『アリータ:バトル・エンジェル』ローサ・サラザール(アリータ役)直撃インタビュー

SF漫画の最高峰として語り継がれ、日本はもとより世界17の国と地域で翻訳された木城ゆきと原作による伝説の漫画「銃夢」。その「銃夢」が、長年に渡り映画化を切望してきた巨匠ジェームズ・キャメロンが製作・脚本を手掛け、ロバート・ロドリゲスがメガホンを取った『アリータ:バトル・エンジェル』としてついにスクリーンに登場する。

天空に浮かぶユートピア都市"ザレム"と、ザレムから排出された廃棄物が山をなすクズ鉄町"アイアンシティ"。支配する者と支配されるものの2つの世界に分断されていた大戦後の未来で、"アイアンシティ"のサイバー医師イドはクズ鉄の山から少女の頭部を発見する。彼女は300年前のサイボーグで、奇跡的に脳は生きていたものの過去の記憶を失っていた。イドは彼女に新しい機械の身体を与え、"アリータ"と名付けるのだった......。

今回は主人公であるサイボーグの少女アリータを演じるローサ・サラザールを直撃! 演じたキャラクターや撮影の裏話などを語ってもらった。

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――アリータのビジュアルではやはり目の大きさにインパクトがありますが、原作を読んでいたこともあって、見ているとあっという間に慣れました。ローサさんはアリータのビジュアルを聞いた時にどう思われましたか?

実はあのビジュアルのことは役を得る前から知っていたの。監督のロバートとカメラテストの前に互いをよく知るためにランチを一緒にしていた時、彼が「本当はこんなことするべきではないんだけど、君に作品のコンセプトについて教えておこう」と言って資料を見せてくれて、そこに私の顔で作られたアリータのビジュアルがあったから。それを見てロバートに言ったの。「私が役を演じるのでなければ、これは使わないで」って(笑) だって、そんなのひどいでしょ!? でも、あれってきっと私が第1候補だったってことなのよね。まだアリータ役に決まっていないのに、いろいろと先のことを考えることはしたくなかったけど。おかげでこの作品の目指す先が撮影開始前から見えていたから、ビジョンをしっかり持った監督と仕事ができて良かったわ。

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――完成した映像を観た時のご感想は?

知っていたはずのアリータをスクリーンで初めて観た時には言葉が出ないくらい圧倒されたの。CGを担当したWETAが『ロード・オブ・ザ・リング』や『猿の惑星』といった数々の映画で成し遂げてきたことはわかっていたから今回も素晴らしいものになるだろうとは思っていたけど、アリータはこれまで誰もやったことがないようなキャラクターだったわ。姿かたちが人間そっくりであるだけでなく、私のエッセンスを見事に捉えていたの。私の演技の一つ一つが細かいところまで生かされている上に、WETAの技術が掛け合わされて、人間以上に人間らしいキャラクターに仕上がっていたわね。まるで、リンゴ(・スター)だけじゃなくてあの4人全員が揃って初めてビートルズになるみたいにね(笑)

――アリータというキャラクターにどんな魅力を感じましたか?

アリータはダイナミックで激しいキャラクターね。だけど、いろいろな側面を持ったキャラクターでもあるの。こういう女性がこんな大作映画に出るというのはすごく嬉しいことだし、こういうクレイジーな宇宙観、クレイジーなキャラクターをいっぱい作ってくれた木城先生に感謝したいわ。

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――アリータの目のビジュアルやサイボーグの体をCGで表現するため、パフォーマンス・キャプチャーで撮影されていましたが、ローサさんの演技もしっかりと感じ取れる作品でした。

そもそも、パフォーマンス・キャプチャーという技術のおかげで私はアリータを演じることができたのよね。そうでなければ能力的にも年齢的にも自分と大きく異なる役を演じることはできなかったはずだから感謝しているの。そんなパフォーマンス・キャプチャーに関して気に入っているもう一つのことは、2台のハイビジョンカメラに常に一挙手一投足を追われているということ。そのおかげでより表情豊かにしなければならないし、本当に集中する必要があったわ。顔だけでなく身体全体を使って演技する必要があったから、常に演技すべてがキャプチャされていたの。私が試したちょっとしたニュアンス、演技の一つ一つがすべてアリータというキャラクターに生かされることになるから、これは大きな挑戦であるとともにとても素晴らしい贈り物になったわ。

――苦労した点はありましたか?

