本国アメリカで2001年11月よりスタートし、10年以上にわたって続く大人気シリーズとなった『24 -TWENTY FOUR-』。同作が15周年を迎えたことを記念し、生みの親であるスタッフが、各シリーズのお気に入りのエピソードを明かすとともに、製作当時の苦労やそこに秘められた思いを語っている。
コメントを寄せたのは、この4人。
●エヴァン・カッツ...シーズン3から参加し、製作総指揮・脚本を担当
●ハワード・ゴートン...全シーズンに関わり、製作総指揮・脚本を担当
●マニー・コト...シーズン5から参加し、製作総指揮・企画・脚本を担当
●ロバート・コクラン...全シーズンに関わり、製作総指揮・脚本を担当
各シリーズごとにそのコメントを紹介していこう。ただし、同記事は各シーズンのネタばれを含むのでご注意を。
■シーズン1(0:00~24:00)
(※本記事は『24』各シリーズのネタばれを含みますのでご注意ください)
<ストーリー概要>
記念すべき最初のシーズン、CTU(テロ対策ユニット)ロサンゼルス支局の捜査官ジャック・バウアーは、夜中に家を抜け出した娘キム、娘を捜していた妻のテリーの二人をテロリストに誘拐され、大統領予備選挙戦に臨むデイビッド・パーマー議員の暗殺に加担するよう脅される。ジャックを中心としたCTU、誘拐されたキムとテリー、パーマー側のいざこざといった複数の出来事がリアルタイムで進行し、スピーディーな展開と二転三転するストーリーが多くの視聴者を惹きつけた。また、ジャックの子どもを身ごもっていたテリーがCTUの裏切り者によって殺されてしまうというラストは大きな衝撃を与えた。
エヴァン・カッツ:23:00~24:00(第24話)だね。最後までよくひねられた展開、そしてテリー・バウアーの死という思い切ったラストが素晴らしい。
ハワード・ゴートン:僕のお気に入りは0:00~1:00を描いた第1話だな。(共同クリエイターの)ジョエル(・サーナウ)とロバート(・コクラン)は、リアルタイムでストーリーを展開させるというコンセプトを見事に形にしただけでなく、魅力的なキャラクターたちを作り上げた。特にジャック・バウアーは、テレビシリーズの主人公として代表的な存在となったよね。
マニー・コト:私は23:00~24:00だね。ジャックの妻が死んでしまうなんて! ショッキングで絶望的なこのシーズン最終話によって、『24』は他のドラマなら避けるようなことも描く作品という地位を手にしたんだ。
ロバート・コクラン:僕としては、やっぱり第1話を選ばないわけにはいかないな。これによってシリーズ化が決まり、リアルタイム形式を確立して、ジャック・バウアーというキャラクターを世に送り出せたんだからね。
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■シリーズ2(8:00~8:00)
<ストーリー概要>
シーズン1から18ヵ月後が舞台。大統領となったパーマーのもとにロスで核爆発が起きるという情報が届いたため、妻を亡くしたショックでCTUを休職していたジャックは現場に戻ることに。発見した核爆弾が解除できず砂漠に運んで爆発させることになった際、ジャックは自らを犠牲にしようとするが、捜査中に誤って被曝していた上司ジョージ・メイソンが代わって任務を遂行。CTUがテロリストに襲撃されるほか、ジャックは妻の仇であるニーナと再会するなど、このシーズンも目まぐるしくストーリーが展開する。
エヴァン・カッツ:22:00~23:00の第15話だね。シーズン1の時、ずっと陰でコソコソとしていたジョージ・メイスンがついに正しいことをやり遂げるんだ。あの爆発シーンも凄かった。
ハワード・ゴートン:僕は8:00~9:00(第1話)。これを選んだのは、この作品が毎回、各シーズンの第1話である課題をクリアしないといけないからなんだ。つまり、シーズンとシーズンの間に、何ヵ月も、時には1年以上も時が経っているから、メインキャラクターたちにその空白期間にどんな心境の変化があったのか、何をしていたのかを説明しなくちゃならない。さらには、これから24時間かけて描く手に汗握るようなストーリーも同時に進めていかなくちゃいけないからね。
