『宿敵 因縁のハットフィールド&マッコイ』大塚明夫&立木文彦に突撃インタビュー

20121226_c01.jpg実在した史上最も因縁深いハットフィールド家とマッコイ家を描いた超大作歴史ドラマ『宿敵 因縁のハットフィールド&マッコイ』。米国で"ハットフィールド&マッコイ"といえば"ライバルとの激しい争い"を指す言葉になったほど。

全米ケーブル局史上最高視聴率を獲得し、第64回エミー賞では16個ノミネート、5部門受賞という話題作が1月1日から放送されることとなった。(*スポーツ番組を除くエンターテインメント番組)
主演のケヴィン・コスナーをはじめ実力派が揃うキャストの中、今回放送される吹替版はプロデューサーが"豪華キャスト"と語るすばらしいメンバーが揃った。

今回はその中で "デビル"・アンス・ハットフィールド役(ケヴィン・コスナー)の大塚明夫さん(写真左)ランドール・マッコイ役(ビル・パクストン)の立木文彦さんに突撃取材をしました!

―それぞれが演じられた役柄についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

20121226_c02.jpg大塚 シンプルに男として、また家長としてあの時代の中でどのように家族を守っていくか、っていうことをまず第一に考えた場合、ああいう風になるのが普通なのかな、って思いますね。マッコイも結局戦争から帰ってきて、これからは家族を守らなきゃ、っていうところでハットフィールド家とぶつかり始めるわけで。どっちかが悪いってわけじゃないのが、一番恐ろしいところなんでしょうけどね。素直に...その...マッコイ家が憎いとかどうとかっていう話ではなく、ハットフィールドの一族を守ろうと一生懸命になっているお父さんというだけですね。難しいことはあまり考えてないです。

立木 なんだかその時代を生きた男がどうのこうのっていうよりも、基本的に「家族」って言う部分でね...まぁ南北戦争へ行って帰ってきて、もともと両者は仲が悪かったわけじゃないでしょう。片田舎のとある地域の中で、人と人が本来コミュニケーションを上手くとっていたのに、とある些細なことをきっかけにして...いや、当時としては重かったことだと思うんですけど、そのことがきっかけに、運命であるかのように、ひとつひとつのことが芋づる式につながってね。すべてがこの二つの家族に最初から与えられてた宿命だったような気がしますよね。
ただ、そのことについて、自分がその家族の長だとか、そんな重い感じで演じるのではなく、一人の人間として、一つの家族の父親ということをベースにして展開していく。とにかく海外ドラマの場合はやっぱり映像がまずありきですから、そこに出演している人物に乗り移るっていうか、そんなふうに演じていますね。

――作品をご覧になられた率直な感想を伺ってもよろしいですか?

大塚 面白かったです!(笑)なんだろう、アメリカっていう国はやっぱりまだ若い国なんだなって思ったね。たかだか200年も経ってないよね。何年前?100年ちょい前だよね?

20121226_c03.jpg立木 130年とか150年とかそのぐらいじゃない?

大塚 ってことは例えば僕のおじいちゃんがまだ生きてた頃だよね。そのぐらい近い時代のことなので、なんだかすごくびっくりします。「あ、まだこんなに野蛮だったのね、この時代は」っていう感じなんですよね。

立木 意外に最近の出来事なんですよね。

大塚 日本だってその頃は、ちょんまげで刀差して...。だけど社会のシステムはもっとずっと円熟してたわけじゃないですか。で、そんな頃のアメリカではこうだった、ということを見るとやっぱり若い国だなぁっていう感じがしますね。

立木 僕は、最初に映像を見たときに本当に惹き込まれていましたね。役者としてというより視聴者になった感じで。元々西部劇とか大好きなんですよ。自分が昔やっていたレギュラーの番組で西部劇があったんですけど、それにちょっと近いというか。すごくいい番組があったんです。それをすごく思い出しますね。

大塚 ケヴィン・コスナーが映ってるのを見るとあれを思い出すんですよ。そう、映画『ワイアット・アープ』!あれもクラントン一家と喧嘩する話でね。エンターテイメントな『ワイアット・アープ』もそうでないこの作品もどっちもいいなぁって思うね。

立木 決してアクションとかそういうハデなことはないんだけど、惹き込まれてしまう。なんかねぇ、魅力溢れるドラマですよねぇ。なんでしょうねぇ、セリフの面白さとかもあるんでしょうけどね。

