『レヴェナント:蘇えりし者』でレオが共演を熱望した男、トム・ハーディの魅力

本年度アカデミー賞で最多12部門にノミネートされ、レオナルド・ディカプリオの主演男優賞をはじめ、監督賞・撮影賞にも輝いた『レヴェナント:蘇えりし者』。レオナルドが俳優休業宣言を撤回して出演するほど、この作品に惚れこんでいたことはすでに知られているが、彼がその共演者として英国俳優のトム・ハーディを指名し、監督に直談判までしていたことが分かった。

レオナルドが実在した伝説のハンター、ヒュー・グラスに扮した本作。19世紀アメリカの広大な未開拓の荒野を舞台に、狩猟中に瀕死の重傷を負ったヒュー・グラスは、狩猟チームの一人、ジョン・フィッツジェラルドの裏切りで置き去りにされてしまうばかりか、愛する息子を殺されてしまう。彼への復讐を果たすため、グラスは大自然の脅威の中で厳しい寒さに耐え、交戦中の部族の熾烈な襲撃を交わし、容赦ない旅を生き延びなければならない...というストーリーだ。

トムが演じるのは、復讐相手のフィッツジェラルド。クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』(2010年)ですでにレオナルドと共演していた彼は、昨年日本でも大ヒットした『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の主役として広く知られるように。イギリスで最も有名な実在の犯罪者に扮した『ブロンソン』(2008年)や『ダークナイト ライジング』(2012年)の犯罪者ベイン役では肉体を改造し、このフィッツジェラルド同様に、迫力ある悪役を作り上げた。一方、ベストセラー小説を映画化した『チャイルド44 森に消えた子供たち』(2014年)では猟奇的な連続殺人事件を追う捜査官を誠実に演じ、『Black & White/ブラック&ホワイト』(2012年)では一人の女性を争って同僚のCIAエージェントとコミカルなバトルを繰り広げるなど、幅広い役柄を演じている。

レオは、トムとの共演を熱望した理由について、「彼とは、『インセプション』の競演から本当に良い友人になったと思っている。トムは男らしい強さを表現すると同時に、誰もが共感できるもろさを表現できるんだ。あの年代の俳優では最高だね」と説明。さらに「実は、彼を起用してくれと監督に強く頼んだんだ。この作品で共演できたことは本当に嬉しいよ」とアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督に直談判したことを明かしている。

イニャリトゥ監督もそんなレオナルドの判断にすっかり賛同したようだ。「フィッツジェラルドはただの悪役とは違う。自分が生き残るために何をすべきかを考える現実主義者だ。主人公のグラスとは対極の存在で、彼のキャラクターがあってこそ物語は成立するんだ」とトムの役柄の重要性について言及するとともに、「ハーディは男らしさと強さの中に、もろさや恐怖を抱えたフィッツジェラルドを本当に巧みに表現してくれた」と鍵となるキャラクターを演じきったトムを褒めたたえた。

トムの演技はレオナルドやイニャリトゥ監督以外も魅了し、アカデミー賞では助演男優賞にノミネートされている。また、今後は『マッドマックス』の続編のほか、ノーラン監督と三たび組む歴史ドラマ『Dunkirk(原題)』、19世紀の冒険家に扮したドラマシリーズ『Taboo(原題)』などが待機している。

レオナルドだけでなくトムの演技も必見の映画『レヴェナント:蘇えりし者』は大ヒット上映中。(海外ドラマNAVI)

Photo:トム・ハーディ(『レヴェナント:蘇えりし者』)
(C) 2016 Twentieth Century Fox