マニー・コト:22:00~23:00の回だな。それまでは意気地がなくて清廉潔白とは言えなかったジョージ・メイソンが、飛行機を操縦して解除できない核兵器をロサンゼルス郊外の砂漠へ運び、自らの命を犠牲にして何万もの人々を救うんだ。シリーズの中でも特に素晴らしい場面の一つだと思うよ。
ロバート・コクラン:僕も22:00~23:00を選びたいね。砂漠へ核兵器を運ぶことを決断し、死ぬことを覚悟したジャックが娘のキムに別れを告げるシーンは、視聴者の多くは想像もしなかった場面だと思うから。
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■シリーズ3(13:00~13:00)
<ストーリー概要>
シーズン2から3年後が舞台。キムがCTUスタッフとして勤務する一方、ジャックは麻薬王の潜入捜査で薬物中毒に陥っている。今回の脅威は、生物兵器として改良された強力な病原菌を使ったバイオテロ。妻の仇であるニーナを含め、それまでにも何人もの命を奪ってきたジャックだが、このシーズン終盤には時間稼ぎとしてテロリストの要求を呑むことにしたパーマー大統領からの命令で、上司ライアン・シャペルを心ならずも撃ち殺すことに。
エヴァン・カッツ:テロを危惧する大統領からの命令により、ジャックが心ならずもCTUロス本部長のライアン・シャペルを処刑する6:00~7:00(第18話)だ。シャペルよりも、むしろジャックが気の毒だったね。
ハワード・ゴートン:僕も6:00~7:00だね。『24』について個人的に毎回頭を悩ませるのが、どこまでジャックを追い込むのか、ということなんだ。シャペルは決して善人じゃなかった。どちらかというとその逆だったけど、あのエピソ-ドは悲劇的な色が強かった。あと、あの回の間に劇中では夜が明けて朝になるわけだけど、これは、ジャックがもはや白日の下にはいられない、ダークサイドの存在になってしまったことの皮肉になっているんだよ。
マニー・コト:私もやっぱり6:00~7:00だな。なぜなら、実はジャックはシャペルを実際には撃っていなくて、本当は生き延びていたシャペルがスピンオフの『24: Legacy』に登場するって確信しているからね!
ロバート・コクラン:6:00~7:00の回で、バイオテロを行おうとするテロリスト相手に時間を稼ぐため、パーマー大統領から直々の命令を受けてジャックは人生において衝撃的な経験の一つ、罪のない同僚の命を奪うことを余儀なくされる。ジャックの苦悩を見事に表現したキーファーの演技は素晴らしかったね。
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■シリーズ4(7:00~7:00)
<ストーリー概要>
シーズン3から18ヵ月後が舞台。CTUを去り国防長官ヘラーの下で働いていたジャックは、彼の代理でCTUを訪れた際に長官拉致の計画を知って現場に戻ることに。冒頭の列車爆破をはじめ、大統領専用機の撃沈、遠隔操作による原子力発電所のメルトダウン(炉心溶融)といったテロ行為が次々に発生する。
エヴァン・カッツ:これは2:00~3:00(第20話)だな。ジャックは、事件に関する重大な情報を持つ人間を救おうとして、手術中だった恋人オードリーの元夫ポールのオペを中止させ、結果的にポールを死なせてしまう。オードリーと元夫が気の毒だったね。
ハワード・ゴートン:僕は12:00~13:00(第6話)。このシーズンは特に入り組んでいるんだけど、この回はオードリーと父親の国防長官ヘラーが拉致されていただけでなく、アメリカ国内の原子力発電所を遠隔操作できる装置の脅威も描かれるからね。
