【前編】に引き続き、山寺宏一さんの「声」の魅力についてお話を伺います。
■オリジナルを超えた! そのイケメン声の秘密
―― 実はさっきもスタッフの方と話してたんですが、このドラマは吹き替えがオリジナルを超えてるな、ってすごく思うんです。
山寺 そうですか! まぁ、字幕放送もあるのでアレですけど(笑)、僕としてはそう言って頂けるのはすごく嬉しいです。みんな現場でもすごくいい感じでしたから。僕自身はそれほどいろんなことはしてないんですけどね(笑)。やっぱり悪役の方がいろいろ出来ますから(笑)
―― 山寺さんにしてもあのイケメン声で主役のカッコ良さ3割増しになってると思います。
山寺 いやいや、僕の声質はイケメン声というほどのものじゃないですよ。もっとカッコいい声の人は声優の中に大勢いますから。
―― 確かにイケメン声の人は実際大勢いると思うんですが、その中でもこうして主人公を実際以上にカッコ良く見せてしまうその秘訣は何なのかをすごく知りたいと思ったんです。
山寺 うーん、僕自身はそれほど意識してないんですけどね。やっぱり意識していい声を出してやろうなんて思った時に、声優はダメになるんだと思いますよ。今回の場合は主人公がヒーローだから、自分の持っている声の中で少しはカッコ良く聞こえる声の方がいいだろうくらいには考えるけれど、その程度です。俺のいい声を視聴者に聞かせてやろうなんて思うと、気持ち悪いことになると思いますよ(笑)。僕も昔はそういう時期があったかもしれないけど、それって後で聞いたら相当気持ち悪いし、やっぱりその意図が視聴者にも伝わってしまうものなんですよね。だから過度にならない程度にどこかでほんのちょっとだけ意識するくらいがいいと僕は思うんです。全く意識しないのもまた普通になりすぎちゃうから気をつけなきゃいけないんですけどね。何もしなくてもいい声だったらいいんでしょうけど、僕は普通に話していると結構普通なので。特徴ないって言われますからね。
―― ええっ!? とてもそうは思えないんですが...。山寺さんと言えば『マッドメン』でもドン・ドレイパーの声も担当していますが、今回の『ザ・ケープ』とは全く違うキャラクターを見事に演じ分けてますけど、声の使い分け方というのは自然と切り替えているものなのですか?
山寺 海外ドラマの場合は、声質自体はそれほど変えているわけではないんですよね。これが『それいけ! アンパンマン』とかだったらいろいろ声質も変えてやりますけどね(笑)、これは僕の武器の一つでもありますから。でも海外ドラマの場合はどちらも普通の人間ですから、多少高めでいくか、低めにするか程度は考えますけど、声質自体はそれほど変わらないですね。やっぱりね、意識して変えるというよりも、実際に映像を見て、その作品の世界に入り込んで相手の芝居に合わせていくと、自ずとそうなっていくものだと思うんです。ただ、例えば『ザ・ケープ』だったら、"今、自分はああいうケープを身にまとっているんだ"とか、『マッドメン』だったら"スーツをビシっと決めている"という風に自分自身が演じるキャラクターと同じような気持ちになっていることは大事だと思いますね。
―― 演じるキャラクターのお芝居に合わせるとなると、例えば舞台のように自分自身が演じるのとはまた違った感覚があるものなんでしょうか?
山寺 僕の場合は自分自身がお芝居に出るより声だけの方が多いので、逆に自分が出る時の方がどうしたらいいのか分からずやっているみたいな感じがありますね(笑)。まぁ、舞台はともかく、ドラマや映画となると滅多にやらないので、どうしたらいいのかうろたえちゃいますよ(笑)。もう声の仕事が普通になっているので、あくまで目の前にキャラクターの姿があって、それに自分がなったように演じることが僕の自然になっているんですよね。だから自分の演技となると、どんな顔をしていいのかも分からなくなってしまう。声の時はどんな顔してようが気にしてないですから(笑)。もちろんなるべくキャラクターと同じような顔をしようとは思ってるんですよ、やっぱり気持ちですから。でもそれを撮られていると思うと...(苦笑)。声優の仕事でも公開アフレコみたいなものはありますけど、あれを常にやられたら、もうグチャグチャになりますよ。声の芝居をしているのに、ちょっとでもいい顔で映ろうとかそんなことを考えてたらやっぱりダメなんです。
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