NCIS:ハワイ』(2021–2024)

大ヒット犯罪捜査ドラマ『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』ロサンゼルスニューオリンズ版に続くスピンオフ第3弾。

2024年4月、CBSは本作のシーズン3での打ち切りを決定。プロデューサーが大幅な予算削減に同意したにもかかわらず、短縮したシーズン4(最終シーズン)さえも与えないことを選択した。

フランチャイズ初の女性主人公ジェーン・テナント役を務めたヴァネッサ・ラシェイは自身のインスタグラムのストーリーで、この決定に「ガッカリしてるし混乱してるし予想外だった」とコメントしている。その後、さらにストーリーを更新し、「大好き。家族は永遠」と愛を伝えている

『NCIS』シリーズは、本家がシーズン22に更新されたほか、シーズン2に更新済みのスピンオフ第4弾『NCIS:シドニー』(今夏、日本初上陸)が放送中、ギブスの前日譚『NCIS: Origins(原題)』が今秋の放送を控え、トニー&ジヴァを主人公にした『NCIS: Tony & Ziva(原題)』が今夏からの撮影を控えている。

(海外ドラマNAVI)

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