マニー・コト:私は23:00~24:00(第17話)を挙げたいね。この回で、盗まれたステルス機により大統領専用機が追撃されたことで、ローガン大統領というシリーズの中でも屈指のキャラクターが誕生することになったから。
ロバート・コクラン:僕も、ちょっと他とは毛色が変わっている23:00~24:00にするよ。キャンプしていた普通のカップルが、近くに大統領専用機が墜落したためにいきなり核兵器の争奪戦に巻き込まれるんだよね。
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■シリーズ5(7:00~7:00)
<ストーリー概要>
シーズン4から18ヵ月後が舞台。シリーズを通じて重要なキャラクターであったデイビッド・パーマー、元CTUのミシェル・デスラーが次々に殺され、ミシェルの夫トニー・アルメイダが重傷を負うという衝撃的なオープニングで幕を開ける。そのほかにも、空港占拠やCTUへの神経ガス攻撃など盛りだくさんのシーズンの黒幕は、現アメリカ大統領のチャールズ・ローガン。ジャックはラスト、かつて中国の領事館を襲撃したことで恨みを買っていた中国政府に拉致されてしまう。
エヴァン・カッツ:18:00~19:00(第12話)だね。CTU職員の中で愛すべきキャラだったエドガー・スタイルズが、CTUを襲ったガス攻撃によって命を落とすんだ。あのシーンは、ファンに大きな喪失感を与えたと思うよ。
ハワード・ゴートン:僕が選ぶのは7:00~8:00(第1話)。さっきも言った通り、各シーズンの第1話はそもそも重要なんだけど、この時の初回は特に気に入ってるんだ。開始5分でデイビッド・パーマーを死なせることのリスクはもちろん承知していたし、彼を演じるデニス(・ヘイスバート)とパーマー自身に別れを告げるのも簡単なことではなかった。彼は僕のご贔屓キャラの一人だしね。でも、それだけの犠牲を払ったおかげはあったと自負しているよ。これで、グレゴリー・イッツェン演じるチャールズ・ローガンのストーリーを綴れるようになったから。
マニー・コト:私は3:00~4:00(第21話)だな。ジャックの乗り込んだチャーター機が証拠隠滅のために撃墜されそうになって、『24』の制作会社のすぐ近くを通っている118号の高速道路に着陸するんだ。
ロバート・コクラン:初回の7:00~8:00だね。デイビッド・パーマーとミシェル・デスラーの二人が突然死んでしまう展開は衝撃的で、番組史上最高のシーズンの欠かせない要素だったから。
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■シリーズ6(6:00~6:00)
<ストーリー概要>
シーズン5から20ヵ月後が舞台。中国政府に監禁されていたジャックは、アメリカ政府の交渉により帰国。しかし、連れ戻されたのは、テロリストの情報を得るため、彼の身柄をあるグループに売り渡すためだった。今回は、自爆テロや小型核爆弾が登場。また、ジャックの父親、兄といったバウアー一家も姿を見せる。ジャックは最後、自分と関わったせいで拷問されて大きなショックを受けた恋人オードリーに別れを告げ、姿を消す。
エヴァン・カッツ:シーズン最終話の5:00~6:00だよ。最後、ジャックがオードリーに別れを告げるシーンは、胸が詰まりそうな場面だったね。
ハワード・ゴートン:このシーズンは批評家やファンから厳しい意見が上がったけど、ジャックをああいう状態にしたことは我々にとって大きな挑戦だったんだ。彼は多くを失って生きる屍のようになってしまい、ついには進んで自分の命を犠牲にしようとする。この中で、特に挙げるべきエピソードは思いつかないな。
マニー・コト:私は9:00~10:00(第4話)だね。アメリカ国内で、スーツケースの中に入っていた核爆弾による爆発が起きるんだ。
ロバート・コクラン:5:00~6:00の最終話。ここはジャックにとっての『カサブランカ』(1942年の名作映画)的な瞬間と言えるだろうね。彼は、愛する女性(オードリー)のためにできる最善のことは、彼女の人生から自分が去ることだと理解するんだ。
