トーマス・ブロディ=サングスターが語る『クイーンズ・ギャンビット』&最新出演作

2021年のエミー賞に数多くノミネートされ、高い評価を得たNetflix製作のリミテッドシリーズ『クイーンズ・ギャンビット』で、チェスのスターであるベニー・ワッツ役を演じたトーマス・ブロディ=サングスター。注目俳優として躍進中の彼が、同シリーズと新作ドラマ『Pistol(原題)』について語っている。

10代の頃から映画『ラブ・アクチュアリー』や『トリスタンとイゾルデ』などに出演し、ファンタジー・アクション映画『メイズ・ランナー』シリーズのニュート役としても知られるトーマス。そんな彼が、英The Guardianのインタビューに登場した。

トーマスが振り返る『クイーンズ・ギャンビット』

トーマスは、『クイーンズ・ギャンビット』に出演する前に2年間ほど俳優業を休んでいたと明かしている。「毎日やりたいと思えることがなかった」ため、少しゆっくりして、どう前へ進むべきかを考えたかったのだという。「俳優業が習慣になるのは嫌だったんです。休んでいる間に忘れ去られることも、それほど心配はしていなかったし、そうなったらそうなったで、何か他のことを探そうと思っていました」と説明している。

そんな、しばらく演技から距離を置いていた彼の心を動かしたのが、『クイーンズ・ギャンビット』だったようだ。もともと本シリーズは映画化される予定だったが、“チェス”というニッチな分野であるため、映画化しても興行収益が見込めない可能性を懸念され、ドラマシリーズ化されることになったとのこと。

トーマス本人も、「チェスの番組が、こんなにヒットするとは誰も思わなかっただろうね」とコメントしている。そしてトーマスは、依存症の問題を抱えたチェスの天才少女、ベス・ハーモン役で主演したアニャ・テイラー=ジョイを絶賛。「異なる時代を通して全てのシーンに出演することは、彼女にとって大変な仕事だったと思います」と述べ、敬意を示していた。

最新出演作はセックス・ピストルズを描いた注目ドラマ

そして、『クイーンズ・ギャンビット』で一躍注目俳優となったトーマスが次に選んだ作品が、70年代を席巻したパンクバンド、セックス・ピストルズを描くリミテッドシリーズ『Pistol』で、彼はバンドのマネージャーだったマルコム・マクラーレンを演じている。

だが、その役作りは容易ではなかった模様で、いくら調べてもマクラーレンは掴みどころがなかったのだという。イギリス人なのにアメリカ訛りで喋ったかと思えば、コテコテのロンドン訛りを口にする彼について、トーマスは仕草なども徹底的に研究したそうで、まるで自分の頭の中にマクレーランについてまとめた一冊の本を作ったようだったと語っている。

セックス・ピストルズのギタリスト、スティーヴ・ジョーンズが執筆した回顧録「Lonely Boy:Tales from a Sex Pistol」を下敷きにした『Pistol』は、彼が継父から受けた性的虐待や薬物依存などについても描かれ、ファンが期待するよりもダークな内容になっているとのこと。

そこでトーマスは監督のダニー・ボイル(『トレインスポッティング』)に、どれぐらいシリーズがダークになるのか事前に尋ねた時のことを振り返っている。「こんなことを言われました。“その当時に最もブッ飛んでいてバカバカしく、怒りに満ちたバンドだったセックス・ピストルズのセックス、ドラッグ、ロックンロールなスタイルを魅力的に表現するには、闇に飛び込むことなしに充実した番組にはならないだろう”と」。そう語ったトーマスは、「ダニーが見せたかったのは、人の顔に唾を吐きかけるような怒りに満ちた男たちの儚さ、型破りな男らしさの脆弱性だと思います」とも分析している。

全6話となる『Pistol』は、米Huluにて5月31日(火)に配信スタートしたばかり。『クイーンズ・ギャンビット』はNetflixにて配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『クイーンズ・ギャンビット』(C)COURTESY OF NETFLIX