ついにファイナル・シーズンを迎えるクライム・サスペンス『クローザー』。そのファイナルに向けて、7年間、LAPDの重大犯罪課を率いるブレンダ・リー・ジョンソンを演じてきたキーラ・セジウィックが来日! 劇中、キュートなデキる女を演じ、女性ファンからも高く支持されてきた彼女。実際のキーラもやはりキュートな部分と知的な部分を併せ持った素敵な女性でした。そんな彼女が7年間演じてきたブレンダへの想いを語ってくれた。
―― 『クローザー』はあなたにとって初めてのTVシリーズのレギュラーでしたが、最初この仕事を引き受けた時、7年間も続くと思ってましたか?
まったく予想してなかったわ。でもTVシリーズの場合、誰もそんな事予想できないものだと思うわ
―― 7年の間ブレンダを演じてきて、あなたは彼女の事をどう思ってるんでしょう? 7年の間に彼女も少しずつ成長したかと思うのですが...。
おかしなことにブレンダの場合、あまり成長しているように思えないのよね(笑) 普通はTVシリーズの場合、はじめの頃よりも主人公が大きく成長していくものでしょ? でもブレンダは頑固なまでに自分らしさを貫き通してる。それに彼女が目を向けるのは常に他の人の事なのよ。部下たちに指示を出したり、捜査の過程で浮上してくる人たちの事ばかり考えて、自分自身にはあまり目を向けないの。
―― 逆に周りのキャラクターが成長していったという感じですか?
そうかも。特にフリッツはすごく成長したんじゃないかな(笑)
―― シーズンを重ねるごとにキャラクターの個性もより際立ってきて、ブレンダとチームの信頼関係やユーモラスなやりとりも見どころになったと思うんですが、キーラさん自身が気に入っているキャラクターはいるんですか?
間違いなくガブリエルね。彼を演じているコーリー・レイノルズも私は大好きなの。彼はいつだって準備万端で撮影に臨むし、常にそのシーンを脚本より良いものにしようと努力する真面目な人なのよ。だから私個人としても、それに多分ブレンダとしてもガブリエルが一番のお気に入りだと思うわ。
―― 7年間TVシリーズで主役を演じ続けるというのはモチベーションも含め、さまざまな努力も必要だったと思うのですが、今終わってみて振り返ってみると、この7年間というのはあなたにとってどんなものでしたか?
私はとにかくブレンダが大好きだったの。私にとってブレンダを演じるというのは誇りであり、大変な特権でもあったのよ。(クリエイターの)ジェームズ・ダフとも素晴らしいコラボレーションができて、とても良い役を作り上げる事ができたと思うし、彼が考える事と私の役作りが本当に上手く一体化できたと思う。こういう事は本当に稀なのよ。共演者にも恵まれて、彼らの事は心から尊敬しているわ。スタッフも本当に熱心にこの作品に取り組んでいて、この作品に関わる人、ひとり一人を心から好きになれた。だから番組を降板すると決めた時は本当に辛かったわ。
―― ブレンダというキャラクターは本当にハマり役だったと思います。
これは誤解しないで聞いて欲しいんだけど、ドラマの中でブレンダはリーダーだった。そして私もある意味この作品のリーダーであり、その事をとても自然に感じていたの。驕りで言ってるわけじゃないのよ。ただその時、このタイミングで私がひとつの作品の主役でいる事、そしてブレンダがチーフでいる事が一体化して、とても自然な事として受け入れる事ができたの。権限を持つというのは責任が伴うものだけど、私もその責任を担う準備ができていたんだと思うわ。
―― ブレンダはあなたが作り上げたキャラクターですが、逆にブレンダから影響を受けた事はあるんですか?
どうかしら? それにちゃんとした答えを出すにはあと数年は必要かも。でもしいて言うなら、彼女を演じる事は私にとっても大きなチャレンジだったという事。そしてブレンダを演じて学んだのは、私でもあれだけの役を演じきる事ができるんだという意識かしら。あれだけの役となると、おそらくどの俳優でも実際に自分がその役を演じなければならない立場になってみないと、本当にできるかどうか、分からないものだと思うの。他のTVシリーズを見ても、ほとんどのシーンに出演してあれだけセリフの多い役というのは滅多にないと思うんだけど、私もブレンダを演じるまではそれだけの大役を演じきる事が出来るか分からなかった。だからブレンダは私に俳優として大きな意識変化を与えてくれた事になるわね。
―― 今後やってみたいプロジェクトなどはあるんですか?
どちらかと言えば今後はもう少し映画の方に重点を置きたいと考えてるの。やっぱりブレンダのような大役をやりたいと思うわ。大役であればあるほど演じるのも大変だけどやりがいがあるし、重みがある役を映画の中でもやってみたいわ。
―― あなたと入れ替わるように今度はご主人のケビン・ベーコンさんがTVシリーズの主演を務めますが、彼は『クローザー』でも何話かエピソードの監督をされてましたよね。今後は逆にあなたが彼の作品にゲスト出演する可能性はあるのでしょうか?
絶対とは言えないけど、多分それはないんじゃないかな(笑)
―― もうひとつ気になるのは『クローザー』のスピンオフ作品である『Major Crimes』の方なんですが、こちらの方はどうでしょう?
そうね、こっちの方が可能性は高いと思うわ。多分ゲスト出演する事はあると思うわ(笑)
―― シーズン7でもっとも注目して欲しい点は?
ひとつ言えるのは最後の6話というのは、これまでの全シーズンを通しても最高の仕上がりになっていると思うわ。それまでブレンダが自分自身ですら認めなかった過ちについて、大きくクローズアップされているの。彼女はそのツケを払う事になり、自分の過ちを認めざるを得なくなる。そこで初めてブレンダが人間として大きく成長していくところが描かれるのが、最後の6話なのよ。
Photo:高橋将志