『ザ・フォロイング』連続インタビュー 第1回ジェームズ・ピュアフォイ

ファースト・シーズンのブルーレイ&DVDが好評発売&レンタル中の『ザ・フォロイング』。本作リリースを記念して3回にわたり出演キャストのインタビューをお届けします。第1回目は連続殺人犯ジョー・キャロルを演じるジェームズ・ピュアフォイ

 

――(以前も伺いましたが)連続殺人犯になる上での役作りはどういったものでしたか?

どんな役でも同じだよ。この人物を突き動かしているものがなにかということなんだ。なぜ彼がそうなったのか?ということだよ。僕はロサンゼルスのホテルの部屋に座って、自分が入手出来るあらゆる連続殺人犯のドキュメンタリーを2週間見ていた。フィクションではなく、ノンフィクションだけを見たんだ。本物のインタビューを見たり聞いたりした。ジョーは信じられないほど複雑な男で、彼は単なる連続殺人犯じゃない。彼はカルト・リーダーでもあり、またロマンチックな詩やエドガー・アラン・ポーのエキスパートでもある。だからそういったことをすべて知る必要があったんだ。エドガー・アラン・ポーが書いたすべての本を読んだり、手に入れられるすべてのカルト・リーダーについて勉強したりする。今シーズンでは、例えば、クールエイド(盲信するという意味)のカルト・リーダーで、900人もの人たちを自殺させたジム・ジョーンズを参考にしたよ。彼は900人をジャングルの中で殺したんだ。本当にね。

 

――以前あなたは、テッド・バンディ(実在の連続殺人犯)のインタビューを聞きながらジョギングしていたと言っていましたが。

ジョギングには行くよ。僕のiPodには、たくさんのオーディオ・ファイルが入っている。ジェイ・Zを聞いているうちに、テッド・バンディのオーディオ・ファイルがかかって、彼がやったことを聞いたりすることはあるね。

――ジョー・キャロルはどんな人物だと思いますか?

彼は、表面的にはとても魅力的だったり、親切だったりする。相手は彼が人を操るのがいかに巧みかということには気づかないんだ。本当に相手を気遣ったり思いやったりしているように見えたりする。でも実際には、いかに自分がしてもらいたいことを、相手にやらせるかってことを考えているんだ。

 

――こういったキャラクターに出たり入ったりするのは簡単ですか?

簡単じゃないな。ジョー・キャロルはとてもダークな人間だ。彼は死の天使で、本当に心の底から、死はギフトだと信じているんだ。死について、誰かに与えることの出来る最も貴重なギフトだと信じているんだよ。だから、そういった不合理なことを理解しようとしたり、キャラクターとしてそのことを正当化しようとしたりするのは大変だ。7か月半~8か月もの長い間、そのキャラクターと一緒に生きていくのは、映画で誰かを6週間、7週間演じるとは違うんだ。毎日同じ人を演じるんだよ。そのことは自分の無意識に入り込んでくる。時々奇妙な夢を見たりするね。

――長期間演じなければいけない役から、どうやって解放されるバランスをとっていますか?

僕には子どもがいる。18か月の娘がね。僕はまず父親で、その次が役者で、他のすべてのことはその後なんだ。それは僕にとって一番大きな責任だよ。ジョー・キャロルとして家に戻ることは出来ない。現場を離れたら直ぐにバンに乗って、運転手と話をするんだ。僕らには素晴らしい運転手がいる。彼らが家に連れていってくれるんだけど、彼らは番組について話すことにまったく興味がない。彼らは天気のことや野球、市長のことなど、なんでも気にかかっていることを話したがるんだ。家に戻るまでに、彼らは僕のテンションをほぐしてくれて、また僕自身に戻って家に入るんだ。そして普通に歯を磨いたり、夕食を食べるんだよ。

――あなたはこの役に対して、いい人、悪い人といった見方をしたりしますか?

いいや、僕が学んだことの一つは、自分でキャラクターを判断(評価)することは決してやらないということだ。観客に判断させるんだ。自分ではその人のことを判断しない。僕は彼のことを悪人として演じることはない。彼は自分のことを悪人とは思っていないんだ。彼は自分が悪い奴だとは考えていないと思う。

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――あなたの役者としての仕事をきっかけに、もし『ザ・フォロイング』のような本物のカルトが出て来たら、どうしますか?

