『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第9話レビュー、新たな王の誕生

“平安王”ヴィセーリス・ターガリエン1世が永眠した。『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』の第9話「翠の評議会」は、ヴィセーリスがこの世を去ったという報せが、赤の王城(レッド・キープ)を駆け巡ることから幕を開ける。(※本記事は第9話「翠の評議会」のネタバレを含みますのでご注意ください)

後継者争いに決着…

ヴィセーリスの死によって、“鉄の玉座”を巡る後継者争いにも、ついに終止符が打たれることに。順当にいけば第1話「ドラゴンの後継者」で世継ぎに指名されたヴィセーリスの娘であるレイニラが、次代の女王となるわけだが、王妃アリセントや“王の手”オットー・ハイタワーといった面々は、ヴィセーリスとアリセントの息子であるエイゴンこそが王に相応しいとしてあらゆる策略を講じてくる。

ターガリエン家の複雑な歴史と家族関係が生み出す醜い争いを描き切ってきたのが、これまでの『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』。そして迎えた決着のエピソード…、果たして“鉄の玉座”に座することになるドラゴンの後継者は誰になるのであろうか。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第9話レビュー

“鉄の玉座”に座るのは…

第8話「潮の主」で、ヴィセーリス王はある言葉を残した。それは、かつて“征服王”と呼ばれたエイゴン・ターガリエン1世が残したとされる「氷と炎の歌」に対する言及だった。

その場に居合わせたアリセントは「エイゴン」、「真実」、「氷と炎の歌」、「約束された王子」といった言葉を朦朧とするヴィセーリスの口から聞き取った。そして「お前がやれ」という命を受ける。これをアリセントは自身の息子エイゴン2世を王に据えろとヴィセーリスが今際の言葉で残したと解釈。エイゴンを後継者とすることが、ヴィセーリス王最後の希望だったとして、レイニラの継承権を奪い、エイゴンを次代の王とする方向で話を進めてしまう。

しかし、このヴィセーリス王が残した言葉は、おそらく娘レイニラにあてた言葉だと思われる。なぜなら、ヴィセーリスが「氷と炎の歌」の存在を知らせたのは世継ぎであるレイニラだけであり、アリセントはすでにその場にはいなかったが、最後には「我が愛しき…」という言葉を残している。

すなわちはレイニラに対して、エイゴンの「氷と炎の歌」が真実であることを告げ、いずれ北より訪れるであろう冷たい闇に立ち向かい、王土を一つにする約束された王子を誕生させろというメッセージであったと考えられるのだ。

すでにヴィセーリスはアリセントとレイニラの区別がつかない状態にまで病が進行しており、意図せずアリセントに言葉を残す結果になってしまった。よって、息子のエイゴンが王になるという望んでいない結末を迎えることになってしまった。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第9話レビュー

エイゴン2世は独り善がりな性格であり、内には残虐性も秘めているように見え、決して王の器と言えるような人物ではない。本人も玉座への興味は皆無と言っても過言ではなかったが、いざ戴冠式で聴衆を目の前にすれば、剣を高々と掲げ、まんざらでもない様子。こうなると、『ゲーム・オブ・スローンズ』で悪名の限りを轟かせたジョフリー・バラシオンと、どちらが残虐非道な性格を発揮することになるのかというのも楽しみになってくる。

そして、エイゴンが王となった真実を未だ知らないドラゴンストーン城のレイニラとデイモンの2人は、どう動いてくるのかのかにも注目が集まる。オットーを初めとした王都(キングズ・ランディング)の面々は、レイニラを排除しようと考えているようだが、そうやすやすと退場するようなキャラクターでないことは、これまでに証明済み。ヴェラリオン家のレイニスの真意もまた読み解くのが難しく、残りあと1話を残すのみとなった現状、どのような結末を迎えるのか全く予想がつかない。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第9話レビュー

なにはともあれ、ターガリエン一族による終わりの見えない壮絶なバトルは、まだまだ流血の絶えないものへとなっていきそうだ…。ドラカリス!

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』は、U-NEXTにて毎週月曜日に新エピソードが配信中。本家『ゲーム・オブ・スローンズ』も全8シーズンが見放題独占配信中。この機会にシーズン1から無料でイッキ見だ。これまでのエピソードレビューは特集ページからチェック。

(文/Zash)

Photo:『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』© 2022 Home Box Office, Inc. All rights reserved. HBO® and all related programs are the property of Home Box Office, Inc./Photograph by Ollie Upton / HBO