『デクスター 警察官は殺人鬼』マイケル・C・ホールに突撃インタビュー!

20120911_s1.jpgマイアミ警察で優秀な血痕専門の鑑識官として働くデクスター・モーガンには、シリアルキラーという別の顔があった。鑑識官として、事件に向かい合う一方、法律で裁ききれない凶悪犯人を、自分独自の基準に基づき、次々と殺害していく...。

善と悪が共存することが魅力のドラマ『デクスター 警察官は殺人鬼』で、主役のデクスターを演じるマイケル・C・ホールに、デクスターを演じること、今後のシーズンに向けた今の想いなど、じっくり伺いました。

======
――あなたがデクスターを演じるにあたり、どのような役作りをされているのか教えてください。実際に精神を病んでいる人からインスピレーションを得たり、彼らから素行を学んだりしましたか?

そうだね、連続殺人鬼のインタビュー記事を読んだり、たまたま見つけたドキュメンタリーを見たり、FBIの心理分析官によって書かれた連続殺人鬼を作り上げる彼らの心理についての本を読んだりしたよ。きっとデクスターの場合は、そういうことをよく熟知していて、どのプロファイルにも当てはまらないようにするだろうけどね。僕もそうしたよ。
この役を演じるには、すぐれた想像力が要求される。デクスターがターゲットにする人や、またどんな行動をするのか、全くの想像の世界だからね。

――どうしてデクスターのような人がみんなから愛されるのでしょう?

それぞれ人は影の部分を持っていると思う。みんな秘密を持っているんだ。恐らく、デクスターの秘密は通常の人よりも大きくて、並外れているし、影が多いのだろうけど、この部分が受け入れられるところだと思うよ。

――すでにデクスターを6年演じられていますが、ここ最近でデクスターを演じる上で難しいところ、大変だったところはどこですか?

一番大変なことはうまく"調整"していくということです。つまり当初は想像していなかったことを演じることです。ファーストシーズンを撮影したとき、彼がセックスをしたり、結婚したり、子どもができたり、殺人ルームに他の人をいれたり、リタが殺されたり...このような成り行きは誰も予測していなかったしね。

予断を許さないストーリー展開との折り合いと言ったらいいのかな、つまり奇想天外のストーリーと私が理解しているキャラクターの"本質"部分の感覚を維持するのは大変だったんだ。そして、この作品がこういう形で相互に作用し合って、シリーズ7作目、8作目に入ることには感謝している。そしてもう一度、新しい、パワフルでダイナミックなデクスターの世界にチャレンジしたいと思っているよ。

――ひとつの役を長く演じている、多くのTV俳優が生涯その役に定まってしまうことを恐れていますね。あなたはデクスターがあなたのキャリアの全てになったら怖いですか?

怖くはないよ。でもそれは避けられないと思う。でもデクスターの燃え殻は僕ではないよ。同様に『シックス・フィート・アンダー』ではみんな僕のことをゲイの葬儀屋だと思っていたけど、彼はデクスターの最初の被害者だと思うよ。そして今は皆、僕をデクスターとして付き合っているね。作品はすごい存在感だけど、それは怖くはないね。ただすごいことは気づいているさ。

――いつも女性がデクスターに起こることの意味を明らかにしているように見えますね、リタ、ルーメン、そしてもちろんデボラも。このことは、これから撮影するシリーズにも期待できますか?

おもしろいね。そう思う、確実に1度はね。この傾向は新しい形で続くと思う。こうした見解は聞いたことがなかったけど、かなり適切だと思う。デクスターの世界での女性とその存在は彼に起こることに影響していると思う。この傾向は更に深くもっと複雑になっていくと思うよ

初めてデクスターが心からの責任感に駆られ、深い後悔をしたのはリタが殺害されたことだね。それ以来、彼は非正統的で確実に不健康なやりかたでそのトラウマと戦うことになったんだ。

もちろん最初からトラウマはあったが、再び抱えることになったというか。責任感や、幻想の世界では生きられないんだと自覚する感覚を取り戻したがっている。彼は自分がやっていることだけを感じたいが、その一方で誰にも影響も及ぼしたくない。しかし、誰にも影響を与えないという状態を維持することは難しい、と理解したのだと思う。

