リッキー・ジャーヴェイスのスタンドアップコメディに批判殺到

『After Life/アフター・ライフ』などで知られるリッキー・ジャーヴェイスによるスタンドアップショー『リッキー・ジャーヴェイスの現実主義』の配信がNetflixにて始まったが、その内容にLGBTQ団体をはじめ各方面から非難が殺到していると米Deadlineほか複数メディアが伝えている。

5月24日(火)に配信が開始したばかりのNetflixスタンドアップショー『リッキー・ジャーヴェイスの現実主義』。2018年に配信された『リッキー・ジャーヴェイスの人間嫌い』に続く第2弾で、『After Life/アフター・ライフ』では監督、企画、製作総指揮、脚本、出演を担当するなどマルチに活躍するリッキーが、コメディアンとしてイギリス仕込みのシニカルなジョークを交えながら舞台に立つ。

ショーでは、開始からわずか4分で女性やトランスジェンダーに対する蔑視ともとれるような発言が。「女って奴は。全ての女じゃなく、昔からよく言われる、いわゆる女性たちの話だ。子宮がある奴ら。化石みたいな連中だ。今時の女性は最高だよな。最近よく見るタイプだ。ヒゲとナニがある」などと、下品で馬鹿にしているような冗談を連発したリッキー。そんなショーの最後には、「性自任の権利は人権であり、私はすべての人権を支持しています。最高の人生を送ろう。お好みの代名詞を使おう。自分が自分だと感じられるジェンダーでいよう」とし、彼の放ったジョークは全てショーの爆発力を生み出すためだけのものであったと説明している。

米国内でLGBTQのイメージに関するメディアモニタリングを行う非政府組織GLAAD(グラード)は「(『リッキー・ジャーヴェイスの現実主義』は)冗談という建前で、どぎつく危険な反トランスジェンダー的暴言ばかりです」とTwitterに投稿し「饒舌に反ゲイ的発言を誇張して述べ、HIVに関する正しくない情報を広めた」と非難した。

続けてリッキーとNetflixを名指しして「効果的な治療を受けながらHIVと共に生きている人々には長く健康的な生活が待っており、HIVを他者へ感染させることはありません」と強調。さらに「Netflixはプラットフォームで“嫌悪や暴力を助長する”コンテンツを許さないというポリシーがあるにも関わらず反LGBTQコンテンツを置いていることが、誰の目にも明らかです。Netflixは画期的なLGBTQ番組のホームでありながら、コメディではその独自のポリシーを貫くことを拒否しているのです」と声明で述べた。

最後には「LGBTQコミュニティとそれを一緒にサポートする団体は、ユーモアの代わりに憎悪を吐き出すコメディアン、そして彼らにそんな場所を与えるメディア企業に責任があることは明確であると考えています。一方で、サポートするべきたくさんの面白いLGBTQコメディアンがいます」と声明を締めくくっている。

配信直後から非難が殺到したが、Netflixスタンドアップショーが原因で炎上したのは彼が初めてではない。2021年『デイヴ・シャペルのこれでお開き』でトランスジェンダー嫌悪発言が問題になり、Netflixの社員がボイコットのデモをするなど抗議活動が行われた。Twitterでは様々な非難が見られるが、その中には「(リッキーが)コメディアンでトランスの人を支持しているというのであれば、デイヴ・シャペルについて触れることが役目だったんじゃないか」という声もあるようだ。

現時点でNetflixはDeadlineが求めたコメントに応じていないという。(海外ドラマNAVI)

Photo:リッキー・ジャーヴェイス©JHMH/FAMOUS