苦労したのは、いつどんなことをするのかをきっちり計画立ててやらなきゃいけないことね。例えば水を一杯飲むのにも気を使ったわ。パフォーマンス・キャプチャー用のスーツは脱ぎ着するのに30分かかるから、撮影途中でトイレに行かなくて済むように、いつどのくらいの水を飲むのかにも注意したわ。スタッフを待たせたくないもの。

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――近年では『メイズ・ランナー』シリーズや『バード・ボックス』といった世界的ヒット作に出演していますが、これまでのキャリアを振り返って、今の状況をどう思われますか?

最高の気分よ(笑) まだ働けているもの。仕事があるというのは本当に有り難いわ。これまでに体験したことのすべてが今に生きていると思うの。これまでの仕事で得た経験がなければこんな風に自信を持って本作に臨むことはできなかったでしょうね。特に『メイズ・ランナー』シリーズでの経験は役に立ったわ。大金をかけたフランチャイズ作品で、大掛かりなセットにおいてかなり難度の高いスタントを演じていたから。

――キャリア初期の頃には『アメリカン・ホラー・ストーリー:呪いの館』でマリアという少女を演じるなど、主演ではないですが印象的な役柄を演じられていましたね。

これまではずっと助演だったから下積みを重ねることはできたけど、正直に言うと、もっとやりたいとずっと思っていたの。助演の仕事は主人公をサポートすることで、チームプレーヤーじゃなきゃいけないでしょ。私の"結婚式"じゃないから、陰から盛り上げないといけないのよね。もちろん、それも楽しいんだけど。

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――大作映画の主演を務めることは大変でしたか?

本作で実際に主演を務めてみると、すべてのシーンに私が出てくるのよね。すごく楽しかったけど、あまりにもたくさんの持久力が必要なので流石にちょっと疲れちゃったわ。そして長期の撮影が終わるといろんな国へ飛んでプロモーションを行う必要もある。とはいえ、それらはすでに『メイズ・ランナー』で経験したことだから戸惑うことはなかったわ。これまで業界で経験してきたことのおかげで、演技のコツを身に着けていただけでなく、ビジネスパーソンとしてどう行動すべきかも心得ていたの。そして今回は主演としてどうすべきかを学ぶことができたわ。

――原作者の木城さんは映画化を20年前から待っていたそうです。原作に惚れ込み製作・脚本を手掛けたジェームズ・キャメロンにとっても念願の企画ですが、彼とはどんなことを話したのですか?

私がオーディションを受けた時、監督のロバートがすぐにジェームズにメールしたの。「結論に飛びつきたくはないけれど、おそらく我々のアリータが見つかった」ってね。そして私のオーディションテープも送られたわ。するとジェームズが「もう探す必要はない。彼女で決まりだ」って返してきたの。それを知った私はもちろん最高の気分だったわ。でも彼らにとっては、長年にわたって取り組んできた念願のプロジェクトなのよね。

その後、カメラテストを受けて正式に役を手にした私のところへジェームズからすっごく長くて感動的なメールが届いたのよ。「私はずっと心の中にアリータを抱いてきた。彼女がようやく体を見つけることができて嬉しいよ。君にバトンを渡そう」ってね。20年もの長い間抱えてきたものを他の人に託すということで、彼にとっても、そして私にとっても本当に特別な瞬間だったわ。

(文/豹坂@櫻井宏充)

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『アリータ:バトル・エンジェル』は2月22日(金)より全国ロードショー。
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ローサ・サラザール
『アリータ:バトル・エンジェル』
(C) 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation