ディズニーの悪役の子どもが主人公のTV映画『ディセンダント』elfin'インタビュー

『眠りの森の美女』の魔女マレフィセント、『101匹わんちゃん』の悪女クルエラ・デ・ヴィル、『白雪姫』の邪悪な女王や『アラジン』の悪役ジャファーなど、ディズニーでおなじみの悪役(ディズニー・ヴィランズ)の子どもたちを描き、全米で記録的な視聴率を叩き出したTV映画『ディセンダント』。「ディセンダント」とは、英語で「子孫」を意味し、そのタイトル通りに"もしディズニー・キャラクターに子孫がいて、10代だったら?"という驚くべき発想から誕生したオリジナル作品だ。プリンセスやヒーロー、そして悪役の親子が暮らすとある王国を舞台に、悪名高き親を持つ子どもたちの心の成長や友情、自分探しがテーマとして描かれる。

本作は日本では12月にディズニー・チャンネルで独占初放送となるが、ゲスト声優として出演する美声女3人のユニット、elfin"(エルフィン)の辻美優さん、高橋美衣さん、花房里枝さんのインタビューが届いた。(以下敬称略)

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――ディズニー作品にゲスト出演が決まったと初めて聞いた時の感想は?

辻:「嘘でしょ?」って思いました。女の子や小さな子どもたちの憧れのディズニーの世界に、私が携わることができるという思いに対しても、「嘘でしょ?」の一言でした。

花房:幼い時からずっと、ディズニーの作品が本当に大好きで、その作品に携わったりすることが、夢でもあり目標でした。今回それを叶える機会を頂けて、すごく嬉しくて舞い上がるような気持ちです。

高橋:声優として声を当てるというのは、その世界に入るということなので、大好きな世界の一員になれることがすごく嬉しいです。初めてスタッフの方から聞いた時、ふいにそれを教えてもらったので、信じられなくて「えっ? 今なんて言いました?」みたいな感じでした。改めて考えてみたら本当にすごいことで、その時は信じられなかったんですけど、家に帰ってお母さんにも話して一緒に大喜びして、改めて頑張ろうと誓いましたね。

――収録をやってみて難しかったり、楽しかったことはありますか?

辻:初めてディズニー作品に携わらせて頂くということで、台本を受け取った時から家でかなり読み込んできたつもりだったのですが...。今回は白雪姫の役を頂いたんですけど、「白雪姫は、今はレポーターだから」という細かい気持ちの部分だとか、「表に見える姿はどういう姿だから、こういう風にしましょう」っていうのを、自分のイメージと映像の中の彼女がマッチしていなかった部分があったので、そこはもどかしかったですね。でも実際演じてみてすごく楽しかったし、とても勉強になりました。

花房:みゆみゆ(辻)と一緒で、練習をしてきたので、ここで頑張ろうと思ってマイクの前に立ったら、距離感とかセリフの表現の仕方とかその言葉の裏側にある感情の表現が結構難しくて、一言でも表現することは本当に難しいことなんだと思って、勉強になりましたし、これからもっと頑張ろうと改めて思いました。

高橋:難しかった点は、思っていることを全面的に出すんじゃなくて、思っているけどこういう言い方をする、ちょっと裏を読むというか考えていることを全部出すわけではないところです。1回目、2回目、3回目と教えてもらいながら徐々に作っていったんですが、それを段階を追う前に自分自身でできるようになったらなと思いました。あとは距離感が、自分が思っていたのとちょっと違ったりしたところがあったので、教えて頂くのも本当に勉強になりますが、自分で考えられる力をもっともっとつけていかなきゃなと感じました。

――実際に参加した本編を見てみて、ご自身の出来はいかがでしたか?

辻:100%の力でやったつもりだったんですけど、ほかの方の演技を見ながらの中で自分の声が聞こえた時に「もっと勉強しなきゃいけないな」と思いました。もっとその世界に溶け込めるというか、ほかの方々との中にスッと入っていけるようにならなきゃいけないなって強く感じましたね。もちろんディズニー作品に出ることができて嬉しかったし、監督さんにいろいろと教わって勉強になったのもあるんですけど、改めて自分を見つめ直すことができたのが良かったです。

花房:憧れでありずっと目標だったディズニーの作品に携わることができたのは本当に夢のようで、嬉しいという言葉だけじゃ言い表せないくらい幸せです。実際に作品を観ていてほかの方の声を聞くと「あっ、この声、ほかの作品で聞いたことある!」って気づいたり、表現方法の勉強にもなりました。現場でも勉強になることが多くて、これからもっと頑張っていかなきゃなと感じました。

高橋:収録の時に監督さんからいただいた指示を自分ができるようになるまで時間がかかってしまったので、そういうところですぐに表現できるようになりたいなと強く思いました。それと、私も100%出しきってやり終えたつもりだったんですけど、本編を観た時に「まだナチュラルさが足りないな」と思ったんです。本当にその役になりきったつもりでやっていても、自分の中で声として演じてしまっている部分があるのかなって気づくことができて。これからはナチュラルにキャラクターそのものになりきって演じられるような役者さんになりたいなと感じました。

――本作の魅力はどんなところだと思いますか?

辻:挙げていったらきりがないんですけど、まず"ハイスクール"が舞台なので、「青春」っていう意味でも「友情」っていう意味でも、友達と一緒に観て楽しめると思います。それと、劇中歌が素敵な曲ばかりなので、『ハイスクール・ミュージカル』や『キャンプ・ロック』が好きな人にはぜひ観てもらいたいです。

花房:特に好きなのは劇中歌です。ミュージカルテイストになっていて、『ハイスクール・ミュージカル』などディズニー・チャンネルのミュージカル系の作品が好きな人は絶対に好きだと思います。実際に私の友達でディズニーファンの子が、『ディセンダント』が日本でも放送されるのを知ってすごく楽しみにしていて、「放送まだなのかな」ってずっと言っているんです。それくらい魅力がいっぱいで、ディズニー好きにとってはたまらない作品ですね。それから、家族や友達のありがたみ、信じることの大切さを改めて気づくことのできる素敵な作品だと思います。

高橋:親子の関係性が描かれているんですが、特にヴィランズの4組の親子でいうと、子どもたちは親の前ではいつも悪いことをしよう、悪い部分を出そうとしているんです。だけど、ベンをはじめとするプリンスやプリンセスたちの皆と過ごしていく中で「自分がしたいのはこういうことじゃなくて、本当はいい子になりたいのかな」っていうふうに葛藤するんですけど、私自身も同じような経験がよくあるのでとても共感できました。そういうところを観てほしいですね。

辻:ほかにも、今ディズニー・ヴィランズがブームなのでヴィランズ好きな人には絶対に観てもらいたいですね。特にクルエラは、アニメとはまた違ったテイストなので、最初はちょっと違和感を覚えるかもしれないけど、最後には絶対好きになるキャラクターだと思います。あとラブストーリーが好きな人には、すごくピュアで純粋な恋愛が描かれているのでぜひ観てもらいたいです。劇中歌では、マルの恋の葛藤や、親との葛藤を歌っていたりするところも見どころですね。

――ヴィランズの中で一番お気に入りのキャラクターは?

辻:女性としてのかっこよさを持っているという意味では、私はクルエラですね。スタイルもそうですし、おしゃれに気を遣っているところもですけど、女性として一番かっこいいのは彼女だと思います。『ディセンダント』でのクルエラは、アニメ『101匹わんちゃん』や実写映画『101』のクルエラとはまた違ったテイストで、お母さん感がちょっと出ているのがすごく面白いなと思って、新たなヴィランズが見られるっていうところでは、今回のTV映画は見どころなんじゃないかなって思いました。男性キャラクターだと『ライオン・キング』のスカーが好きですね。ビジュアルもそうなんですけど、結構わかりやすい"悪"というか、自分が王になりたいという強い思いを抱いているのもいいですよね。最後にシンバにやられそうになる時、ちょっと弱気になっちゃうところもまた悪役らしくて魅力を感じます。

花房:少し前に実写映画にもなっていましたけど、私はマレフィセントですね。きっかけがあってこその悪役というところに惹かれるというか、本当はすごくいい人なんだっていう点に惹きつけられます。『眠れる森の美女』では悪役なんだけど、そこにかっこよさもあると思うんですよね。『ディセンダント』の中でも一番支配欲を持っているマレフィセントが一番かっこいいなと思っていて。この役を演じているクリスティン・チェノウェスさんも、他のドラマとかを観ている時に歌唱力もすごいって思って大好きな人なので、クリスティンさんの演じるマレフィセントも好きだし、キャラクター自体も本当に大好きです。

高橋:私は『リトル・マーメイド』のアースラが好きですね。とても"悪"だなと思うんですけど、そうなってしまったきっかけはあっただろうし、アースラの歌う曲が大好きで。アリエルをちょっとずつ追いつめていくところとかもすごく怖いんですけど、ヴィランズって自分にしかない何かを持っているというか、強い意志を持っているなと思うんです。私なんかは意志を持っていたとしてもあっちに行ったりこっちに行ったりするので、そういう意味ではすごく尊敬しますし、アースラも芯の強い女性だなと思います。こうやって考えると、すべてのヴィランズたちの生い立ちというか、過去に何があったのかをすごく知りたくなります。自分の中で勝手にストーリーを考えてしまいますね。ほかにも、フック船長はおちゃめなところがすごくかわいくて、「なんでそうなるの?」って突っ込んでしまいます。

辻:『ノートルダムの鐘』のフロローはディズニーっぽくないヴィランズかなって思いますね。あの作品自体がちょっと難しくて、小さい頃もなんとなくしか見ていなかったんです。改めて大きくなってから観てみると、「こういう意味だったんだ」と思ったし、フロローのキャラクターも「大丈夫か?」って心配になったりもするんですけど、今までのディズニー作品にはないキャラクターなので結構好きですね。

花房:『トイ・ストーリー3』のいちごの香りのするくまちゃん(ロッツォ)も悪役なんだよね?

辻:そうだね。かわいいんだけど、やってることはとても悪っていうね。『トイ・ストーリー』シリーズにはいくつか悪役は出てくるけど、憎めないキャラクターが多いですよね。

高橋:今回のヴィランズの4人みたいに、どこかに優しさを持っているんじゃないかなって思わせるところが、映画作品などを観ていて惹かれるところですね。

――皆さんはディズニー・チャンネルが好きでよくご覧になっているそうですが、ディズニー・チャンネルを選んだ理由はありますか?

辻:ディズニー・チャンネルは、子どもたちの夢が多種多様な形でいっぱい詰まったチャンネルだと思っています。アクションだったり恋愛だったり、それこそ家族のことだったりっていうのが描かれた作品が多いので、そこが世界中の人に愛されているのかなって思いますね。個人的には『キム・ポッシブル』が小さい頃大好きで、それを観たいがために学校に遅刻しそうになったことがありました。ちょうど私が小学生の頃に放送が始まって、「これ観てからじゃなきゃダメ!」って言っては「あなた遅れるわよ!」と毎朝怒られながら観ていたんですけど、それくらい好きでした。ディズニー・チャンネルで初めて観たのはその『キム・ポッシブル』でしたね。

花房:気づいたら大好きだったというか、海外の生活感とかもドラマから見て取れるし、いろんな年代の憧れるポイントをよくついてるなぁって思います。特に『シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ』はアイドルと普通の女の子の二つの顔を持っていて、このドラマがきっかけで小さい頃からそういう世界に憧れていたんです。自分の憧れがたくさん詰まったところがディズニー・チャンネルが好きな理由ですね。

高橋:本格的に観始めたのは高校生になってからだったんです。1年生の時に選択していた授業で"ミュージカル"があったんですけど、その中で先生がディズニー・チャンネルを取り入れていて、『キャンプ・ロック』や『ハイスクール・ミュージカル』を実際に皆で演じるっていうことを授業でやったんです。ディズニー作品の特徴の一つとして劇中歌が挙げられると思うんですけど、思いが溢れ出して歌になるというのがその頃から素敵だなって思うようになりました。そういうミュージカル作品や歌が大好きなので、そこから入っていきましたね。

――3人とも大好きという『ハイスクール・ミュージカル』と同じくミュージカル作品である『ディセンダント』に携わってみての感想を聞かせてください。

高橋:本当に憧れていて大好きなディズニー作品に携わることができてすごく嬉しかったです。今回ディズニー作品の中に自分が入ってどう表現したらいいのか悩みましたが、家にDVDのある『ハイスクール・ミュージカル』や『マレフィセント』を見直してディズニーの世界観を再確認してみる、ということをしました。その世界観を大事にしつつ、夢や希望に溢れたものを自分なりに表現できればと思いながら参加しました。

――最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

辻:ピュアなラブが観たい人、家族について考えたい人、それから素敵な曲に出会いたい人、あとは私と同じくヴィランズが大好きな人は、何も考えずこの映画を観てほしいなと思います。

花房:最近ではヴィランズ・ブームも来ているし、ディズニー好きにはたまらない作品だし、このキャラクターに子孫がいたらどうだったんだろうっていう誰もが一度は考えたことのある設定もそうだし、劇中歌も魅力的で、恋愛もあるし、とにかく一言では言い表せないくらいいろいろな魅力が盛りだくさんの作品です。私たちも精一杯頑張ったので、たくさんの方に楽しんでいただけたらなと思います。

高橋:ディズニー好きの人にはたまらない映画だと思います。私も観ていく中で、主人公の4人以外にもいろいろ子孫が出てきて、「こうなってたんだ」っていう発見がたくさんありました。親子の関係性だったり友情だったり、マルとベンのキュンキュンしてしまうシーンだったり、観た後に考えさせられるシーンもあるし、自分の未来は自分で切り開いていくんだということを発見してもらえるような作品だと思います。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『ディセンダント』 (C)Disney