『刑事モース』がシーズン9で終了し、リブートされない理由

2012年から英ITVで始まった人気ドラマ『刑事モース~オックスフォード事件簿~』がシーズン9をもって終了した。同作終了の理由について、英Radio Timesなど複数のメディアが伝えている。

10年以上前から計画していた

『刑事モース』の主人公モースは、ミステリー作家コリン・デクスターが生んだキャラクター。クロスワードパズルとクラシック音楽を愛し、捜査中に酒を飲みながらも類まれな頭脳で難事件を解き明かしていく型破りな刑事は、1987年からジョン・ソウ主演で『主任警部モース』が制作され、そのモースの相棒ルイスを主人公としたスピンオフ『オックスフォードミステリー ルイス警部』も誕生。そして『主任警部モース』放送開始から25年が経ったタイミングで、モースの若き頃を描いた『刑事モース』がスタートしていた。

本国イギリスでは、あのシャーロック・ホームズをしのいで“英国で最も好きな探偵”の第1位に選ばれたこともあるモース。だが、今回『刑事モース』が終わったことで、30年以上前から続いてきた“モース・フランチャイズ”が終わりを迎えている。

『刑事モース』の終了が発表されたのは2022年5月。製作会社 Mammoth Screenと製作総指揮・脚本担当のラッセル・ルイス、エンデバー・モース役で主演するショーン・エヴァンスとフレッド・サーズデイ役のロジャー・アラムがそろって合意したことにより、今回の決断が下されたと説明された。

製作総指揮を務めるダミアン・ティマーによれば、番組終了は当初の計画通りだという。「シリーズ1作目を作る時から、ラッセル・ルイスはどこでモースとサーズデイの物語を終えたいかを明確に理解していた。我々としては、そんな最悪の日が来るのをできる限り長引かせたけど、数年前にクリエイティブチームの間で終わる時が来たということで意見がまとまり、フィナーレへ向けて準備することになったんだ。ITVは最高に理解があり、頼れるパートナーであり続けてくれた。これをファイナルシーズンにするというチームの判断も尊重してくれたよ」

また、モース役のエヴァンスもストーリー的に終えるべきタイミングだったと賛同。「この最終章をもってモースの孤独が確固たるものになる。そこで終えておきたかったんだ。(劇中で)それから15年経った1987年、ジョン・ソウ演じるモースの物語が始まるのに向けてちょうどいいからね」と、本家『主任警部モース』を元にした前日譚としてはここで役目を終えるべきだという考えを示している。

原作者がリブートに反対

また、この“モース・フランチャイズ”は今後リブートなどで復活することはなさそうだ。というのも、2017年に亡くなった原作者デクスターの遺言書に、自分の死後、誰も新たにモースを演じてはならないという条項があったため。デクスターは生前にも、すでに作られた3作(『主任警部モース』『ルイス警部』『刑事モース』)以外のドラマ化はもう望んでいないとの意向を明らかにしていた。

「(『主任警部モース』の)ジョンがやったことを繰り返したいとは思わない。誰かが新たにモースを演じることを許すつもりはないよ。もう十分だ」

『刑事モース』は全9シーズンのほか、ドキュメンタリーや特別インタビューなどがWOWOWオンデマンドで配信中。(海外ドラマNAVI)

参考元:英Radio Times英Hello!英The Argus

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