『ザ・モーニングショー』シーズン4、「世の中が混沌としている限り、本作の居場所はある」クリエイターが語る

架空の情報番組を舞台に、看板キャスターの不祥事を発端とする人間模様を描くエミー賞受賞作品『ザ・モーニングショー』。現在シーズン3までがApple TV+にて独占配信中だが、来たるシーズン4で描かれる内容についてクリエイターが語った。

『ザ・モーニングショー』の魅力とは?

大手テレビ局UBAの朝の看板番組「ザ・モーニングショー」で番組の顔であるホストを長年務めるミッチ(スティーヴ・カレル)がセクハラスキャンダルで番組を降板し、アレックス(ジェニファー・アニストン)は、ブラッドリー(リース・ウィザースプーン)と共に共同ホストを務めることになる。

主演のジェニファー、リースと共に製作総指揮を務め、またショーランナー、脚本も担当するシャーロット・スタウトが米Deadlineのイベント「Contenders TV」に登壇。

まず、シーズン4に更新されたことについて「人々に愛されるキャラクターを創り出し、欠点も多い彼らが、厄介で、時にはひどいことをする様子を見てもらえるのは、とても光栄なことです。どうすれば彼らを悩ませることができるのか、もう少し考えることができますね(笑)」と語る。

続けて「この番組のもうひとつの魅力は、今を語る機会があるということだと思うんです。私たちは今、真実が争われ、あらゆる方向に引っ張られるようなおかしな時代に生きています。だから、この番組の艶やかさ、美しさ、セクシーさという表面的な部分と、その裏にある不安要素との間にある緊張感が、この番組を作っているんだと思います」と作品の魅力を分析。

現実のニュースとの関連性が評価されている

また、このシリーズでは、ロー対ウェイド事件、Me-Too運動、イーロン・マスク、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件など、現実のニュースとの関連性が高く評価されている。

ドラマシリーズの制作や撮影が1年がかりであることを考えると、作品が公開されるころにはそのトピックが古く感じると心配することはないのか、と問われたスタウトは、以下のように回答。

「脚本家としては、ツァイトガイスト(時代の精神)に乗り遅れることを心配するものです。面白いことに、私がこの作品に参加した2021年秋頃、年が明けても視聴者が国会襲撃事件のことを考えるかどうか、本当に心配だったんです。みんなにとっては過去のことになって忘れられているんじゃないかと。そのストーリーについては不安だったんですが、いざ配信が始まってみたら、それは間違いだったことを知りました」

また、実際のニュースから直接ネタを切り取ることについて、ソーシャルメディア上で激しい議論を招き、そこで再び注目を浴びるような論争は、同シリーズをより新鮮なものにしていると話す。「世の中が混沌としている限り、『ザ・モーニングショー』の居場所はあると思います」

シーズン3では、配信サービスの成長でネットワークテレビ局の将来が不安視されるなかで、宇宙開発も手掛けるビリオネアの実業家ポール(ジョン・ハム)がUBA買収に関心を持つ。アメリカ国内の時事問題だけでなく、テレビ局の“生き残り”にフォーカスした内容が描かれた。シーズン4では、フェイクニュースを助長する可能性のあるAIのような新しい脅威のいくつかを取り入れる予定だ、とスタウトは言及している。

「私たちは前シーズンで、作りうる最大の爆弾ですべてを吹き飛ばしました。だから、今回は、“バンドはどうやって再結成するのか?それはどんな形になるのか?”を問わねばなりません。私たちは、ディープフェイクやAIの世界に入り込み、中東やその他で今起きている戦争に関する誤った情報に切り込んでいきます。誰が信用できるのか?自分が見ているものは信用できるのか?自分自身は信用できるのか?報道機関は信用できるのか?ということを描いていきたいと思います」

『ザ・モーニングショー』シーズン1~3は、Apple TV+にて独占配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:Apple TV+