『ウォーキング・デッド』解雇されたフランク・ダラボンがAMCを訴える

米AMCの大ヒット・ゾンビドラマ『ウォーキング・デッド』の生みの親で、シーズン2の放送直前に突然、解雇された初代ショーランナーのフランク・ダラボンが、AMCを相手取り、契約不履行と数千万ドル相当の利益配当金をめぐる訴訟を起こしたことがわかった。

米The Hollywood Reporter(以下、THR)は17日、ニューヨークの州裁判所に提出されたダラボンと代理人のCAAによる訴状の写しを入手したと報じた。訴状によると、ダラボンは2011年2月より、利益分配に関する取り決めをめぐってAMCと対立関係に陥り、それが原因で5か月後に解雇されたと申し立てている。

『ウォーキング・デッド』は、原作のコミック本を見出したダラボンが、5年の歳月を費やして実写化にこぎつけた作品。ダラボンはいわば番組にとって最大の功労者ともいえるだろう。しかし、番組がケーブル局史上、最大のヒット作となったにも関わらず、AMCはダラボンが受け取るはずの利益配当金を1ドルも支払っていないという。これに対する弁明として、AMCは番組が約4900万ドル(約50億円)の赤字を計上したため支払えなかったと釈明しているが、ダラボン側は、AMCが本作の製作を系列スタジオに発注し、利益を組織内部に蓄えていると指摘。利益分配についても説明を求めたが、ダラボンは取り合ってもらえないまま、ある日いきなり解雇されたと訴えている。

ちなみに、同じAMCのヒット作でも『ブレイキング・バッド』や『マッドメン』は、社外で製作されたため、同局はそれぞれのスタジオやクリエイターに巨額の収益を分配せざるを得なかった。この経験から、AMCが『ウォーキング・デッド』の製作方式を変えて、蓄財に走ったものとダラボン側は見ている。

AMC側はいまだ、メディアはおろか、本人にも解雇の理由を明らかにしておらず、これをダラボンの弁護団は「残酷極まりない扱い方」と強く非難している。さらに「番組からダラボンのクリエイティブな才能が失われたことを考えれば、視聴者もまた被害者なのです」と語気を強めた。

解雇から2年半を経て、ついに法廷に持ち込まれることになった舞台裏のバトル。今後の展開が注目される。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ウォーキング・デッド』
(c)TWD productions LLC Courtesy of AMC