自宅で映画やドラマを視聴する際、どれぐらいの人が字幕・キャプションをオンにしているのだろうか? ストリーミング時代に突入するにつれ、在宅視聴者が字幕・キャプションを利用する確率が、ますます高くなっていることが明らかとなった。
字幕が普及した理由
米Indie Wireによると、2022年に語学学習会社Preplyが行った調査では、アメリカ人の50%がコンテンツ視聴時間の大部分で字幕・キャプションを使用していることが判明した。
その理由は3つ挙げられ、1つ目として、多くの人々にとってTVの会話を理解することが遥かに難しくなっているからだという。同調査では字幕・キャプションを使用していると回答した72%が、これを主な理由として挙げている。最近のTVは、内蔵スピーカーが下部に配置されているため音声が視聴者に届きにくくなっており、また劇場用に最適化された音響設計を家庭用に変換すると、音が圧縮されて聞こえにくくなってしまうからだ。
技術的な問題以外にも、配信サービスでの外国語コンテンツの視聴と消費が急速に増加し、単に多くの視聴者が字幕に慣れ始め、文字で気が散ることがなくなっていることも理由に挙げられる。また、映画『イニシェリン島の精霊』や『デリー・ガールズ ~アイルランド青春物語~』など、舞台となる土地の訛りがきつい作品を視聴する際には、会話を正確に理解するためにキャプションが必要となる場合もある。
そして3つ目の理由は、傾向と人口動態の変化によるものだ。Preplyの調査によると、1990年半ば~2010年代に生まれた“Z世代”は、他の年齢層に比べると圧倒的にキャプションに頼る傾向が強いとのこと。この世代はデフォルトでキャプション付きのSNS動画をスマホで見ながら育ち、公共の場で映画やドラマを視聴する機会が多いからだ。屋外では周りの騒音で作品のセリフが聞き取りにくくなるため、キャプションが不可欠となる。
一昔前は、英語を母国語とする人は字幕作品を敬遠する傾向があるとも言われたが、こういった諸々の理由で、視聴者のなかで字幕・キャプションに対する抵抗が少なくなってきているようだ。(海外ドラマNAVI)