高森奈緒×平川大輔×宮島依里×山像かおり『恋するインターン』クロストーク!

優秀だが地味で冴えないヒロインが、憧れの大病院で恋に仕事に奮闘するメディカル・ドラマ『恋するインターン』。医療ドラマに青春ドラマの要素を加え、女性の共感を呼ぶストーリーが新鮮な本作の吹替え版収録に潜入!

ヒロインのエミリー、ウィル、カサンドラ、バンダーリ先生を演じる高森奈緒さん、平川大輔さん、宮島依里さん、そして山像かおりさんが揃い踏みのインタビューを敢行! まず早速、それぞれから見たこのドラマの魅力とは何かを聞くと、「え、誰から答える?」「いや、そこは主役からでしょう」「え、私?」とわいわいがやがや。劇中、「病院は高校と同じ」なるセリフがあったが、まさに学校さながらに和気あいあいと賑やかな雰囲気で座談会はスタートした。

―― ドラマを地で行く感じですね(笑)

山像 まさにこんな感じなんです(笑)
宮島 エミリーちゃんのまんまなんですよ(笑)
高森 いや、ホント恥ずかしい...。でも、そうですね、正直このドラマは派手な部分はないんですけど、その代わり、誰がどの部分から見ても「あー、こういう事あるなぁ」とか、「あ、こういう人知ってる」とか身近に感じられる医療ドラマなんです。医療の現場がメインで、専門用語とか難しい言葉は出てくるんですが、病院を訪れる患者さんの悩みが病院側の人間の悩みにリンクしていたりして、国籍も年齢も問わない普遍的なものを扱っているんですよね。だから見ていてすごく自分にグっと返ってくるんです。
山像 主役がやたらといじいじと悩んでるんですよ。そういうの、日本人は結構好きだと思う。
宮島 ネガティブなんですけどね(笑)
山像 マイナス思考が結構すごい(笑)

―― 心の声で延々グチってますよね(笑)

山像 そう(笑) でもそこが日本人には結構共感できるんじゃないかってみんなで話してるんです。アメリカのドラマだと、美人でデキる女が真ん中にドーンといるのが多いけど、このドラマは主役のメリル・ストリープの娘さんが、地味~な感じで演じていて(笑) でもその地味さ、いじいじ感がいいよね、って。
宮島 これで完璧美女だと鼻につくというか。
平川 ちょっとキツいかな、って思いますよね。
山像 特にエミリーとウィルはね。ウィルはいじいじしてるわけじゃないんだけど(笑)
平川 行動はいじいじしてますけどね。
宮島 女性から見たら最悪の男って感じ(笑)
平川 今もう針のむしろのような気分ですよ(苦笑)
山像 ウィルは無意識のうちにエミリーをその気にさせておいて本人はその気持ちに気付いてないですからね。で、カサンドラとエミリーの間をふらふら(笑)
高森 でも割とみんな思わせぶりなんですよ。エミリーも結構そうで。結局似てるんですよ、あの2人。
山像 マイカに対してヒドイもんね(笑)
全員 そうそう、ヒドイー!!(と一気にヒートアップ)
宮島 あー、なんか今すっとした!(笑)
山像 それで見ているうちにだんだんカサンドラが可愛く見えてくるという(笑)
宮島 そうでしょー?(笑)
山像 カサンドラはキツいけど、あれで結構一途なところがあって可愛いんですよ。
平川 エミリーは恋愛に関しては結構周りに迷惑かけてるなーと思うんですけど、医療関係については真面目というか、ともすれば患者に近寄りすぎっていうくらい親身になるんですよね。上司に注意されるほど患者さんと親しくして、彼らを観察して、それで病気を見つけるっていうのは、今までの医療ドラマにはない視点だなと思います。
山像 それにみんな一応デキる人たちなんですよ。この3人(エミリー、ウィル、カサンドラ)は心臓外科のベスト3なので。
宮島 一応ね(笑)

―― 心臓外科ってエリートのイメージがありますけど、このドラマを見てると親近感があるキャラクターですよね。

山像 そうなんですよね。これまでの医療ドラマだと、私がやってるバンダーリ先生みたいなスペシャリストが中心で、彼らみたいなキャラクターはあまり出て来ない。でも現実にはこういう先生たちがいて当たり前なんですよね。

―― そういう共感度の高さがこのドラマの魅力のひとつだと思うんですけど、みなさんが演じるキャラクターそれぞれ共感を覚える点はどんなところなんでしょう?

