『TOUCH/タッチ』キーファー・サザーランドにインタビュー! 「ジェイクとは瞬間的に"繋がり"を感じた」

2014年1月8日からDVDがリリースされる『TOUCH/タッチ』。世界のあちこちで起きている全く無関係のようにみえる出来事が、見えない赤い糸で徐々に繋がっていく――そのカギを握るのは一人の少年。そして少年の父親。本作で主人公マーティンを演じるのが俳優キーファー・サザーランドだ。キーファーに本作の魅力や息子ジェイク役のデヴィッド・マズーズについて話を伺ってみた。

 

―-この作品を受けた経緯と、この作品の魅力を教えてください。

『24-TWENTY FOUR-』をほぼ9年間もやったところだったから...8シーズンやるのに9年かかったんだ。僕はすごくたくさん仕事をした。だから、すぐにまた他のTV番組をやるなんてことは、まったく考えてもいなかった。僕の友だちがこの作品の脚本を読んでくれと言って、それで読んでみたんだ。感動したよ。それは、僕が家で座って見ているよりも、制作に関わりたいと思う作品だとすぐに気づいたんだ。それで、この番組をやるという選択をしたんだ。

この作品の魅力はいろいろあったが、僕がもっとも惹かれたのは、父親と息子の間の関係だった。僕には二人娘がいるんだけど、この父親は、自分の息子に触れることが出来ないんだ。息子に話しかけられないし、息子は彼に話せない。僕が、娘たちを学校まで歩いて送って行ったり、手をつないだり、ベッドに寝かしつけたりした記憶を思い出し、そういうことが出来なくなるというのはいったいどういうことだろうと想像してみた。僕をとても悲しく感じ、かつその衝撃にとても強く反応したんだ。また、人々の間にある何かの類似点にフォーカスしている、というアイディアもとても気に入った。僕とあなたは、まったく違う文化や歴史を持つ、まったく違う国から来ているけど、いつも僕たちが共通して持っているものがある。僕たちはいつも家族を愛しているし、両親や子どもたちが大好きで、彼らを守ろうとする。文化や宗教、政治、人種を超越した物事があるんだ。そういった人類の側面を中心に描いた番組に関わるというアイディアがとても気に入ったよ。僕たちを分断するものを描くのではなく、ね。

――ティム・クリングとは前から知り合いだったのですが? 彼との仕事はどうですか?

ティムはすごく素晴らしいライターで、彼のことはとても尊敬している。彼との仕事は素晴らしいよ。

――TVドラマは脚本家だけでなく俳優も共同でキャラクターを作り上げていくと聞いています。あなたはプロデューサーでもありますが、演じていく上で、マーティンというキャラクターに自分ならではの肉付けをされましたか?

ライティングというのは...ライターが脚本を書く。それは、『24』から僕がとても強く信じていることなんだ。ライターは脚本を書き、役者は演技をし、監督は演出をし、みんながそれぞれ、そのために雇われている仕事を全うするということをね。僕がキャラクターに持ち込んだことは個人的なことであって、それらは僕のものだ。それは、どんなキャラクターに対しても僕が役者としてやることなんだよ。僕は、息子のジェイクを演じている男の子デヴィッドに対して、瞬間的に"繋がり"を感じた。そして、僕がもっとも注力し続けていることは...僕のキャラクターが、彼(ジェイク)から"知らされること"を"受け入れる"ということなんだ。過去2年間にわたって、僕たちはそういう関係を築いたんだよ。

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――デヴィッド・マズーズくんはオーディションの最初の一人だったと聞いたのですが、

そうなんだ。

――それを聞いてまさしくこの作品が持つ、見えない繋がりのようなものを感じたのですが、本当にそういう感じだったのでしょうか?

あなたの言っていることは正しいよ。本当におもしろいんだ。僕はニューヨークのブロードウェイで芝居をやっていた。彼は多分、50人か60人、僕が一緒に(オーディションを)やった若者たちの最初の一人だった。彼のオーディションをしていて、「ワオ、すべての子どもたちがこれほどうまければ、きっとすごい子どもを見つけられるぞ」と思ったのを覚えているよ。なぜって、最初に会った子に決まるとは、決して思わないものだからね。
でも、どういう理由か、彼と僕の間にはとてもスペシャルなものがあったんだ。他の素晴らしい子どもたちもいたよ。でも、デヴィッドと僕の間で分かち合ったのは、どこかとてもスペシャルなものだった。彼は僕がこれまでに一緒に仕事をしたもっとも大好きな役者のひとりなんだ。

――デヴィッドくんと初めて会った時の印象を教えてください。

彼は、若い役者としてはとても難しい仕事をしなければならない。彼は、話さない役を演じるわけだからね。彼の目を覗き込むと、僕の心を引き裂かれるような気持ちになるんだ。彼の目を見ると、彼が僕に話しかけているかのように感じられるんだ。

――いっしょに作品を作り上げていくうちに、はじめの印象と違ってきたりしましたか?

「決して動物や子どもと仕事をするな」と言ったのはW.C.フィールズだったと思うけど、彼は間違っているよ。彼は、この少年に会ったことがないんだ。デヴィッドは、これまで僕が一緒にしたもっともプロフェッショナルな人々の一人だよ。初めてこういう仕事をする誰かと一緒に働くのはとてもナイスなものだ。なぜなら、彼らは、どんなことでも試してみようとするからね。彼は信じられないほど頭がいい。本当にとてもユニークな人なんだ。彼はとてもスペシャルなんだ。

――マーティンというキャラを演じているうちに、新たな発見などされましたか?

