英語学習熱が高まる中、日本でも語学留学してみたいと思っている方はたくさんいらっしゃるでしょう。日本人にとって、一番なじみのある候補地といえば、やっぱり南カリフォルニア。
花子「お母さん、私、ロスに留学しようと思ってるんだ」
(なんてベタな日本名だ!)
母「え、ロスって危険じゃない?」
(なんてベタな印象だ!)
花子「んー、だから高級住宅地のビバリーヒルズか、オレンジ・カウンティ(OC)のニューポートビーチにしようかと思ってるんだけど、どっちがいいか、イメージがわかないのよ」
(なんてぜいたくなことをほざく娘だ!)
母「あら、ママがいいこと教えてあげる。じゃあ、これ見ようよ」
と母親、2本のDVDを差し出す。そのタイトルは...。
『ビバリーヒルズ高校白書』と『The OC』。
(やっぱりね。なんてベタな展開!)
花子「お母さんたら用意しすぎ...」
(そうだそうだ!)
母「しょうがないじゃない、だって『海外ドラマNAVI』のコラムなんだもん」
(ちゃんちゃん!)
というわけで、別コラムで紹介している"ディラン&キャサリン"みたいにはいかないけど、この2人の会話、けっこう正しいんだな。『ビバヒル』と『OC』を見ると、2つの街の特徴がすごーくよくわかります。
場所――ビバリーヒルズはロサンゼルス郡内。ロサンゼルスのダウンタウンより車で20~30分くらい。ニューポートビーチはオレンジ郡(オレンジ・カウンティ)内。2つの街は車で1時間半くらいの距離。
気候――どっちもどっち。今年の南カリフォルニアは雨が少ないので、すごく快適。ただ、ニューポートはビーチ沿いのため、夏になっても涼しめ。ビバヒルは内陸に位置するため平均気温は少し高い。
住人――どっちもどっち。超高級住宅地のため住んでいる人々は相当なリッチである。職業においては、ビバヒルはハリウッドに近い場所柄、ショウビズ関係者多し。主な居住者は、アングロサクソン系アメリカ人やユダヤ系アメリカ人。ニューポートは、企業の重役やオーナー、さらに海辺の開放的な雰囲気を愛し、画家などアーティストも多く住む。アングロサクソン系アメリカ人が主流の土地だけれど、最近はユダヤ系、アジア系も増えてきた。
治安――他のLA、OC郡エリアに比べればそりゃ安全。だけど暗くなってから歩いてる人はいないし、一般商店やお金持ちが家に防犯アラームをかけるというのは半ば常識。悪い人はどこにでも入ってくるもの。
娯楽――ビバヒルはハリウッド、サンタモニカが隣町だけあって、遊び場所には事欠かない。ビーチ、公園、美術館、劇場からレストラン、クラブ・バーなど都会と田舎のレジャーが楽しめるLAは世界有数の娯楽エリアだろう。一方のニューポート。OCはもともと住宅地として発展しているだけあって、夜は早くお店が閉まるなど不便もある。ただし、美しいビーチはサーファーたちの憧れ、世界中から観光客が集まるディズニーランド、ユニバーサルスタジオなどアミューズメントパーク、大ショッピングセンターのサウスコーストプラザ、さらにサンディエゴやパームスプリングスなどバケーション地も比較的近いため、ホリデーのバリエーションは豊か。
若者度――ニューポートビーチの豪邸に住んでるのは中高年以上が多いと思うけれど、コンドミニアム(日本でいうマンション)も普通にあり、そこには若者たちも住む。とはいっても家賃が高いのでルームメートと一緒に住むパターンが多い。トークショーホストのデビッド・レターマンがニューポート・ビーチのことを「白人が一年中パーティーしてる街」と紹介したけれど、街全体が静かなだけに、若いアメリカ人のバカ騒ぎぶりにはカルチャーショックを受けるかもしれない。
さてさて...。
母「ねえねえ、どっちにするか決まった?」
(なんてお気楽ママなんだ!)
花子「このドラマ両方ともおもしろい! ねえ、ママ、どっちとも留学しちゃ ダメ?」
(そもそも両方ともロスの高級住宅地だっての!)
母「あ!うちには貯金がなかった!でもDVDのおかげでいつでも留学気分ね!」
(ちゃんちゃん!)
さあ、あなたなら、どっちを選ぶ?