キアヌの旧友役でアジアが誇る2大国際派スター夢の競演!『ジョン・ウィック』最新作はアクション“メガ盛り”の集大成【レビュー】

亡き妻の形見(愛犬)を奪われ、思い出が詰まった我が家を焼き尽くされ、傍若無人の復讐鬼と化したキアヌ・リーブス演じる殺し屋ジョン・ウィック。9月22日(金)より公開されるシリーズ第4弾『ジョン・ウィック:コンセクエンス』では、妻への思いがこもった指輪を奪った中東組織の首長を殺害したことから、主席連合(裏社会で全てを支配する組織)を本気で怒らせ、彼の頼みの綱であるニューヨーク・コンチネンタルホテルが爆破される。

『ジョン・ウィック』レビュー

「奥さんへの愛、どんだけ強いんだよ!」とツッコミたくなる暴れっぷりだが、ついに帰る場所を失くしたジョンに、果たして生き残る道はあるのか? 全編169分の長丁場、怒涛のガンバトル&カーチェイスもさることながら、今回は彼に手を差し伸べる“豪華ゲスト”による熱い友情物語も大きな見どころだ。

ジョン・ウィック粛清!?

ジョン・ウィック粛清の全権を託された暴君グラモン侯爵(『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』でペニー・ワイズ役を怪演したビル・スカルスガルドがまたしても狂気全開!)が、ニューヨーク・コンチネンタルホテルを壊滅させ、これまで本シリーズの“要(かなめ)”として支えてきたある人物を殺害したところから、「これはヤバイ!」「最後の戦いになるかも…」と、観る側の気持ちにも暗雲が立ち込める。

ビル・スカルスガルド

アジアが誇る2大国際派スター

逃げ場を失くしたジョンは、大阪・コンチネンタルホテルに身を隠すが、ここの支配人シマヅを演じるのが、日本が誇る国際派スター、真田広之(『ブレット・トレイン』)。そして、娘を人質にされやむなくグラモン侯爵の刺客として大阪に乗り込んでくる盲目の殺し屋ケインを演じるのが、香港が誇る国際派スター、ドニー・イェン(『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』)だ。

真田広之

二人はその昔、ジョンとともに戦闘の腕を磨いた旧友だが、逃れられない宿命が彼らを戦いの渦へと巻き込んでいく。ここが前半最大の見せ場となるが、中でも、気持ちで刃を振り下ろす大胆かつエモーショナルな真田の舞いと、キレで相手の攻めをかわし防御を打ち砕くドニーのセンスの一騎打ちは、アクション・ファン感涙の名シーンとして、あるいは誰もが観たかった夢の競演として、後世に語り継がれるのではないだろうか。

ドニー・イェン

30分間ノンストップのアクション攻め

シマヅとケインの旧友対決(どちらが勝ったかは劇場で!)のおかげで、何とか追っ手から逃れたジョンだが、ある人物(ここもネタバレ上、シークレットで)に助けを求めると、なんと古式ゆかしき1対1の“決闘”を勧められる。「かつてお前が所属したロシア系犯罪組織“ルスカ・ロマ”のファミリーに復帰すれば、グラモン侯爵との決闘が提案できる」と言うのだ。「神は正しい者に味方する」というキリスト教の信仰を背景に、「決闘の結果は神の審判」という時代もあったそうだが、いくら復讐とはいえこれだけ人をぶっ殺してきたら、何が正義で何が不義なのか、判断不能の世界。あれだけ怒り狂っていた主席連合の“決闘”という奇妙なルール…ここはさすが頭をひねってしまった。

とにかくツッコミどころ満載だが、ルールはこうだ。決闘場は、パリのサクレ・クール寺院、主席連合が用意したクラシカルな拳銃での一騎打ち。夜が明ける6時3分までに姿を現さなければ処刑必至。こうなると、当然、ジョンの力量に脅威を感じているグラモン侯爵は、夜明けまでに彼が間に合わないよう刺客をどんどん送り込む。

「なるほど、決闘はアクションを喚起させる布石なのか」とここで気付くのだが、「さぁ、撃って来やがれ」とジョンが街に姿を現すと、堰を切ったようにラストバトルが勃発する。30分間ノンストップのアクション攻め、防弾スーツと拳銃(9mmピット ヴァイパー/装弾数21発)を相棒に、何百人もの敵に立ち向かうキアヌの勇姿は、かっこいいを通り過ぎて無謀の極みだ。

クライマックスは、決闘場への最後の難関となる222段の階段。勢いで上り切ったかと思ったら、敵の一撃を食らい、最後方まで真っ逆さま! 『蒲田行進曲』の35段落ちを遥かに上回る凄まじい階段落ちに悲鳴を上げたくなるが、果たしてジョンは夜明けまでに決闘場にたどり着き、引き金を引くことができるのか?

ガンアクションに革命をもたらした『ジョン・ウィック』シリーズ、締めの“一発”に注目だ。

(文/坂田正樹)

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