いや。この役に惹かれた理由の一つは、僕が彼のことをとてもよく理解できると感じたからなんだ。だから、何かを発見するというよりは、僕にとって重要なことを再認識したみたいだった。彼は親なんだ。彼は、とても困難な状況にいる、障害を持った子どもの世話をしようとしている父親なんだ。子育ては大変だ。僕はそれにとても強く共感しているよ。僕の子どもたちはもう大きくなっているから、しばらく感じたり、考えたりしなかった(子育てに関する)多くのことを再認識させてくれた。それは、何か新しいことを発見するというよりは、家に戻って来ると言う感じだった。どこかへ出かけて行って新しい土地を見つけたり、何か違ったものを発見するというよりもね。

――実生活で「こんなところで、こんな風に繋がってたんだ!」と思ったような経験はありますか?もし、何か不思議な体験をしたことがあれば是非教えてください。(たとえば、作品で登場するスマホのように自分の持ち物がとんでもないところに行って戻ってきたとか)

僕たち誰もが偶然というものを経験していると思う。妻や夫に出会ったすべての人々が「もし、あの夜、あのパーティーに行かなかったら?」と思ったりするものだと思う。または、もしこの仕事をもらえていなかったら、この人に会うことにはならなかったかも?とかね。僕たちにはそういうことがよくある。この番組で面白いことは、そういうことに僕がとても気づくようになったことだ。この番組をやった結果だね。だから、なんだか馬鹿げたようなこともやったりするよ。たとえば、エレベーターが来るのを待っている。そしてエレベーターがやって来て、「僕がもしこれに乗らなければ?もし、次のエレベーターまで待ったらどうなるか」と考えたりね。それから20分後に、階段を下りていたりしてね。もし、そんなふうに、こういうことが起きるかも、ということを意識することに時間を使いすぎると...もしタクシーに乗ったら、またはバスに乗ったら、それとも歩いたら、というふういうにね。もし、そういうことを意識するようになったら、生きていくことが不可能になる。でも、自分の人生を振り返ったら、僕たちがどういう人間になり、人生がどういうものになるかということに、運命や偶然が大きな役割を果たしていることに気づくと思うよ。

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――本作はミステリーやアクションの要素もありながらもメインテーマは絆(愛)だと思うのですが、今後はどのように展開していくのでしょうか?

それは変化していく。シーズン1とシーズン2の間で、ダイナミックに変わっていくんだ。シーズン2では、僕の息子はとても危険な状態に置かれる。だから、どんな親でもそうするように、自分の子どもを守るためにどんなことでもするんだ。この場合、マーティンは、最終的には息子を守るためには誰かを殺さないといけないかもしれないところまでいく。だから、ドラマはそういうふうにエスカレートしていくんだよ。

――第2話では『24』でマイク・ノビック役を演じたジュード・チコレッラと共演しましたが、いかがでしたか?また、今後『24』のメンバーが作品に出演する可能性があるのでしょうか?

僕たちは『24』 を200エピソードやったからね。たくさんの役者が登場した。だから、幸運なことに、『TOUCH』でもまた一緒に仕事をすることができた『24』のメンバーがいるよ。そうだね。間違いなくたくさんの役者たちがね。最近では『24』の最後の2シーズンで、僕の恋愛の相手だったアニー・ワーシングと、この番組のいくつかのエピソードで一緒に仕事をしたよ。

――『24』はいまだ日本では伝説的な作品として名前が挙がる作品です。ジャック・バウアーは、まさにあなたの分身ともいえるキャラクターでしたが、本作であなたが演じるマーティンを演じるうえで気をつけている、心がけている点はありますか?また、もし可能であればジャックとマーティンを演じる上での、心構えの違いなどがあれば教えてください。

そうだね、まったく違うアプローチをとっている。なぜなら、彼らはまったく違うキャラクターからだ。でも、どのようにマーティンを演じようかと考え始めた時、多くの類似点があることに驚かされたんだ。彼らにはまったく違った技能がある。ジャック・バウアーは、とても特殊なことをやるように訓練されており、マーティン・ボームはレポーターで父親だ。でも、彼らにはとても強い道徳的責任感がある。それは、彼らが共通して持っているものだ。そういう責任感において、最悪の状況に置かれたら、彼らは正しいことをやるであろう男たちなんだよ。だから、彼らの良心には多くの類似点がある。でも、肉体的には、彼らはまったく違う訓練を受けているから、まったく違う人たちなんだ。

――本作では9.11や東日本大震災など、実際に起こった事柄が描かれていますが、今後も実際の事件や災害などが作品のテーマと関わってくるのでしょうか?

いや、あれは特にあのエピソード用のものだったんだ。あれはシーズンで一番僕が好きだったエピソードだよ。すごく感動的だと思う。僕たちがこの番組でやりたいと願っていることの一つは、現在起きている出来事や実際起きたことを取り上げ、僕たちが作り上げた空想の世界に組み込むことなんだ。僕たちのファンタジーと、現実の世界との間にバランスが取れるようにね。

――来日の際に、デヴィッドくんにおみやげを買って帰るとおっしゃっていましたが、何か買われましたか?

買ったよ。何を買ったか今思い出そうとしているんだ。空港でいろんなものを買ったよ。ほとんど一年前のことだから...何を買ったかはっきり覚えていないんだが、その一つは小さなウクレレだったよ。彼に何か楽器をあげようと思ったんだ。それでギターの店に行ったら、それがあったんだ。それから何か他にも買ったけど、思い出せないよ。

――デヴィッドくんの反応がどうだったか教えていただけますか?

彼は感謝していたよ。彼はとても優しいからね(笑)

『TOUCH/タッチ』
2014年1月8日 Vol.01&DVDコレクターズ BOX1 リリース
2014年2月5日 DVDコレクターズ BOX2 リリース

Photo:(c)Kaoru Suzuki
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