そういったことは起きないよ。幸運なことに、人々はとても常識があるし。全体的に見てね。ニューヨークを歩いていても、人々の僕への反応はポジティブなものしかないよ。人々は番組を楽しんでいる。彼らはこれがフィクションなのを、とてもよく分かっているね。素晴らしいストーリー・テリングということだよ。

――でももしそうなったら...。

警察に保護してもらうね。分からないけど。どうするかな?そうなってみてだね。

――あなたのキャラクターは、デクスター(『デクスター 警察官は殺人鬼』)みたいだと思いますか?

彼はある意味、デクスターよりも陰湿だよ。なぜなら彼は、形而上学的議論をするしね。彼がなにを考えているかだけど、人殺しのスリルじゃないんだ。死の哲学だよ。そのことが彼をあんなに虚無的にしているんだ。彼の頭の中で浸透する暗闇は、僕らの考えが及ぶものではない。すごくダークだ。なぜならそれは、死に対する愛情についてだからね。

――死についての話が出ましたが、もし番組の中でそのシーンがあるとしたら、どのような殺され方がいいですか?

自分がどう殺されたいか?僕は殺されたくないね。ずっと番組が続いて欲しいんだ。彼は演じる上で素晴らしいキャラクターだよ。シーズン1の後、観客が彼の複雑さを本当に楽しんでいることに気づき始めたんだ。観客は彼といるのを一瞬楽しんだかと思えば、彼に対して震え上がり、また彼といるのを楽しむといった感じなんだ。観客との共感がころころ変わったりするけど、そういった面を演じることを、観客は喜ぶんだ。僕は舞台の伝統の中で育った。イギリスではそれをしていたわけで、この世界のエゴについてはよく知っている。『リチャード3世』や『マクベス』とかね。観客は、そういった素晴らしい古典の悪人たちのことを笑っていたと思ったら、次の瞬間、彼らがしたことに震え上がったりする。だからそういったことを観客に対して演じられるのは、もの凄いことだよ。

 

――どのぐらい、ライアン(ケヴィン・ベーコン)はジョーのことを追いかけ続けることが出来ると思いますか?

分からないよ。脚本家たちが素晴らしいアイディアを思いつく限りは続くんじゃないかな。観客が楽しんでいる限りは、番組は続いていくよ。観客が楽しめなくなったら、番組はなにか派手なことをすると言ったりするけど、そういったことをするのは難しいね。彼らの興味が無くなったら、番組は終わることになるよ。今はそういったことにはなっていないけどね。

――先ほど、バンガローのセット(儀式が行われる建物の中)を見ました。カルトの新しい部分について少し話してもらえますか?

ネタバレしないように教えるよ。僕らの番組は、僕らが提供する驚き次第だからね。ジョーは、もう一つのカルトの中に入り込むことに成功し、ゆっくりだけど確実に、リンゴの中のウジのように、カルトの中を蝕んでいって、それを乗っ取り、そのカルトの目的を自分の思う方向に変えるんだ。

 

――ファンから手紙をたくさんもらいますか?「悲惨な私にアドバイスを下さい」みたいな。
(一同笑)
それはないね。先ほども言ったけど、人々はそういうことするほど愚かじゃないよ。でも一つか二つ、誰かが僕にツイートしてきたのは、「もし私が、陰惨でひどい死に方で死なないといけないとしたら、どうかジェームズ・ピュアフォイにそれをしてもらえますように」というものだった。
(一同笑)

――最後に、シーズン1と2との間で大きな違いはありますか?

かなり違うね。昨シーズンでは、ライアンとジョーによるとても力強い物語の推進力があった。ジョーが自分自身の息子を人質にし、クレアを誘拐する。それをジョーが追うという、とても強いストーリーラインだった。今回はもう少し広がった感じがする。何人か実に素晴らしい新しいキャラクターが登場する。新しいキャラクターたちは、本当に恐ろしくて不気味だ。それとジョーの仕掛ける罠は一つのストーリーだけじゃない。そこにはもっとワイルドな感じがあって、それ自体が社会の構成のような作りになっているんだ。


『ザ・フォロイング』<ファースト・シーズン>
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Photo:『ザ・フォロイング』
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