3月4日(土)よりHuluにて独占配信がスタートするHuluオリジナル『THE SWARM/ザ・スウォーム』。このたび、本作の製作総指揮であるフランク・ドルジャーに直撃インタビュー! 原作を実写化するにあたりこだわったポイントや、木村拓哉らキャスト陣による撮影現場のエピソードを伺った。
『THE SWARM/ザ・スウォーム』概要
HBOの大ヒット作『ゲーム・オブ・スローンズ』を手掛けた名プロデューサー、フランク・ドルジャーが製作総指揮を務める新作、『THE SWARM/ザ・スウォーム』は、海を舞台としたSFサスペンスだ。
主な舞台はイタリアとベルギーとなった本作だが、キャストには世界各国から集まった実力派が揃っている。ドイツからレオニー・ベネシュ(『バビロン・ベルリン』)、バルバラ・スコヴァ(『ザ・クラウン』)。ベルギー出身のセシル・ドゥ・フランス(『ニュー・ポープ 悩める新教皇』)、カナダ人のジョシュア・オジック(『Unsettled(原題)』)。北欧からは、スウェーデン出身のアレクサンダー・カリム(『タイラント -独裁国家-』)、フィンランド人のクリスタ・コソネン(『TOVE/トーベ』)が参加。
そして、日本からは慈善家で海洋問題に取り組む"ミフネ財団"の創設者アイト・ミフネ役として、木村拓哉が抜擢されている。
そんな国際色豊かな『THE SWARM/ザ・スウォーム』だが、原作は2004年にドイツで発表され話題となったベストセラー小説「深海のYrr(原題:Der Schwarm)」。ヨーロッパ制作のテレビシリーズ史上最大級の制作費で映像化されることとなった。
そんな本作の見どころや撮影の裏話について、ドルジャーに直接伺った。
フランク・ドルジャー インタビュー内容
――『THE SWARM/ザ・スウォーム』の一番の見どころを教えてください。
私はこの作品をディザスターもの(自然災害を描くパニックもの)にするつもりはなく、モンスターもの(怪物を扱った作品)としてアプローチすると決めていました。実はそのモンスターは海の中に潜んでいるのではなく、一体何なのか見てのお楽しみですが、ドラマをご覧になった方はきっとその展開に驚かれるのではないでしょうか。エンターテイメント作品として楽しみながらも、最終的にはそういった気付きを得てもらえればと思います。
――本作は海のシーンが多いですが、その大迫力の美しさもまた見どころなのではと思います。映像についてのこだわりについてはいかがでしょうか?
主に2つの点にこだわりました。まず1つ目は「海」をキャラクターとして扱うこと。本作では登場人物たちが海で起きたことに対してリアクションをすることで物語が進行していきます。そういった背景もあり、屋外のシーンはなるべく海に近いところを撮影場所として選び、視覚からも音からも海という存在を感じられるように工夫しています。
2つ目は、海のシーンは場所によってビジュアルやサウンドを全く異なるものに変えているという点です。海というものが美しくも危険な場所であり、人間よりもはるかに力強い存在であるということを表現したかったんです。
――原作は約20年前に刊行された小説です。なぜこのタイミングで映像化しようと思ったのですか?
