『エクスタント』真田広之さん インタビュー vol.01

スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、ハリー・ベリー主演のSFミステリー『エクスタント』。この話題作には、日本を代表する国際派俳優:真田広之氏がレギュラー出演。物語のカギを握る謎めいた日本人実業家:ヒデキ・ヤスモトを演じている。米CBSで昨年夏にオンエアされ、すでに第2シーズンの製作も決まっている本作。日本でも、今年4月4日からWOWOWで放送がスタート。その日本語吹替版で、自らの役にアフレコを行うため帰国した真田氏を直撃。作品の魅力をはじめ、ハリウッドで活動する日本人俳優として抱く思いなどについて訊いた。

――このドラマは未来の話ではありますが、現代にも通じる主題が描かれています。ご自身が考える本作の魅力とは?

「ストーリーは《50年後の未来》という設定ですが、本当に近々起こりうるテーマ、製作総指揮のスピルバーグならではのテーマを扱っていて、全てが《家族のドラマ》に集約していく。『自分や周りの人たちに同じような出来事が実際に起きたらどう対処するのか』など、家族の物語であるだけにわかりやすく身近に感じられるというか。全てのSF的要素が人間ドラマとして着地していて、《家族のドラマ》として観られるのがこの作品の特徴であり、面白さかな、と」

――本作のように「心を持ったアンドロイド(ヒューマニック)」と共存する未来については?

「科学がこれだけ急速に発展しているのを目の当たりにすると、ありうる・起こりうることだと思います。SFで描かれてきたことがどんどん現実になっているし。
特に、人間とロボットの付き合い方については倫理が問われる部分もあり、電子頭脳が意思を持てば脅威になりかねない。また、『人の意識をロボットに移植することができたら、永遠の命を得られることになるのか』とか、いろんなことにも発展していく。それは《夢》のようであり、使い方を間違えると非常に怖い世界でもある。それは武器とかも含めてですけど、発達した科学にルールが追い付かない時代がもうすでに来ていると思うんですが、そのときに制御が利かなくならないように・・・という警告も含んでいるのではないかと。そのへんはリアルに恐ろしくなりましたね。
現場で使われているテクノロジーを見るだけでも『あ、こんな時代になったのか』って。特に今回はスピルバーグのチームですから、技術に関しては最先端。現場でも『すごい時代になったな』って驚いているぐらいですから。クランクイン前よりも撮影に入ってからのほうが、ホントに未来にはそういう(ドラマで描かれているような)ことが待ってるんだろうなって信じられるようになりました」

 

――撮影現場はそんなにハイテクなんですか?

「そうですね。タブレットのデザインひとつとってみても『こんなことになってるんだ』っていう。実際に小道具として使われるものにもいろんな技術が生かされてるんでしょうね。そういう意味ではやっぱり、スピルバーグのチームがその道で世界の最先端にいて、自分がその現場でやれているってことを日々実感しながら・喜びを感じながら・驚きながらやってました」

――日本語吹替版では、ご自身が英語で演じた役に今度は日本語で声を当てることになります。同じ役を違う言語でもう一度演じることにより、視点もまた変わってくるのでは?

「映画でもテレビでも、向こうでやったものは全て自分で吹き替えることにしているので、難しいですが、少しずつやり方が見えてきたような感じがします。毎作品・毎回、発見や学ぶことが多くて。
『エクスタント』に関しては、現場で監督と相談して作ったキャラクターを日本の視聴者に届けるときに、謎に包まれた部分と明らかにする部分とを、どういうバランス・出し加減にするのか。日本語って割とはっきり意味がついてしまう。英語のほうがまだシンプルで言葉数も少ないので、ニュアンスに込めるというか。特にこういうサイエンスものは、感情を伴いながら、聞いたこともないような説明のセリフとかも出てきますから、それをどう自然にお届けするか。今回はオリジナルキャストが僕一人なので、ほかの日本の声優さんとのバランスをとりながら、視聴者が浸っている世界観にそぐいつつ、現場の息吹を吹き込む。それが一番難しくもあり、やりがいのあるところといいますか、醍醐味でもありますね」

 

■『エクスタント』WOWOWプライムにて放送決定!
<先行無料放送>
3月1日(日)よる6:30~[第一話]
<レギュラー放送>
4月4日(土)二か国語版・毎週土曜よる11:00~/字幕版・毎週水曜よる10:00~
※第一話無料放送

Photo:
真田広之
『エクスタント』
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