スティーヴン・キング原作新ドラマ『ヘイヴン-謎の潜む町-』現場取材レポート。超自然現象ぼっ発中!世界遺産の町をドラマナビ取材班が行く!(前編)

 

世界で最も熱狂的なファンを持つ作家の1人、スティーヴン・キング原作の最新作となるTVドラマシリーズ『ヘイヴン-謎の潜む町-』が、米SyFy(サイファイ)で7月からスタートし、話題を呼んでいます。
日本でも10月からユニバーサル チャンネルでの放送が決定しました。放送に先立ち、なんと海外ドラマNAVIは、撮影現場の取材を敢行。超自然現象が飛び出す、摩訶不思議な新ドラマの舞台裏をちょっとだけ見てきました。

レポートをお伝えする前に、『ヘイヴン-謎の潜む町-』について少し説明しておきましょう。
『ヘイヴン-謎の潜む町-』は、同じくキング原作のTVドラマシリーズ『デッド・ゾーン』製作陣のショーン・ピラーやスコット・シェパードが、キングの小説『コロラド・キッド』を元にイマジネーションを膨らませた新TVドラマシリーズです。FBI捜査官オードリー(エミリー・ローズ)、地元の刑事ネイサン(ルーカス・ブライアント)が、一見平和そうで実は謎に満ちた小さな町ヘイヴンを舞台に、超自然現象が引き起こす事件の解明に取り組みます。天涯孤独のオードリーの生誕にまつわるサイドストーリーも気になるところで、芯の強い女性ヒロインに『フリンジ』を重ねる声もあります。

海外ドラマNAVI取材班(といっても私1人、長たらしいので以下D取材班)が行ってきたのは、カナダ・ハリファックス空港から車で2時間のノバスコシア州ルーネンバーグ。米ボストンのちょっと北にあたるエリアで、6月末とはいえ、少々肌寒い。『ヘイヴン-謎の潜む町-』の撮影は、この大西洋を臨む風光明媚な小さな町ルーネンバーグと、近くの町チェスター一帯で行われているのです。

キング・ファンなら、小説の舞台はカナダではなく米メイン州のはず、と思われるでしょう。キングの小説は彼の故郷メイン州を舞台に書かれることが多く、『ヘイヴン-謎の潜む町-』も、その名の通り、メイン州ヘイヴンが舞台となっています(ただし、メイン州に実在するのはノース・ヘイヴン)。ところがメイン州でのロケが処々の事情で難しく、より制約がなく、税制面での控除のあるカナダ・ノバスコシア州で撮影が行われることになったのです。また、このルーネンバーグという町は、メイン州の湾岸の町と町並みが似ているのだそうです。

★ルーネンバーグに到着 『ヘイヴン-謎の潜む町-』は全米&インターナショナル向けドラマ

現地で世界各国からやって来たTV記者たちと合流しました。メンツはヨーロッパの国々、メキシコ、中国、シンガポール、そして日本です。どうして米での放送前にインターナショナルな記者による『ヘイヴン-謎の潜む町-』の撮影現場取材が行われることになったかと言えば、『ヘイヴン-謎の潜む町-』は全米だけでなく、全世界で放送が決定した上で、資金を調達、製作されているドラマだから。最近こういうインターナショナル資本が入ったドラマが増えています。通常のドラマはパイロット版を製作してから、米の放送局にお伺いを立て、オンエアされるか否かが決定します。一方、この番組はパイロット版の製作前から、全米及び全世界のユニバーサル傘下チャンネルでの独占放送権が購入されたという珍しいパターン。それだけ成功が期待されているということでしょうか、キャスティングを始める前から1シーズン13話分の製作費が確保されていたわけで、エグゼクティブ・プロデューサーのショーン・ピラーは、「おかげでエミリーやエリック(・バルフォー)のような才能あるアクターをキャストできた」と話していました。
売れっ子俳優の彼らにとっても、1シーズン分の仕事が確保できるのはありがたいことでしょうね。

