『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』レビュー | キーワードはガラドリエル、「よそびと」、そして“力の指輪”

J・R・R・トールキンによる「指輪物語」を原作とし、映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『ホビット』シリーズよりも遥か昔の物語を描き出す、ドラマシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』。

映画で描かれた時代より数千年前の中つ国第二紀を舞台とする本作は、歴史上最も高名なエルフの一人であるガラドリエルの壮大な冒険と戦いを中心に、シリーズで象徴的な“指輪”の誕生を描き切る。世界中に数多くの熱狂的ファンを持つシリーズの最新作ということもあり、2022年9月の配信開始から大きな盛り上がりを見せている。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』押さえておきたいポイント

主に4つの視点から物語が進行

中つ国から敵が去ったと考えるエルフの中でたった一人異を唱える戦士ガラドリエル、エルフの高官で半エルフのエルロンド、自然と平和を愛し、人間たちから隠れて生活を送っているホビット族の先祖であるハーフット、そして敵の魔の手が迫る南方国に駐留するシルヴァン・エルフの戦士アロンディルと人間たち、それぞれの視点から物語が展開され、バラバラだと思われていた点と点がやがて線となり、交錯していくことになる。

そもそも“力の指輪”とは?

そもそも本作のタイトルにある“力の指輪”とは、どういう意味なのか?

『ロード・オブ・ザ・リング』はその名の通り、指輪を巡る物語である。“力の指輪”とは、冥王サウロンのために作られた「一つの指輪」、エルフのために作られた「三つの指輪」、ドワーフのために作られた「七つの指輪」、そして人間のために作られた「九つの指輪」の総称である。シリーズ通して、諸悪の根源であるサウロンが指輪の制作に大きく関わっており、いかにして指輪が誕生したのかが本作では描かれることになる。

そんなストーリーの中で、キーパーソンとなりうるキャラクターが2人いる。それはエルフの戦士ガラドリエルと謎の人物「よそびと」の2人だ。

ガラドリエルは映画シリーズでもお馴染みのエルフ族を代表するキャラクター。のちに「三つの指輪」の一つである「水の指輪」の守護者となり、中つ国で最も力のあるエルフとなった人物。本作では、未だ力という点では未熟なものの、好戦的で人一倍責任感の強いキャラクターとして描写されている。圧倒的存在感でドンと構えているというよりも、一人のエルフの戦士としてまだまだ成長の余地があるキャラクターとして存在しているように見え、印象をガラリと変えることになるかもしれない。

一方、「よそびと」は未だ謎多き人物である。そのため、ファンの間では様々な考察が飛び交っている状況なのだが、多くのファンは彼のことを「灰色のガンダルフ」なのではないかとみている。

『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』

突如、空より隕石のごとく飛来した「よそびと」は人語を離せず、魔法のようなものを操っている。どうやら魔法使いであるということは薄々感じ取れるのだが、その他に関しては全く情報がない。サウロンや「力の指輪」誕生に密接にかかわるキャラクターであると思うが、その正体が気になるところだ。果たして本当にガンダルフなのだろうか?

「指輪物語」関連の作品すべてに言えることなのだが、とにかく登場人物や専門用語が多いため、より多くの知識を有していた方が世界観に入り込みやすいというのはあるかもしれない。

しかしながら、本作はあくまでも前日譚『ロード・オブ・ザ・リング』の始まりの物語と言っても過言ではないため、有名なキャラクターのことや本作が指輪を巡る物語であるということなど、基本情報しか知らなかったとしても大いに楽しめる。ここから『ロード・オブ・ザ・リング』の世界に足を踏み入れたとしても何も問題はない。

すでにシーズン2の製作も決定している『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』 は、Amazon Prime Videoにて独占配信中。

(文/Zash)

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(2022年9月時点での情報です)

Photo:『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』©Amazon Studios