彼が"掟"に基づいて迷いなく殺害したことに関しては、後悔の念はないと思う。でも、彼の世界にいる人と心のつながりを持ち、影響を与えてしまった時には後悔を感じると思うんだ。つまり、シーズン5で、ルーメンに彼女の生活を戻してあげることで、彼なりに良心の呵責を感じようとした。一人の女性(リタ)の命が奪われ、そして、他の女性の命(ルーメン)を救ったということでね。

――今回のシーズン6では「宗教」が重要な部分になっていますが、デクスターが苦しんだ、もっとも興味深い宗教的なジレンマ(問題)は何だと思いますか?

これはデクスターに対しての質問にはならないと思うよ。もしデクスターの世界に神が存在するのであれば、それはほぼ間違いなく、ハリーの掟かデクスター本人のことだと思う。知っての通り、彼は人の命を終わらせるという、神の仕事を自分の手で行っているんだ。神が何なのかということは、デクスターが今回直面しているものではないんだ。僕が今回のシーズンで好きなところは、聖書をもとにして凶悪犯罪を繰り返す犯罪者を描くことで、宗教国家に対して否定的な表明をしていることなんだ。その一方で、デクスターは信仰の贖罪の力を通して更生した、ブラザー・サムと正真正銘の友情を持つ。そうやって、光と影の両方が表現され、デクスターはその両方に触れるんだ。

――シーズン6のデクスターとシーズン5のデクスターを比べて、一番違うことは何だと思いますか?

今シーズンで、デクスターは息子との本当のつながりを経験していると思う。息子はこのドラマシリーズの初めにはいなかったキャラクターだからね。彼は妹(デボラ)に対しては誠実でその関係性を継続しているけれど、それはドラマの初めからあったことだった。デクスターにとっての大きな変化は彼の行動が彼自身だけでなく他の人にも影響を及ぼすようになったということだと思うよ。その結果がリタの死につながる。そして、息子がその目撃者になったことにもつながるんだ。それから妹の混乱にもつながり、デクスターは、このような形で典型的な人間らしさを経験するんだ。

――デクスターには過去のシーズンに多くの敵がいましたが、どのキャラクターが好きですか? トリニティ・キラー? 冷凍車キラー? それともミゲル・プラドですか?

選ぶのが難しいね。ただ、トリニティとデクスターの追っかけっこ的なストーリーラインは視聴者を虜にしただろうね。ジョン(リスゴー)は素晴らしい俳優で、ジミー・スミス(シーズン3:ミゲル役)はすごいタレントの持ち主で、ものすごく寛大だった。冷凍車キラーのクリスチャン・カマルゴとはあまり一緒に仕事をしなかったんだ。実は僕は彼のファンだったんだよ。だけど、シーズン6のエピソードでまた彼と一緒に仕事をすることができたんだ。それはスリリングで...知っているよね、ファーストシーズンの冷凍車キラーを。本当に選べないよ。彼らはデクスターの被害者でありながらも、自分の子どもと同じくらい愛しているんだよ。

――シーズン7と8が進行中と聞きましたが、どのようにデクスターを終了するか考えたことがありますか?彼にとってハッピーエンドになるのでしょうか?

キャラクターが全てハッピーエンドを迎える、と予測するのは正直難しいね。どのようにストーリーが終わるかについてのアイデアはあるんだ。でももちろんまだ最終決定ではないけどね。でもシーズン8がファイナルシーズンとなると思うよ。

――同じキャラクターを演じることに飽きたりしませんか? そしてどれくらいデクスターを演じたいか考えたことがありますか?

時々疲れたことはあるよ。行き詰ったり混乱を感じたり。君も感じるようなことだよ。なので、"デクスター自身が感じたこと"だと想像して、丸めこんでしまうようにしているよ。

――デクスターの息子のハリソンは作品の最後でどうなると思いますか?

それはキーとなる質問なので、作品の中で答えが出るんじゃないかな(笑)。

作品名:デクスター シーズン6 vol.1~6
DVD発売元:パラマウント ジャパン
9月14日レンタル開始