【お先見!海外ドラマ日記】ようやく(!?)産声を上げたポップなノリの『WEDDING BAND』

今シーズンも、容赦なく打ち切りとなるドラマが目立つ中、難産の末、ようやく放送に漕ぎ着けた作品があります。
先日、本サイトでもニュースとして取り上げて頂いた、米ケーブル局TBSの新番組『WEDDING BAND』
イケてない親友の男たち4人が、イケてるポップミュージックを繰り出すバンドとして、私生活とバンド活動を両立させながら奮闘するスラップスティックなコメディ・ドラマです。

主演に『ビバリーヒルズ高校・青春白書』『ターミネーター:サラ・コナー クロニクルズ』『デスパレートな妻たち』等、数々の人気ドラマでおなじみのブライアン・オースティン・グリーン。
シアトルで活動する、結婚パーティーバンドの仲間に『LOST』のハロルド・ペリノー、そして、デレク・ミラー。
長寿人気コメディ『The Office』で数十ものエピソードに登場したメロラ・ハーディンが、バンドを雇うイベント会社の、一筋縄ではいかない女社長を演じています。

さて、このドラマ、TBSで11月10日(土)にめでたく、めでたくプレミア放送されたわけですが、実は、僕も出演させて頂いたこの第1話の撮影がスタートしたのは、2011年の1月でした。
ほぼ2年前なんですよ!!!
ちょうど、アカデミー賞のレッドカーペット中継(WOWOW)に向けて、来る日も来る日も候補作を見続けていた準備期間中でした。

そんな中、舞い込んだ突然のコメディ作品のオーディション。

短いシーンで、しかも少しずっこけた天然風の日本人観光客の役柄設定。

普通は、士気が上がらない(笑)。
コメディは、決して得意とは言えないし...。

ところが、
担当のキャスティング・ディレクターの名前を見ると、リサ・ミラー・キャッツとありました。
リサは、今や旬の女優の1人となったエマ・ストーンを大ブレイクさせた青春コメディ映画『小悪魔はなぜモテる!?(原題:Easy A)』を手がけた人です。この作品でエマは、本当に伸び伸びして弾けた好演を見せましたし、全体のキャストの配役も作風にバッチリとハマっていました。
なぜこの映画を見ていたかというと、エマが昨年1月のゴールデン・グローブ賞のコメディ映画部門にノミネートされていたからです。
アカデミー賞への準備としてたまたま見ていた1本が、輝きを放つ作品であったくれたことで、俄然『WEDDING BAND』への僕の意欲も増したのでした。

「リサがキャストする作品なら、価値があるんじゃないか!」

と。それにエージェントからも、

「あなたの経歴には、コメディも必要よ!!」

と、度々言われていましたし。

通常なら、アメリカの作品で、"日本人" の看板を背負いながら、ずっこけた日本人なんて演じたくはありません。
しかも、撮影本番では、英語の「L」と「R」の発音を入れ替えて、下手に喋るようにクリエーターたちから求められました。

うぅ...、アジア系に求められがちな、ハリウッドの傾向(汗)。

でも、この作品は、真剣に演じることができたんです。
プロデューサーたちが、僕のオーディションビデオの演技をしっかりと評価してくれていたから。期待に応えるべく、空気の読めない東京からの観光客を懸命に演じたのでした。

放送開始は、もともと今年の初夏の予定だと、僕はクリエーターから告げられていたので、夏に番組がスタートしなかったことから、きっと放送決定が立ち消えになってしまったのだ...と思い込んでいました。

ところが、この秋、
ロサンゼルスの街のあちらこちらに『WEDDING BAND』11月スタートの大看板を見て、びっくり。

「おお、やるんだぁ!!」

と。

実は、放送までは、期待と不安が入り交じっていたんです。
"お蔵入り" になったら、むしろ安心する自分がいたかもしれません。
それは、ずっこけた感じの日本人の描写を、視聴者の方がどう捉えるかがやはり怖かったから。

ただ、"滑稽なアジア人" には映っていて欲しくない。
コメディなのだから、やはり、視聴者を笑わせたい。
ブライアンとの噛み合ない言葉同士が、笑いを生み出していて欲しい...そう願っていました。

結果は、
安堵...。笑いが生まれていたんですよ!
自分でも吹き出しました(笑)。

必死だけど、抜けている♪
ちょっとチャーミングな日本人観光客がそこにいました。

今では、このシリーズの放送が始まってくれて本当によかったと思っています。
自分の演技を検証し、反省し、発見できたから。
短いシーンとは言え、ブライアンと、ゲストスター女優との共演シーンは学びが多かったですしね!!

難産だけど、ついに電波に乗ってくれたこのドラマは、僕にとっても、短いながらも難産の役だったのかもしれません。

でも "生まれて来た子" って、やっぱり可愛いものです。
この、軽快なドラマが、いずれ日本にも届いてくれたらいいなぁ、と願っています。(海外ドラマNAVI)

Photo:ブライアン・オースティン・グリーン(c)Drex Reed/www.HollywoodNewsWire.net ハロルド・ペリノー、メロラ・ハーディン(c)Ima Kuroda/www.HollywoodNewsWire.net