現在、ハリウッドでは全米脚本家組合(WGA)と全米俳優組合(SAG-AFTRA)が同時にストライキを行っている。両組合のストライキで映画やドラマシリーズの製作が進まずエンターテインメント業界が大きな打撃を受ける中、Netflixの共同CEOであるテッド・サランドスが、「ストライキ終結に向けて尽力を惜しまない理由」を語っている。
自身の体験も交えて、理解する姿勢を示す
米Deadlineによると、7月19日(水)に開催されたNetflixの第2四半期決算報告会で、サランドスはWGAとSAG-AFTRAのストライキに言及。アリゾナ州フェニックス出身の同氏は、「私は労働組合の家庭で育ち、私の父は(労働組合)IBEWローカル64に加入していた電気技師でした。私が子どもの頃、組合は私たちの生活の一部でしたし、父が何度かストライキに出たことも覚えています。ストライキは、経済的にも精神的にも家族に多大な負担をかけましたから」と語った。
サランドスはさらに、「ですから、全米映画・TV製作者協会(AMPTP)の誰も、SAGの誰も、WGAの誰も、この件(ストライキ)を軽んじてはいません。私たちはできるだけ早く、そしてできるだけ公平に、業界とそこに属するすべての人が、将来に向かって前進できるような合意に至れるよう、全力を尽くしています」と続けた。
サランドスは労働者階級出身だとアピールしたが、2022年に同氏の年収が5000万ドル(約70億円)を超えていたことを考えると、あまり効果はないかもしれない。とはいえ、脚本家・俳優の組合によるストライキについて、「現実的ではない」「非常に不愉快」などと発言したディズニーのCEOボブ・アイガーよりは印象が良いと言えそうだ。
またサランドスは、ハリウッドでは作品が製作できない状態となっているものの、NetflixではTV番組や映画、脚本なし・ありの作品、ローカル、米国内、英語、非英語といったあらゆる種類のコンテンツを幅広く製作しているため、リリースの枯渇は心配していないと発言。そう強調しつつも、「しかし要(かなめ)は、私たち全員が前に進むことができるよう、ストライキに結論を出す必要があるということです」と締めくくった。
なおNetflixは、5月23日より米国およびその他の国の加入者に対し、「契約世帯外のユーザーは“追加メンバー”として追加料金を払って登録するか、もしくは自身でサブスクリプション料金を支払う必要がある」と通知し、パスワード共有の有料化を開始。その結果、第2四半期では新規加入者が589万人も増加したと報告している。
SAG-AFTRAとWGAのストライキを支援する意向を見せたサランドスの余裕ある発言は、第2四半期の成績が良かったからだとも考えられそうだ。現時点では、両組合のストライキ終了の目途は立っていない。(海外ドラマNAVI)
参考元:米Deadline
Photo:テッド・サランドス ©NYKC/FAMOUS