大塚 なんかこう、のっぴきならない感がこの作品にはあるんだよねぇ。「しょうがないじゃん、だってこうするしか」っていう(笑)。

立木 そうそうそう(笑)。

大塚 まぁその辺がエンターテイメントな『ワイアット・アープ』とちょっと違うのかなぁっていう感じがするんですけどね。常にどっちかを選択しながら結局二人で悪い方、悪い方を選択してきたという。

立木 自分に置き替えても...いや、日本の話ですが(笑)、親戚もやっぱりみんな仲の良い人たちばかりじゃないんで、あるじゃないですかそういうイザコザが少なからず(笑)。だから逆に意識してしまいますね。アメリカの場合はこうなんだぁ、アメリカでも同じようにあるんだな、そういうの...って。ちょっとした言葉のあやとかで大問題になったりするじゃないですか。面白いですよね、一人一人がすごく自分の意思を持ってるからこそ対立もするし。それは主役だけじゃなく他の方もね。子どもも孫も、おじさんもおばさんも。

――今回のドラマは二つの家の対立を描いていますが、アフレコスタジオの雰囲気はどんな感じだったんですか? もしかしてそこも自然に二つの家の人同士で座る位置も分かれてたんでしょうか?

大塚 全く無いです。だってやる前から僕たち一座の座員っていうか。

立木 そうそうそう。それが一つの家族だとしたら非常に仲の良い家族。

20121226_c04.jpg大塚 狭い世界ですからね。ここ10年くらいでこの世界に入ってきた人だと一緒に仕事をしたことがない人が沢山いると思うんですけど、僕らの場合はもっと前からやっているので、そうすると皆が入れ替わり立ち代りどこかのスタジオで仕事している感じで。一座の座員みたいなものなんですよホントに。だからどんなに憎み合った役だろうが仲良し役をやろうが、そのスタンスは変わらないですね、スタジオでは。ましてや今回はベテランが多かったからね。

立木 そうですね。ホント。昔からやってる人、洋画の吹き替えをやってる人たちばかり。この二人がもしこのドラマの内容の通りの関係だったら、この取材で喋ってないですから(笑)。

――ドラマの製作現場だと、役が不仲の設定だと役者同士でも喋らなくなる、という話を聞いたことがあるのでつい(笑)。

大塚 ドラマの場合は、やっぱり自分が映らなきゃいけないし、言葉もあてこんでいくんじゃなくて自分の言葉として喋らなきゃいけない。そうやってるうちにそういう雰囲気になるんじゃないですかね。とはいえ、ドラマもシーンシーンで撮るんだし、別に大丈夫なんじゃないのって思うんだけどね。

立木 吹替の場合はやっぱり共同作業っていうか、瞬発力で、皆でやりきらなければいけない、っていうところはありますよね。

大塚 例えば僕がセリフちょっと入れ込みすぎて長くなっちゃったら、立木文ちゃんの方から「俺の番なのにな」って内心思いつつも逆にスタートする場所をちょっと遅らせてみる...とかね。そうしておくと、あとで編集で調整したときにバッチリ映像と合うっていう訳。そういうチームワークがあるんですよ。そういうことを考えるとそんなツノを突き合ってやってられないんだよね。

立木 それがドラマと映画の吹替の違うところですよね。

――海外ドラマ作品を吹替版で見る魅力ってどんな部分だと思われますか?

大塚 それはもう字と映像の両方を見なくて済むというのが一番の魅力じゃないですかね。やっぱり言語...日本語っていう言葉は大変難しい言葉でね。微妙なニュアンスでいろんなことが伝わるし。外国人が喋っている言葉はもちろん外国語なんだけど、それを日本語に乗せ換えてあげることで場合によってはその映っている人達よりも優れたやりとりが生まれることもある。本当はそうならなければ意味が無いんですけど、そこがやっぱり一番の魅力じゃないですかね。本当にその人が喋っているみたいに聞こえていれば素直にドラマに入っていけるんで。逆にそうならない喋りが多くなってしまうことは由々しきことだなと。

20121226_c05.jpg立木 ラジオは、英語の語感の良さが心地よくて聴きますけども、洋画っていうのはやっぱり全世界の人が"観る"わけですから、それはその国独自の解釈があってもいいと思うし、日本の場合、日本語に変換して内容がさらにわかることだっていっぱいあると思うんですよね。そこで吹替の良さが出るんだと思いますね。だから絶対廃れるものではないと思いますね、今後も。

大塚 そこは、各放送局さんにかかってますね(笑)

――今作の見どころやおすすめのシ-ンを教えてください。

大塚 見どころ...いっぱいあるしなぁ...(笑)

立木 本当にいっぱいありますね。まず間違いなく第1話から第3話までガッツリ観ないと、相当損しますね。

大塚 お正月番組だからね。もう一回やるとえらい金取られちゃうからね(笑)。

立木 見どころはホントにいっぱいありますからね!

