『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第2話レビュー、王弟の反乱と再婚問題

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第2話「王弟」にして、ついに『ゲーム・オブ・スローンズ』ファンを歓喜させる瞬間が訪れる。おなじみの米HBOのロゴが現れた次の瞬間、『ゲーム・オブ・スローンズ』独特のオープニングとラミン・ジャワディによるあのテーマ曲が流れたのだ。(※本記事は第2話「王弟」のネタバレを含みますのでご注意ください)

やはりこの曲を聴くと一気にウェスタロスへ視聴者を誘う効果をもたらしているが、『ゲーム・オブ・スローンズ』とは異なり、『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』では映像が“ターガリエン仕様”になっている。

ここでカメラが通り抜けていく場所は、おそらく第2話でヴィセーリス・ターガリエンの部屋に存在している模型前で語られた古代ヴァリリアの“アノーグリオン”だと思われる。ヴィセーリスいわく、かつて“血の魔術”が行われた場所であるという。

そしてオープニング映像では、本作に登場するキャラクターたちのシンボルが次々と浮かび上がり、それらが川のように流れる大量の血で染められていく様子が映し出される。破滅の一途を辿ったヴァリリアの歴史がターガリエン王朝のウェスタロスでも繰り返されようとしていることを示唆しているのではないだろうか。

選択を迫られるヴィセーリス王

さて、そんな象徴的なオープニングから幕を開けることになった第2話「王弟」では、前回のエピソードで愛する妻、つまりは王妃を失うことになってしまったヴィセーリスに対し、王土安定のために新たな妃を迎えるべきだという小評議会の意見が飛ぶ。そして、海を司る名家の当主であるコアリーズ・ヴェラリオンや“王の手”であるオットー・ハイタワーらの思惑が交錯していくことになる。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第2話考察、王弟の反乱と再婚問題

純粋なヴァリリアの血統を持ち、ターガリエンの血が流れる娘のレーナを推すコアリーズであったが、結局ヴィセーリスは“七王国一の美女”と言われるオットーの娘アリセント・ハイタワーを再婚相手として選ぶ。

これにより最強の海軍艦隊を失い、さらにはアリセントと親友関係を築いてきたレイニラとの関係もギクシャクしてしまったことから、今後ヴィセーリスが様々な苦渋の決断を迫られることは間違いなさそうだ。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』第2話考察、王弟の反乱と再婚問題

さらにヴィセーリスには、弟であるデイモンの魔の手も迫っている。正統な王位継承者であったにも関わらすキングズ・ランディングから追放されてしまったデイモンは、ターガリエンの歴史において先祖代々受け継がれてきたドラゴンストーン城を占拠し、自身の配下であるシティウォッチを従えて、反乱を起こそうと画策する。

この王弟の反乱に立ち向かわんとばかりに颯爽とドラゴンに跨るのは、次なる後継者であるレイニラ・ターガリエン。

ドラゴンの卵を巡る交渉を見事に血を流すことなく解決してみせた。思うに、デイモンはレイニラに対しては然程敵意がないように思える。第1話「ドラゴンの後継者」ではヴァリリア鋼の装飾品を渡すなど、幼き日よりレイニラへ好感を抱いているように見える。果たして、この2人がどのようにして争いへと発展していくのか気になるところだ。

次期女王であるレイニラに対する風当たりは強く、今後ヴィセーリスの元に男児が産まれることになれば、王位継承権を譲らなくてはならないわけだが、今回、ヴィセーリスとアリセントが婚姻を結んだことが大きな要因となり、レイニラとデイモンが手を組む可能性だって捨てきれない。何が起こるかわからない手に汗握る展開もまた一興と言えるだろう。

鉄の玉座に座するたびに怪我を負い、その部分が壊死し続けるヴィセーリスの体調も気になるところではあるが、それも隅に追いやられてしまうほどの欲望が渦巻いている。とにもかくにも当面の懸念事項は、踏み足諸島における“蟹餌作り”への対抗である。海を司る“海蛇”ことコアリーズ・ヴェラリオンを味方につけたデイモンが名を上げることになるのか…? 要注目だ。ドラカリス! 第1話考察はこちら。

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(文/Zash)

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Photo:『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』Photograph by Ollie Upton / HBO