立ちはだかる敵はメル・ギブソン!コンチネンタルホテル覇権争いを描く『ジョン・ウィック』前日譚ドラマが熱い【レビュー】

キアヌ・リーブス主演の大ヒットシリーズ最新作『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の公開(9/22)に合わせ、同シリーズの前日譚ドラマ『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』エピソード1がPrime Videoより配信された。

『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』レビュー

概要

本作は、『ジョン・ウィック』シリーズを象徴する殺し屋の巣窟的ホテル“コンチネンタルホテル”の起源を、いずれ同ホテルの支配人となる若き日のウィンストン・スコット(『フライト・アテンダント』のコリン・ウッデル)の目線から3部構成のストーリーで描くスピンオフ・ドラマだ。舞台は1970年代のニューヨーク。裏社会で命がけの攻防を繰り広げながら、謎に包まれたコンチネンタルホテルの支配人としての地位に上り詰める青年ウィンストンの奮闘が、視聴者を釘付けにする。

受け継がれた内面部分

映画版でウィンストンを演じたイアン・マクシェーンとドラマ版のコリンの“外見”の整合性は、あまりにも年が離れているので(イアンは80歳!)、この際、気にしても仕方ないことだが、その内面に目を向けると、冷静沈着で“肝”が据わった性根の部分はしっかりと受け継がれ、経験の積み上げによって何が起こっても動じない鋼(はがね)のキャラクターへと昇華していく過程は、ブレがなく一貫しているといえるだろう。例えて言うなら、『ゴッドファーザー』でアル・パチーノが演じた三男マイケルのイメージに近いかもしれない。

コンシェルジェとの出会い

さらに、同ホテルのこわもてコンシェルジェ、シャロン(若い時は意外と可愛い)との出会いも明かされ、もしかすると、エピソード2~3辺りで、ジョン・ウィックと運命が交錯する可能性もゼロではないだけに、このドラマは、映画版をより深読みしながら楽しむための格好の助走となる。ウィンストンの人生や人間性が物語にさらなる奥行きをもたらし、特に現在公開中の『ジョン・ウィック:コンセクエンス』への影響度は高く、いろんな思いが重なって胸アツ度がグーンとアップすることだろう。

大御所メル・ギブソンの参戦

ただ、意外だったのが、大御所メル・ギブソンの参戦だ。年を取ったとはいえ、作品の“色”を変えてしまうだけのスターパワーがあるだけに、この起用は正直驚いた。ウィンストンにはフランキー(ベン・ロブソン)という殺し屋の兄がいるのだが、彼を少年期から“ワルに仕込んだのが、メル演じる当時のコンチネンタルホテルの支配人・コーマック。結局、この兄弟の不義理が本ドラマの“核”となるだけに、髭を蓄えたボス感満載のメルの存在は、4作品で培ってきた映画『ジョン・ウィック』の世界観を善くも悪しくも破壊しかねない圧を感じるのだ。

とはいえ、そこが最大・最強の見どころでもある本ドラマ、コンチネンタルホテルを巡る駆け引き、頭脳戦、壮絶なガンファイト(映画版には遥かに及ばないが、予想以上に迫力がある!)も含め、前支配人コーマックvs.若きウィンストンとの激しい攻防に注目しながら、エピソード2~3の配信を心待ちにしたい。

(文/坂田正樹)

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