大塚 まず、戦争から帰ってきたところでしょうね。マッコイもハットフィールドも帰ってきて奥さんとどう対峙するのか。あのマッコイが帰ってきたとき、ボロボロでさぁ。「もうダメだあんな人とは」と思っていても、あの格好で男に泣かれたら女の人は「やっぱり私がこの人の傍についてないと」って思うよね。あの涙には女の人は勝てないよね。

――立木さんの奥様の方はエッチでしたけどね。

大塚 エッチでしたねぇ。

立木 色っぽかったですね、すごくね。すぐいろいろ理解してね、表情が変わるんですよ。あれがよかったなぁ。やっぱりこれは男目線か(笑)。最初っから結構対照的ですよ二人とも。

大塚 教会で二人が会った時、ハットフィールドの方は「おぉ、久しぶりだ懐かしい」っていうアプローチをするのに、マッコイの方は「...」ってなっている。なんでだ?って思うよね。あそこがもう運命の分かれ道だったんだろうな。

立木 やっぱりケヴィン・コスナーの役、アンスは最初から全体的にカッコいいんですよ。雰囲気がありますしねぇ。それなりに年齢いってるんだけど逆にその枯れた味が、男としてなんかいいですよね。女もキュンてくるんでしょうけど。かたやビルさんは、良い意味で言うと典型的な"お父さん"って感じですよね。

立木 世のお父さん方の大好きなお色気シーンはなかなか無いんですが、その分想像させるものもあるんで。ぜひ新春ね、ご家族揃って観て欲しいなと思います。

大塚 子どもさんも安心して見ていられる。「坊主、これがアメリカの歴史なんだ」って観せてあげたらいいと思いますね。日本の時代劇もいいけれど、フレンド国アメリカの時代劇もぜひ観せてあげてほしいです。

――今回の作品で吹替はここがすごい!っていうところを是非アピールしてください!

大塚 普段と比べるとちょっと贅沢をしてるんで、ぜひ観てください。

立木 豪華キャストですね。

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――ところで大塚さん。ケヴィン・コスナーの吹替はこれまでやったことはありましたか?

大塚 初めてなんですよ。

立木 これもひとつの見どころ、聴きどころでしょうね。自分も共演者として明夫さんが"ケヴィン・コスナーの吹替は初めて"って聞いて、なおさらこれは一挙手一投足を逃すまいってね(笑)。

大塚 批判しないでね(笑)。

――それでは最後にファンの皆さんにメッセージをいただいてよろしいでしょうか。

大塚 えー、全部観てね(笑)。録画でもいいから全部観て。できればリアルタイムで見てね。WOWOW入ってない人は入ってね、ということですね(笑)。ぜひ、これを見逃すと損なので、せっかくだからWOWOWに入りましょう。

立木 第一印象もそうなんですけど、海外ドラマっていうカテゴリーがあるとするならば、その中で良い意味で異質。もうホントに映画!って感じがしますよね。しかも3話で完結するっていうのが観やすいと思うし、お正月に観るにはもう最高のドラマだと思いますね。ぜひご家庭でチェックして下さい。
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■『宿敵 因縁のハットフィールド&マッコイ』
2013年1月1日(火)スタート!(WOWOWプライム)
【吹替】1月1日(火・祝)~3日(木)20:00
【字幕】1月28日(月)~30日(水)16:00

【出演】ケヴィン・コスナー("デビル"・アンス・ハットフィールド役/声:大塚明夫)
ビル・パクストン(ランドール・マッコイ役/声:立木文彦)
トム・ベレンジャー(ジム・ヴァンス役/声:樋浦勉)
パワーズ・ブース(ウォール役/声:土師孝也)
アンドリュー・ハワード("バッド"・フランク・フィリップス役/声:東地宏樹)
ジェナ・マローン(ナンシー役/声:木下紗華)
メア・ウィニンガム(サリー役/声:小宮和枝)
サラ・パリッシュ(レヴィシー役/声:勝生真沙子)
リンゼイ・パルシファー(ロザンナ役/声:小島幸子)
ロナン・ヴィバート(ペリー・クライン役/声:谷昌樹)