山像 ネタバレになるから詳しい事は話せないんですけど、バンダーリは本当に有能でバリバリ働いているクールビューティーなんだろうなーという印象だったんです。でも実は...という事があるんですよ(笑) それを見た時に、バンダーリにもこういう部分があったんだな、ってホっとしましたね。仕事と私生活の両立についてちょっと悩むというか、それが後半になると出て来るんですけど、一応私も結婚しているので、こういう事ってどこにでもあるんだな、って思えるんですよね。

―― でもバンダーリ先生は実は優しいところがありますよね。患者と親しくなりすぎるエミリーに忠告したり。

山像 こっちの3人はまだ若いから、やっぱり線を引くのは難しいですよね。でもダメなものはダメってきちんと言える厳しい人がいないと。結局本人が辛くなりますからね。それは優しさなんだろうな、って。私もダメなものはダメって言いたいけど、なかなか言えないですよね(苦笑)彼女みたいな人になれるよう頑張りたい(笑)いややっぱり彼女はすごいですよ。演じていて気持ちがいいです。
平川 僕の場合共感とはちょっと違うんですけど、最初ウィルを演じる時、『女の子がついクラっときちゃうような事をサラっと言ったり、行動したりしちゃうんだけど、自分はまったく気が付いてなくてちょっとトボけたところがある人って感じでやってくれ』と言われてたんです。でもだんだん話が進むにつれ、彼の過去もいろいろ分かってきて...。それで僕ちょっと思ったんですけど、ウィルの場合、モテ男はさておき、コイツ、男の友達いないんじゃないかって気がするんですよね(笑)
全員 爆笑
平川 ちょっとズルいところがあるんですよ、ウィルは。エミリーに対して、自分に好意を持ってくれているって気付いてないのかしれないけど、本当は分かってて甘えている部分があるんじゃないかな、って。何があっても絶対自分から離れていかないだろう、友達としてはずっと続いていけるだろうって無意識下に思って甘えてる感じがして。そこはうーん、共感...はしたくないなぁ。宮島 そういうところがあるんですか?(笑)
平川 あれー? なんだこの展開(笑)
山像 言っていいよ(笑)
平川 いや、ないっ!(笑) カサンドラは?
宮島 カサンドラと似てるな、って思うところは人に弱いところを見せたくないって部分かなぁ。弱っているところとか、誰かより劣っているところをあまり見せたくないっていう強がりなところは少し似てるかな、って思うんですけど、ただ一番じゃなければダメ、みたいなところは私にはないかな、って思います。私はま、いいじゃないの~っていう感じなので。
平川 不思議なのは見ているうちにだんだん可愛く見えてくるんだよね。それもやっぱり話が進んで人間性だったり、バックボーンが見えて来るからなんだろうけど。

―― 最初は相当悪役というか、ヒールなポジションですよね。

宮島 そうなんですよ、最初はかなり意地悪な感じで。でもやっていくうちに、この子、意地悪なだけじゃないよなって。強がっているからそう見えるけど、自分の弱いところを見せないようにした結果、あんな態度になっちゃうだけなんです!

山像 でもカサンドラは分かりやすいよね。性格的に。
宮島 エミリーの心の声を聞いてると、可愛いものだって思えますよ。エミリー、すごい毒吐いてるもん(笑)
高森 あー、もう言わないで~!
全員 爆笑
高森 本当にすごい毒吐いてるんですよ。ちょっと話はそれるんですけど、このドラマって小道具にも実はすごく凝っていて。雨のシーンがあって傘が出て来るんですけど、その傘がエミリーとウィル、カサンドラのキャラクターをすごく表すものになっているんです。そういう細かい部分にまでキャラクターの人間像を描いてるんですよね。
平川 すごい、見ているところが違うね。
山像 え、傘がどうしたの?
高森 えー、誰も気付いてないの!? こんなところにまで気を配ってるんだなってビックリしたんだけど。ってごめんなさい、話がそれてしまった。
平川 でもやっぱりエミリーって日本人っぽいのかな。
山像 日本人っぽいんだよ。私たちも意外と思っている事をハッキリ言えなくて、裏でクソ~ってなったりするし(笑)

―― 思っている事を上手く言えないっていうキャラクターですもんね、エミリーは。
山像 バンダーリはハッキリ言うタイプだし、この人(カサンドラ)も言うでしょ。
宮島 いいとこ持ってくタイプ(笑)
高森 仕事はすごくできる人なんですけどね。それが自分の事となると器用に立ち回れなくて、毒吐くのもそのジレンマみたいなのが出ちゃってるのかな、とは思うんですけどね。山像 エミリーと似てるところはある?
高森 最初の頃はコンプレックスを持っているところとか、あんまり自分と似ていて、演じるのが恥ずかしいと思ったくらいなんですよね。1話に大人になる事について印象的なセリフがあるんですけど、あれは私も一時期思っていた事だったのですごくハっとして。だけど話が進むに連れて、全く理解できない事が次々出てきて、あれ、私とはちょっと違うぞ、と思いました(笑)例えばエミリーは科学で実証できない事は信じないタイプなんですよね。不安定な事は信じられないんです。ハッキリ目に見えたり手に取れたりしないものは不安になっちゃう。でも私にはそういうところは少なくて、見えないものも「あ、そうか」って受け入れちゃう。だから私の私心が入らないよう気を付けなければと思ってます。

―― それはちょっと意外ですね。最初の印象だとエミリーってもっと夢見がちなのかと思ってました。

山像 やっぱり賢い人だからかな。
宮島 理系なんですよね。
平川 頭いいし、成績ではトップクラスなんですけど、とにかくチヤホヤされない人だから(笑) 割と低空飛行をしてきた人だと思うんですよね。モテもしなかっただろうし。
高森 雑草のごとく地味にしぶとく生きてきたというか(笑)

―― 高校時代カサンドラからさんざん意地悪をされて、ようやく社会に出て医師っていうエリートの道を歩み始めたところでまたカサンドラと再会して苦労するんですもんね。そのカサンドラとの対決もドラマの見どころかと思うんですが、その辺りはどうなんでしょう?

