シュワルツェネッガー、テレビドラマ初参戦で魅せる“戦う男”と“親バカぶり”で新境地!【『FUBAR』レビュー】

最新作『FUBAR』(全8話/Netflixで配信中)でテレビドラマ“初”出演となったアーノルド・シュワルツェネッガー。長いキャリアの中で「まだ初ものがあったのか!」とにわかに信じられないことだが、それだけ彼が真の“ムービースター”であったことがよくわかる。
演ずるのは、ある作戦を実行するため引退を取り消されたベテランCIA工作員。御年75歳、さすがに『ターミネーター』シリーズ初期の動きや磨き抜かれた肉体は過去のものとなったが、そこに居るだけで絵になる存在感に加え、アクションと両輪で積み上げてきたコメディーセンス(『キンダーガートン・コップ』『ツインズ』『ジュニア』など)を生かし、家で寝っ転がって楽しめる最高のエンタテインメント作品を提供してくれる。【ドラマ・レビュー】

『FUBAR』レビュー

あらすじ

お互いにCIA工作員であることを知らなかった父親ルーク(アーノルド)と娘エマ(モニカ・バルバロ)。どっちもどっち、「ダマしてたな!こんにゃろうー」と親子喧嘩が絶えない二人だが、ある日、コードネーム“パンダ”という極秘作戦が計画され、ルークとエマは同じチームとして行動することに。「現地に潜入し“パンダ”を探り、WMD(大量破壊兵器)を回収せよ!」という最も過酷なミッションに挑むのだが、世界危機にも引けをとらない? 親子の確執もどんどんエスカレートする…。

“肝”は親子喧嘩

娘エマ役に『トップガン・マーヴェリック』(22)でナターシャ・“フェニックス”・トレース海軍大尉を演じたモニカ・バルバロ、敵役に『ターミネーター:ニュー・フェイト』(19)のガブリエル・ルナ(体がひと回りでかくなった?)を配するなど、われらがシュワちゃんを盛り立てるキャスティングが心憎い。ただ、ド派手な戦闘バトルやプロフェッショナルな潜入テクなど随所に見せ場を打ち込んでくるものの、このドラマの“肝”はそこじゃない、あらすじでも紹介したが、なんといっても父と娘の親子喧嘩…なんだな。

父の影響でとか、何か環境的に縁があってとか、そういうことは一切なくて、お互いにCIA工作員であることを全く知らなかったということは、よほど戦うDNAが色濃く合致している証拠だが、婚約者がいながら危険な任務に突っ込んでいくエマに対して、家族を顧みずに彼女の母親と離婚してしまった自分の過ちを反面教師として捉える父の顔が実に切ない。これまでバイオリンを嗜むパパ思いの娘だと思っていたエマが、酒にタバコにケバい口紅、任務遂行のためなら男を誘惑し、骨抜きにするという真逆のキャラ。父親ならだれもが、こんな娘の姿を目の当たりにしたら、「もうやめてくれー!」と叫びたくなる気持ちはよーくわかる。

ハードな戦いの中に人間味あふれるドラマも!

ところがやっぱりそこは親子、そんなほのぼのファミリーなことを言っていられないくらいに追い込まれると、二人の戦うDNAが一気に騒ぎ出し、瞬間、最強のバディとして思わぬパワーを発揮するからタチが悪い。回を重ねるごとに敵との戦いも激化していくが、ルークとエマ親子の葛藤はどんなクライマックスを迎えるのか…。

ハードな戦いの中に人間味あふれるドラマが盛り込まれた本作は、確かに寝っ転がって軽~く観られる作品ではあるが、心の琴線を時折つま弾く親子愛も利いていて、なんだか妙に愛おしい。葉巻にマシンガンのシュワちゃんと、娘の本性にドギマギするシュワちゃん、一粒で二度おいしい“テレビサイズ”のシュワルツェネッガーも、悪くないな。

(文/坂田正樹)

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Photo:『FUBAR』© 2023 Netflix, Inc.