映像化の話を持ち込まれましたのは、5年ほど前です。2004年にドイツで発表された当時から非常に重要な意味を持っている作品だということは知っていました。ですが、今になって改めて読むと、20年前に書かれたと思えないぐらい、まるで今日起きていることを予期していたかのような内容に本当に驚いたんです。
現在は温暖化など、自然環境に関する様々な事実をベースにしたドキュメンタリー作品は多数作られていますが、私は「キャラクターが牽引するエモーショナルなドラマによって環境問題を掘り下げられないか?」と思いました。そうすればドキュメンタリーなどを見飽きて、環境問題については十分理解していると思っている層にも響く作品になるのではないかと考えたのです。
――なるほど。とはいえ2004年当時と現在では、異なる部分もあるかと思います。現代らしさを加えるために、どういった点を変更したのでしょう。
まず、科学に関してはアップデートが必要でしたが、素晴らしいコンサルタントのおかげで問題ありませんでした。
キャラクターについては、ジェンダーバランスや年齢について設定を変更しています。というのも、2004年当時はヨーロッパや北米では特に科学者は男性が多かったのですが、現在では女性が増えています。また、さまざまなバックグラウンドを持つ方が科学のフィールドに入ってきているので、その多様性も反映させました。
そのほか、あえて年齢を若くしたキャラクターもいます。個人的に、登場人物の年齢の幅が広く、ヒーローっぽくない人がヒーローになる物語が好きだということも背景にありますね。
また、コンサルタントと話した時に2023年から新しいエネルギー資源を見つけるために深海を掘ることができるライセンスの付与が始まると知りました。もちろん、私たちの生活には欠かせないバッテリーやチップを作るために必要な資源なのですが、正しいやり方を選ばなければ環境への大きなダメージに繋がってしまいます。原作では登場人物の一人であるヨハンソン教授は、油田の掘削をしている企業から欺かれていたという設定なのですが、そういった現在の状況を踏まえて、設定を変更しています。
――原作小説はかなりボリュームがありますが、それを全8話のドラマに落とし込むにあたって、どのような基準で取捨選択をされたのでしょうか?
『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ジョン・アダムズ』、『ROME[ローマ]』の制作の経験から学んだ事が一つあります。それは何があってもキャラクターに焦点を当てるということです。ストーリーは常にキャラクターからの視点で描かれなければならないと考えています。原作は科学的な説明が非常に多いのですが、それらをすべて映像化するのは難しいです。
本作では登場人物たちがそれぞれの場所で異変の原因を調べていくのですが、その過程でキャラクターの強みや弱みが反映されているエピソードをつなげていき、成長に繋がっていないエピソードはカットするというアプローチをしました。そして、全体的にストーリーをシンプルにしています。
映像化にあたっては物語にとって必須になる部分だけを抽出し、科学者たちがいかにこの未知なる存在と向き合っていくのかをドラマとして見せることを意識しました。原作では後半、実は人間対人間という構造ですが、ドラマではそうではなく、人間と自然界や海との関わり合いをしっかりと描きました。
――撮影現場での印象深い出来事があれば教えてください。
今回、パンデミックの最中での撮影だったので、クランクイン前の顔合わせはZoomで実施しました。終わった後にあるキャストから電話がかかってきて、「今回のスタッフとキャストの顔をZoomで見た時に、まるで現在の世界を見ているような気がして心を動かされた」と言われたんです。まさに今の世界の多様性をそのまま反映したかのようなスタッフ・キャストだったと言われてとても印象的でした。
温暖化の影響というのは、世界各国誰しもが等しく晒されている脅威であり、さらに、キャストやスタッフも今現在の世界の多様性を表している。これはまさしく真の意味で国際的な物語なのだということに気づかされ、とても嬉しく思いました。
――本作には日本人のミフネ役として木村拓哉さんが出演していますが、キャスティングの際、決め手などはありましたか?