宮島 カサンドラはエミリーの潜在能力に怯えつつ、対抗していくので。そういう事もありつつの、三角関係ですからね(笑)
平川 じゃぁ最初は恋愛感情じゃなくて、奪ってやろう的な考えなの?
宮島 じゃないかな。女の子っていうのはだいたいそういう感じですよ。
平川 うぉ! 衝撃的!
宮島 でもそこから本当に好きになっていくんだけどね。
平川 そっか~(まだ衝撃を引きずっている様子)
高森 でもエミリーもその空気をすぐさま察知して、抵抗していくというか。
山像 いつも好きになったら取られるって言ってたもんね(笑)だから察知するのも早い(笑)
平川 心臓外科でもバンダーリ先生のアシスタントとしてトップの座を競っているのがこの2人だし、恋愛でも同じ人を巡って争っていて、一見エミリーはなかなか勝ち目のない戦いを挑んでいるように見えると思うんだけど...。
高森 意外とね、いろいろ頑張ってますよ(笑)

―― しかしこのドラマは女性比率高いですよね。普通群像劇だともう少し男の人が多いと思うんですけど、このドラマだとウィルと先輩のマイカくらいしかいない。それだけ女性目線が強いと思うんですけど、見ていて女って分からない! って思ったところはありますか?

平川 そうですね。なんか微妙な仲間意識ってあるじゃないですか。ドラマの中でも、エミリーがある出来事がきっかけで、看護師たちから総スカンをくらう場面があるんですけど、ああいうのが自分の勤めている環境の中で起こったらキツいだろうな、とは正直思いますよね。でもエミリーは毎日きちんと職場に行くんだよな~(笑)
高森 それは私も思った(笑) あんまりへこたれてないんですよ、エミリー(笑)
山像 意外とそこには慣れてるぞ、的なね。小さい頃からやられ慣れてて。
宮島 打たれ強い(笑)
高森 まさに雑草魂(笑)
宮島 でも雑草パワーは日本人好きだよね。
山像 そういえばこの看護師さんたちのエピソードも今までの医療ドラマにはなかなか出て来なかったものだと思うんですよ。でも現実では医療現場に限らずどこの世界でも大なり小なりそういう事はあるのかなって。
宮島 そもそも出て来る男性がみんなダメ男系なのも、結構女性目線な医療ドラマなのかなって思いますよね。
平川 メインに出てくる男がみんなダメだもんね。ウィルもそうだし(苦笑)
山像 多分医療現場ってまだまだ男性社会だから、そこで「ちっ!」って思ってる事を、このドラマに盛り込んでるんじゃないかなって気がする(笑)
宮島 それに加えて尾崎さん(演出家)のディレクションで、日本語吹替えには余計に女性目線が入っているので、倍増されてますよ。
山像 細かく入れ込んでますよ~(笑)

―― そういう意味でもこのドラマは日本語吹替えに向いている作品なのかもしれないですね。

平川 そうですね。そもそも日本語と英語の文法って順番が違ったりするじゃないですか。字幕だと文字数の制限もあるし...。その点吹替えはたくさんの言葉でセリフを伝える事ができるので、よりドラマの世界に共感しやすくなるんじゃないかと思うんですよね。海外ドラマだけどより日本人にグっと近い感覚を持ってもらえるような気がします。
山像 それにスタッフの方も私たちの性格を知った上で、それぞれのキャラクターに合った言葉を選んでくれていると思うんです。人の話を全く聞いてない感じだったりね(笑)
平川 全然聞いてなかったね~(と高森に)
高森 聞いてませんでしたね(笑) 話し終わる前にもうマイクの前に出てました(笑)
山像 それもすごく合ってるんだよね(笑) 私の場合は割とゆっくり話すというか、ドスっとしてる感じでセリフが書かれてたり。私たちに合わせてすごく考えて言葉を選んでくれているので、すごくやりやすいですね。
宮島 うん、やりやすい。
平川 ということは僕はああいう男なのか...
高森 だってああいう男やらせたらピカイチでしょ?
宮島 爆笑
山像 それが結論?(笑)
平川 ちょっとまってそれがオチ!? それ喜んでいいわけ!?
宮島 じゃぁ、お疲れ様でした!(笑)