第153回芥川賞受賞作で、累計発行部数が250万部を超える又吉直樹の中編小説を実写化したNetflixオリジナルドラマ『火花』。その全世界同時配信を記念し、60ヵ国の日本在住外国人75人を招いた上映イベントが6月9日(木)に都内で開催され、同作の英語字幕を担当した芸人チャド・マレーン、タレントの鈴木奈々が登壇した。
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イベントでまず、本作で描かれる漫才について知っているかを外国人ゲストたちに聞いたところ、「知っている」と答えたのは75人中たったの3人。チャドは、漫才を知らない来場者に対し、「日本のお笑いにはいろんなジャンルがあり、漫才はその一つ。僕が生まれたオーストラリアでは、例えコンビで活躍するとしても二人ともボケ役。ツッコミがおらず、見ているオーディエンスが心の中で勝手にツッコむんです。でも日本の漫才だとツッコミがいることでリズムが生まれてボケが活かされ、どこまでも拡げてボケられる。僕は15歳で初来日して日本のお笑い番組を見て日本語を勉強したけど、日本のボケとツッコミ文化の方が断然面白いと思いました」と熱弁。鈴木が「テレビで私がボケたコメントをするたびに芸人さんのツッコミに助けられているので、ツッコミがなかったら私のキャラは成立しないと思いました」と語ると、チャドは「そう、日本のツッコミって愛情なんですよね!」と返し、意気投合した。
続けてチャドは翻訳時の苦労話を披露。「例えば第1話で"おっさん?"とツッコむセリフがあるんですが、あれは"おじさん"とか"オッチャン"ではなく"おっさん"だから面白いんです。吹き替えなら声のトーンで面白く表現できるけど、字幕は尺も決まっていて難しい。結局"Old fart"という、直訳すると「古い」「オナラ」...スラングで"クソジジイ"と訳したんですが、本当に困りましたわー」と振り返った。
本作で、後輩の徳永に絶対おごらせない神谷について外国人の反応をうかがったところ、アジア圏を除く約9割が「先輩が後輩におごる文化がない」と回答。チャドも「オーストラリア人は上下関係が嫌い。人のお世話になるのも嫌で、貸し借りを嫌がるんです。だから外食したら全部割り勘、または今回は払うから次は払ってね、と順番におごり合います」と文化の違いを説明した。
最後、チャドは「このドラマは夢を見て、何かを目指す若者の物語。世界各国、誰もが共感して泣ける、明日から頑張ろう!って思える作品です」とコメント。鈴木も「きっと誰が見ても本当に感動する純粋な青春物語なので、ぜひ見てください」と、国の垣根を越えた作品の魅力を語った。
漫才の世界に身を投じた青年たちの10年を描く青春物語『火花』(全10話)は、Netflixにて日本をはじめとした世界190ヵ国で配信中。(海外ドラマNAVI)
Photo:『火花』上映イベント