『Summer of 85』主人公を虜にするダヴィドを演じたフランス映画界最注目のバンジャマン・ヴォワザンとは?

二人の少年が愛に溺れ永遠の別れを知るまでの6週間を描くフランソワ・オゾンの最新作『Summer of 85』が8月より公開する。それに先駆け、主人公を"サソリのような色気"で魅了する大型新人俳優バンジャマン・ヴォワザンをご紹介!

青春小説「Dance on my Grave」(邦題:おれの墓で踊れ)を原作とした『Summer of 85』の舞台は1985年の夏フランスの海辺の町。純粋無垢な16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーヴル『ル・シャレー 離された13人』)が、自然体で自信に満ちた少年ダヴィド(バンジャマン)に出会い、恋に落ちていくラブストーリー。

17歳で原作小説と出会って以来映画化を熱望していたオゾンは、脚本が完成する前からオーディションを開始し、フェリックスとバンジャマンという二人の原石を見出した。今回は、ユニフランスが発表した2021年注目の新人10人にも選出されているバンジャマンの魅力に迫る。

1996年フランス・パリ生まれのバンジャマンは、ジュリエット・ビノシュ(『イングリッシュ・ペイシェント』)、イザベル・ユペール(『ロマノフ家の末裔 ~それぞれの人生~』)らを輩出したフランス国立高等演劇学校出身。俳優だけでなく脚本家としても活動する、フランス映画界きっての若手注目株だ。フランスを代表する2大俳優カトリーヌ・ドヌーブとジェラール・ドパルデューが共演したコメディ『ホテル・ファデットへようこそ』や、オスカー・ワイルドの知られざる晩年を描いた伝記『さすらいの人 オスカー・ワイルド』などへ出演した経歴を持つ。

今後は、第51回カンヌ映画祭で短編パルムドール受賞のグザヴィエ・ジャノリ監督作で、グザヴィエ・ドラン、ジェラールらと並び主要キャストとして出演する『Comédie humaine(原題)』や、『燃ゆる女の肖像』のノエミ・メルランが監督を務める『Le bal des folles(原題)』など注目作が待機している。まさにこれからの活躍に期待が高まる俳優だ。

そんな大型新人が本作で演じたのは、純朴な16歳のアレックスとは真逆の魅力を持つ、自由奔放で自信に満ち溢れている18歳の少年ダヴィド。颯爽とバイクを乗り回し、ヨットの操縦も得意なダヴィドが放つ、野生動物のような荒々しさとカリスマ性にアレックスは魅了され、次第に二人は深い関係で結ばれていく。しかし、そんな幸せな日々も長くは続かなかった。愛すれば愛するほどに湧き上がる"満たされない気持ち"。「ほんの一瞬も離れたくない」と願うアレックスを待ち受けていたのは、ダヴィドとの突然の別れだった――。

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これまでか弱くてシャイな役ばかりを演じてきたバンジャマンだったが、本作では短期間で筋肉を厚くするハードなトレーニングに挑戦。鍛え上げた肉体美でワイルドなダヴィドのイメージを作り上げた。父親を亡くし、学校に通わず母親が切り盛りする船具店で働いているダヴィドは、人生を謳歌していながら、どこか生き急いでいるような刹那的な雰囲気が漂う一面も。

「(オーディション合格から)数週間は、はっきりとダヴィドという人物が分からなかった」と明かすバンジャマンは、オゾンと何度も話す中で"ダヴィド像"を掴めたという。

「僕が目指すのは、サソリになることだと分かった。"いい奴そうじゃないか"と思ってちょっと顔を上げてみたら、爬虫類特有のしっぽが見えて今にも襲い掛かろうとしている。最初にチラっと笑う瞬間から危険な匂いをまとっていなきゃいけない。どこか破壊的な一面を感じさせるためにね」

観る者をたちまち虜にする、甘いマスクの奥に潜んだ危険な香りを纏ったバンジャマン演じるダヴィドに出会える『Summer of 85』は、8月20日(金)より全国の映画館で順次公開予定。(海外ドラマNAVI)

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『Summer of 85』© 2020-MANDARIN PRODUCTION-FOZ-France 2 CINÉMA–PLAYTIME PRODUCTION-SCOPE PICTURES