ストーリー終盤で、科学者たちが国際委員会に訴えて北極海に船を出そうとするのですが、費用が出せないと断られてしまいます。その時に頼る相手が必要だと考えていました。その時に思い出したのが、特に海と深い関わりを持つ国、日本です。日本には約7000の島があり、陸地の約12倍の海域を持つそうです。
金銭的な支援をして科学者たちを後押しする役割を果たすキャラクターは、海と深く関わりのある国の方がいいなと思いました。また、リアリティーのあるキャラクターにしたかったんです。ミフネは海運業で富を築きましたが、同時に海へダメージを与えてしまったことも自覚していて、科学者たちを支援することが、自分自身が海に与えてしまったダメージを払拭する、そして世界を救うためのチャンスだと考えています。
木村さんについてはハッとさせられた部分が3つあります。1つ目は年齢を重ねていて大人の成熟した権威を表現できる感性、2つ目は知性が感じられること、最後にスクリーン上の存在感でした。
木村拓哉さん演じるアイト・ミフネは原作の後半で非常に重要な役割を果たす米軍総司令官の女性ジュディス・リーを木村さんのイメージに合わせて作り変えたキャラクターです。一緒にお仕事をさせていただいて、とても素晴らしかったです。
現場では撮影はとてもスピーディーに進行していき、複雑なシーンもあったのですが、見事に演じ切ってくださいました。他のキャストともとても良いバランスでしたし、演技も見ごたえのあるものとなっています。
特にミフネは、物語を1つにまとめてくれるとても重要な役割を担っています。彼のためにミフネというキャラクターを作ることができて本当に良かったです。
――撮影中の木村拓哉さんとのエピソードがあれば教えてください。
撮影を通じて特に感心したのは、ミフネのオフィスの撮影シーンでの出来事です。2日間かけて撮影をしたのですが、ビデオ通話をしているシーンや、グリーンバックで背景を変えるなど、様々なことをしなければなりませんでした。
撮影現場から離れた場所に木村さんの控室を用意していたのですが、撮影が終わった後、彼が控室に行ってから5分後くらいにすぐメイクさんと衣装さんを引き連れて撮影現場に戻ってきました。
そして「控室を用意してくれるのはとても感謝しているけど、行ったり来たりする時間がもったいないから、撮影場所にスペースを用意してくれればそこでメイク直しや着替えをするよ」と言ってくれたんです。
セットの角の方に椅子を置いてカーテンをかけてスペースを作り、そこでメイク直しや着替えをしてくれたので、通常は移動も含めて30分かかる所を5分で衣装替えができるように。おかげでいろいろなアングルで撮影ができたし、監督と共に演技を深めていくことができました。
普段、大スターとお仕事をしている自分の経験からすると、作品や演技がどうこうというよりも、自分がどう扱われるかの方が大事、という方は結構いらっしゃいますが、木村さんは全くそうではありませんでした。
自分がやりやすい環境にこだわるのではなくて、時間を無駄にせず、より良い作品を作りたいという思いからそういったことを仰ってくださり、これが本当のプロフェッショナルだなと感心しました。
――最後に、本作を楽しみにしている日本の視聴者にメッセージをお願いします。
まずは作品を楽しんでいただきたいです。2つ重要なポイントがあります。1つ目はみんな善悪のバランスが取れたキャラクターとして描いること。原作では割とはっきりと「善人」「悪人」を分けて描いているのですが、ドラマでは絶対にそのような描き方はしたくありませんでした。気候変動や海を守るために、我々全員が行動することができるのだということを伝えたかったからです。
作中とあるキャラクターのセリフに「海が死ねば我々も死ぬ」というものがあります。今まで皆さんが環境に対してどう振る舞ったのかは別にして、本作を見る事で、環境に対してまた違った向き合い方ができるようになればと思っています。
2つ目は、原作では年配のキャラクターを若手に変更した点。若い世代の中には、環境に対するダメージがあまりにも大きすぎて、希望がないんじゃないか、もう何をしても無駄なんじゃないかと思っている方もいると思います。そんな方々にも、作品を見終わった後に、まだまだ私たちにもできることがある、と感じてもらえればうれしいです。
Huluオリジナル『THE SWARM/ザ・スウォーム』配信情報
Huluオリジナル『THE SWARM/ザ・スウォーム』(全8話)は、3月4日(土)より独占配信スタート。(海外ドラマNAVI)
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※11月21日(木)まで
通常のHulu(月額1,026円税込)とDisney+のプレミアムプラン(月額1,320円税込)2つのサービスを利用できる。
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Huluでは日本のドラマやバラエティ、オーディション番組、Disney+ではディズニー作品はもちろんマーベルやスター・ウォーズ、さらに最新韓国ドラマやBTSなどのオリジナルコンテンツを多数配信!
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