時間があったので、数人の記者と一緒に世界遺産に指定されているルーネンバーグの町を散歩することにしました。おとぎの国にやって来たようなロマンチックな町並み。D取材班も柄にもなく感傷的な気分になってしまいます。オランダ記者によれば、こういう建築を"ビクトリアン"と呼ぶのだそうです。ルーネンバーグの家々はビクトリアンの建築様式に加え、外壁はピンクや赤、水色などカラフルなんです。外観を完ぺきに手入れした家もあれば、要ペンキ&要修理な家もある。庭には洗濯物も干してあります。世界遺産だけど、ここにはちゃんと生活の息遣いがあるんですね~。

こんな贅沢な環境の中、『ヘイヴン-謎の潜む町-』は撮影されているわけです。これまで、ルーネンバーグでカナダ製ドラマのロケが行われたことはあるらしいのですが、『ヘイヴン-謎の潜む町-』のような大きな製作費のTVドラマで使われるのは初めてだとか。『ヘイヴン-謎の潜む町-』でこの町を見たら、きっと一度旅してみたくなるんじゃないかと思います。

★現場訪問当日はあいにくの雨 じゃじゃ降りの中にプロ根性を見た

撮影現場訪問の当日、空はあいにくの雨模様。この日は、ルーネンバーグの町から40分離れたボート乗り場でロケ撮影。移動中、激しくなる一方の雨。記者たちには雨カッパが支給されました。こんなじゃじゃ降りの中で撮影があるのか?といぶかしがるD取材班は甘かった。ボート乗り場に到着すると、完全防備の雨具を身に着けたスタッフたちが忙しく働いています。「あーあ、もっといい日に来てほしかったよね、ここの景色は最高なのに」とスタッフの1人。たしかにボート乗り場から見渡す海は晴れていれば絶景でしょう。空を恨んでも仕方ない、晴れの景色はオンエアで確認します。

雨宿りに、記者たちもキャストやスタッフたちの控え小屋?に通されました。
中は混みあっていて、梅雨時の通勤電車を思い出しましたが、エミリーは快く「私の世界へようこそ」と迎えてくれました(主役なのでもちろん座席確保)。エミリーとは、この日の午前中にインタビューで顔を合わせたばかり。私たち記者十数人一人一人の質問に答えるだけでも一仕事だったと思いますが、涼しい顔をして、小型ビデオカメラで私たちを逆取材し始めました。
なんでもSyFy(サイファイ)から撮影の合間に使うように渡されたらしく、番組のウェブサイトに使うようです(だけど撮るに耐えない被写体と思ったのか、さっさと引っ込めてしまいました...あれれ?)。

いよいよエミリーとルーカスに声がかかり、撮影スタンバイです。私たちも外に出るように指示がありましたが、D取材班は根性がないので最後尾で退場。だって本当に凄い雨だったんです。

ピラーからこのシーンについての説明がありました。このボート乗り場で事件があり、救急車で怪我人が運ばれるというシーンのようです。その怪我とは特殊能力が引き起こしたものだったんですねえ~。このシーンは第7話で放送されます。

リハーサルが始まりました。エミリーとルーカスがボート乗り場にやって来るところから始まりましたが、2人は傘をさして登場。リハーサルをした後、エミリーたちは監督とピラーと話をしています。自分の演技プランについて話をしているのでしょう。短いシーン(20秒ほど)でも、監督やキャストたちの意見はそれぞれなわけです。この雨の中で今さら何を?と思ったりしますが、こういうハタ目には理解できないことを一生懸命やるのがプロの仕事なのかもしれません。このシーンを何度か繰り返したところで、記者たちは引き上げることになりました。エミリーたちが車の中で待機しているのが見えたので、本番はこれから始まるようです。

後編→

■『ヘイヴン-謎の潜む町-』(原題:HAVEN)
【放送日時】10月18日(月)スタート 毎週月曜22:55~
<再放送>火曜10:30~、17:30~他
【放送】ユニバーサル チャンネル