スーパーモデル、その後の世代は賢い!

1980~90年代、日本がバブルに浮かれていた頃、その時代を象徴する存在に、"スーパーモデル"がいました。シンディ・クロフォードを代表格に、クリスティー・ターリントン、ナオミ・キャンベル、リンダ・エバンジェリスタ、クラウディア・シーファー...。シャネルのカール・ラガーフェルドなどファッション界の超大物にお墨付きを与えたモデルたちがトップモデルを超えたスーパーモデルとして、ファッション界を飛び出し、社会現象にまで持ち上げられたのです。

しかし、モデルの寿命が短いのは"スーパー"がついても変わりません。一回1万ドル以上と言われたランウエイ出演料、あまりにもギャラが高騰しすぎたため、またそれまでのファッションモデルの世界では考えられなかった露出の多さから、まず最初にファッションショーから声がかからなくなりました。

シンディ・クロフォードはリチャード・ギアと結婚・離婚で格を上げ、映画『フェア・ゲーム』でいきなりの主演デビューしますが、演技には程遠く、それ以降彼女はスクリーンに呼ばれることはなくなりました。現在は、ハリウッドの人気クラブのオーナーと結婚し、それなりに幸せそう。それでも絶頂時のシンディを知っている身には物足りないエンディング。他には一時はヨガのインストラクターまでしていたクリスティー・ターリントン、彼女はモテ男のエドワード・バーンズ(『プライベート・ライアン』等)と結婚。その存在を忘れかけると暴行罪で逮捕され、再びメディアに取り上げられるナオミ・キャンベル。と、結局はファッションモデル時代が頂点だったという人がほとんど。例外は歌手として、ヨーロッパで活躍しているカーラ・ブルーニくらいなものでしょう。

タイラ・バンクス

そんな初代のスーパーモデルのちょう落を見て学んだのが、その後のスーパーモデルたち。モデルのサイクルがさらに短くなっている今、彼女たちは現役モデル時代から、"引退後"の人生設計に余念がないのです。黒人セレブの大御所、トークショーホストのオプラ・ウィンフリーの後継者と見られているタイラ・バンクスは、自身のトークショー『The Tyra Banks Show』では自虐ギャグも飛ばします。よくタブロイドに太った写真とか撮られてますけど、これって肥満気味多数のアメリカ人に親近感植え付けさせる作戦では? そのくらい賢いですからね、タイラは。さらに出演・製作するリアリティショー『America"s Next Top Model』もすでに第8シーズンが終了。あんまりにも仕事が好調なので、ボーイフレンドは作る暇がないと公言しているほどです。

女優としてキャリアを築き上げているのは、レベッカ・ローミン。スレンダーな体型を活かして、ブロックバスター映画『Xメン』に出演。これで自信を得たのか、当時パッとしてなかった夫ジョン・ステイモス(『フルハウス』)と離婚。昨年は主演TVドラマ『Pepper Dennis 恋するアンカーウーマン』が打ち切りになったものの、引き続きTVドラマ『Ugly Betty』にキャストされています。そしてついこないだ、交際していたジェリー・オコネル(『<タンド・バイ・ミー』)と結婚。

ハイジ・クルム

また、司会するリアリティショー『プロジェクト・ランウエイ』がヒットしているハイジ・クルム、美人&ビッチキャラをうまく生かし、コメディ映画の脇役に挑戦中のジゼル・ブンチェンと、ショービジネスに進出する20代後半のスーパーモデルたちの活躍が目覚しいんです。

最初のスーパーモデルは、美しい、きぜんとした、クールなどのイメージがすべて声なんか聞かなくてもよかった。けれど今の時代、演技もできれば、しゃべりもできる、お笑いもOKよ、くらい全然普通。そのターニングポイントは「Victoria"s Secret」の下着ショーをCBSがTV中継し始めたことからでは? つまり、これまでファッションに興味のある女性だけがあこがれていたスーパーモデルが、いきなり下着姿萌え~の男性諸氏すべて!? に、その知名度を広めてしまったということ。スーパーモデルだって身近な存在にしちゃうTVの力ってやはり大きい!