【お先見！海外ドラマ日記】【ネタばれ】"恐竜＋タイムトラベル＋ファミリー"だけじゃない！連続ドラマの展開も楽しみな『Terra Nova』（from San Diego）

2011年10月8日 2011年10月8日 ※本ページにはアフィリエイト広告が含まれます

9月26日（月）、スティーヴン・スピルバーグが製作総指揮を務めるSFドラマ『Terra Nova』の第1話が、米FOXにて2時間枠で放送されました。

実をいうとこの作品、TVドラマとしては破格の超大作とわかっていても、設定を聞いた限りでは個人的に様子見のランクでした。恐竜ものといえば同じスピルバーグによる『ジュラシック・パーク』シリーズがあるし、子ども時代から同系統の特撮作品に親しんできたこともあって、"家族が恐竜時代にタイムトリップして冒険する"という設定はあまり新鮮に感じられなかったのです。

なので、前半は「ふーん」てな感じで見ていたんですが、

開始後1時間が経過するころから、「ムムッ、これは！」と目が冴えはじめ、姿勢が前のめりになりましたよ。

物語は、自然環境の破壊により真っ黄色な惑星に変貌してしまった2149年の地球から幕を開けます。「屋外では酸素マスクが不可欠」「新鮮な果物は超レア物」「子どもは二人しか生んじゃダメ」という鬱陶しい社会に生きる人々にとっての唯一の希望－それは、8500万年前の原始時代で新生活を送る入植団に選ばれること。第二のチャンスを求めてタイムトンネルをくぐり抜け、新天地「テラ・ノヴァ」への入植に加わったシャノン一家がおくる、波瀾万丈な生活を描くのが本作です。未来とは天と地ほどの差がある緑豊かなフロンティアのシーンは、オーストラリアのクイーンズランドでロケ撮影されており、美しい景観がたっぷり楽しめます。

これだけでも多くの視聴者、とくに家族向けにはアピールしそうなんですが、あまのじゃくな性格がじゃまをして、斜にかまえてしまっていたのですね。いや、冒頭から結構サスペンスフルに物語は展開するんですよ。シャノン家のお父さん・ジムは警官であるにもかかわらず、「二人っ子政策」のルールを破って3人目の子どもをもったために、今は獄中の身。入植団に選ばれた妻の助けをかりて脱獄したはいいものの、末娘を含む家族全員で監視の目をくぐり、タイムトンネルを通り抜けることができるのか？　－というところでハラハラさせます。

でも、新天地についてしまえば一安心。タイムトンネルは一方通行なので、未来に送り返されることはないし、テラ・ノヴァも人手を必要としている。子供たちは初めて触れる自然や恐竜に大喜び。そんなわけで、シャノン家は徐々に新生活になじんでいきます。うーん、このままだと「恐竜時代を舞台にした家族ドラマ」で終わってしまいそうですよね。

そんな危惧がひときわ強くなったのは、17歳の長男ジョッシュの行動を見たとき。家族ドラマといえば、反抗期のティーンエイジャーは欠かせませんからね。獄中にいたためにかまってくれなかったお父さんに不満たらたらなのはわかるとして、新天地に来てからの素行は問題だらけ。後ろ髪引かれる思いで未来の地球にガールフレンドを残してきたにもかかわらず、初めて会ったカワイ子ちゃんの誘いにほいほい乗り、同じ年頃の仲間とつるんで安全地帯の外に繰り出すジョッシュ。案の定、どう猛な恐竜に狙われてしまうわけで...。パイロットエピソードはそんな息子と父の和解が物語の核になっていますが、テーマそっちのけで「ほれ言わんこっちゃない、人類の存亡をかけた壮大なプロジェクトにティーンエイジャーを参加させるのは禁止！」と心の中で叫んでしまいました。

でも、最初にお話したように、物語の中盤では驚くべきことが待ち受けています。日本でも来年DVDがリリースされるので詳しいことは伏せますが、どうやらテラ・ノヴァには、大半の入植者が知らない大きな秘密があるようなのです。しかもその秘密は、人類の過去と未来の運命にも影響するらしく、入植者同士の対立を引き起こす原因にもなっている。ミステリーと政治的対立がもたらす緊張感により、『Terra Nova』は連続ドラマとして（少なくとも13話は）十分もちこたえる作りになっています。

ちなみに、お父さんのジムを演じているのは、やはりタイムトラベル物だった『ニューヨーク1973/LIFE ON MARS』で主役を務めたジェイソン・オマラ。また、テラ・ノヴァの指揮官ナサニエル・テイラーを演じているのは、映画『アバター』のスティーヴン・ラング。スティーヴンは『アバター』では憎たらしい悪役をパワフルに演じていましたが、本作では責任感の強いリーダーとして、抑制のきいた演技を見せてくれています。ナサニエルは『アバター』ほどあくどいことはしなさそうでも、テラ・ノヴァの秘密に大きくかかわるキーパーソンであることから、まだ油断は禁物。二人の俳優の掛け合いは本作の見どころになるかもしれません。

とにかく、キャッチーな要素を盛りこみつつ、連続ドラマの仕掛けもしっかり用意している本作。主要ネット局で久々に登場した王道SFドラマでもあることから、これからに期待したいものです。