"赤"に隠された謎、海外ドラマのエピソードタイトルは面白い!

『メンタリスト』の各エピソードタイトルを見ると、どれもREDBLOODRUBYなどのを意味する文字が入っていることが分かる。これはもちろんジェーンと連続殺人鬼レッド・ジョンとの関係がこのドラマの最もコアな部分を指しているからに他ならない。

 

エピソード・タイトルというのはクリエイターにとって最も頭を悩ますもののひとつ。作品の持つ個性、そしてそのエピソードの内容を表す重要なモチーフがエピソード・タイトルなのだ。REDの文字が入っていればこのドラマを見るファンならすぐにレッド・ジョンを連想するだろうし、もし未見でも、を意味する言葉でこの作品が犯罪捜査ドラマだとすぐに分かるだろう。日本語タイトルもそれに習い、ほぼ全てのタイトルにといった言葉が入っている。(シーズン2第1話『贖罪』のように赤にも血にも関係ないものもあるが、これはオリジナルのタイトルが『Redemption』だったため)

ウィットを大事にするアメリカン・ドラマには、このように凝ったエピソード・タイトルを考える作品が数多くある。例えば特徴的なのは『24』時間表示。1日の出来事を1話1時間、リアルタイムで進行するこのドラマにとって、これほどピッタリなエピソード・タイトルはないだろう。レズビアンの世界をディープに描いた『Lの世界』は、オリジナルのタイトル『The L Word』の通り、全てのエピソードにLから始まる言葉が使われている。『HAWAII FIVE-0』のエピソード・タイトルは全てハワイ語。オール・ハワイ・ロケでその土地の魅力も伝えるこのドラマらしいタイトルだ。音楽チョイスのセンスの良さに定評がある『グレイズ・アナトミー』のエピソード・タイトルは全て音楽の曲名から持ってきている。グロテスクな遺体がすっかり定番になっている『BONES』は、全てそのエピソードの遺体の状況を指し示したものになっているし、アメリカ版必殺仕置き人のような『レバレッジ』のエピソード・タイトルは全て"The ○○Job"となり、彼らが受けた依頼の内容を指している。

 

主役の名前がタイトル・ロールになっている場合、その主役の行動に焦点を当てたエピソード・タイトルも多い。『名探偵モンク』の場合は"Mr.MONK and ○○"といった感じで、モンクさんと○○、モンクさんが何をしたと、あくまでモンクさんの行動がポイントになっている。同じような形で『CHUCK』の場合は、全てが"CHUCK VS ○○"と、毎回対決形式のタイトルを付けることで、突然スパイになってしまったチャックの様子を表している。

こうした気の利いたタイトルを練り上げるのも、クリエイターの腕の見せ所。だがそれを放棄したことでかえって特徴的なエピソード・タイトルになった作品もある。それが大人気シットコム『フレンズ』だ。『フレンズ』のエピソード・タイトルは全て"The One ○○"という言葉で始まる。日本語にすると○○な話、とか○○の巻といったニュアンスだが、これはクリエイターが凝ったタイトルを考える時間を削減し、「昨日のレイチェルとロスの話だけどさ~」と気楽に話しているような雰囲気を作りたいと考えたため。まさに時短アイデアのたまものだったが、その気楽なタイトルは作品の軽妙さとマッチし、結果として『フレンズ』らしさを作り上げたと言えるだろう。

日本ではなかなかクローズ・アップされる機会がないエピソード・タイトルだが、原題ならではの遊び心や創意工夫が見えてくるのが面白い。ドラマの世界観を知る上でも大事な役割を果たしてくれるものなので、ぜひチェックしてみて欲しい。(海外ドラマNAVI)

 

Photo:『メンタリスト』(c)Warner Bros. Entertainment Inc.