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■シリーズ7(8:00~8:00)
<ストーリー概要>
シーズン6から3年10ヵ月後、それまでのロサンゼルスに代わってワシントンD.C.が舞台。公聴会でCTU時代の強引な捜査を追及されていたジャックは、死んだはずの元同僚トニーがテロリストのもとで働いていると知らされ、捜査に乗り出す。アフリカの反政府軍を率いるベンジャミン・ジュマ将軍がホワイトハウスを襲撃。また、ジャックは生物兵器に感染するが、娘キムがドナー治療に協力することになり一命を取り止める。
エヴァン・カッツ:19:00~20:00(第12話)だね。理由は、トニー・トッド演じるサンガラの反政府軍のベンジャミン・ジュマ将軍がホワイトハウスを襲うからだよ。
ハワード・ゴートン:初回の8:00~9:00だよ。僕たちは、シーズン6の結果を受けて、大きなプレッシャーに晒されていた。まるで生きるか死ぬかの状態で、面白いストーリーを生み出そうとライタールームで重苦しい時間を過ごしたんだ。なかなか軌道に乗らなくて製作が遅れてしまった上、僕自身はノイローゼになる寸前だったよ。そういう経緯もあって、ここでもまたシリーズの初回を取り上げたい。
マニー・コト:私は19:00~20:00だな。『24』は、ホワイトハウス攻略法としてスキューバダイビングがあることを提示したわけだからね。
ロバート・コクラン:8:00~9:00だね。CTU時代の行きすぎた捜査のために公聴会にかけられることになったジャックのひるまない姿勢が見られるだけでなく、シーズン5で命を落としたはずのトニーが実は生きていて、しかもテロリストに加担していると分かるから。
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■シリーズ8(16:00~16:00)
<ストーリー概要>
シーズン7から18ヵ月後、ニューヨークが舞台。アメリカとの和平協定に臨む中東のハッサン大統領暗殺計画があると知らされたジャックは、かつて組んだ元FBIのルネ・ウォーカーとともに潜入捜査に乗り出す。しかし、テロを防ぐために自らを差し出した大統領は救えず。その後、愛し合うようになったルネが殺されたことでジャックは暴走。彼女を殺した相手を残虐な方法で殺害した上、アメリカ大統領の命令を無視して黒幕のロシア外相も手にかける。身柄を拘束されそうになり、長年右腕を務めてきたクロエ・オブライエンに助けられて国を脱出する。
エヴァン・カッツ:15:00~16:00の最終話だよ。クロエが目をそらして、ジャックを逃がすのは素晴らしいエンディングだ。ただし、これが最後ではなかったわけだけど...。
ハワード・ゴートン:僕も15:00~16:00だ。このシリーズを立ち上げるのはすごく大変だったけど、いつどうやって終わらせるかも挑戦だったよ。これはショーランナーたちにとっても脳裏に付きまとっていた考えだと思う。8度も国を救いながら、そのアメリカから逃亡者として去らなければならないというシリーズフィナーレには大満足だったね。少なくとも、この時点ではこれが最後になると思ってたんだ。
マニー・コト:やはり15:00~16:00だね。最後の瞬間(と当時は思っていたわけだけど)、クロエがジャックに別れを告げて、彼が去ったアメリカは前ほど安全ではなくなってしまうんだ。
ロバート・コクラン:僕もみんなと同じく、15:00~16:00だよ。クロエがジャックに、国外のリーダーたちに対する借りを返して、国際紛争を防ぐように伝える。そして、シーズン1開始直後から続いてきたジャックの戦いが終わり、その結果、彼は追われる者となって永遠に姿を消すんだ(実際は永遠じゃなかったけどね)。
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■リブ・アナザー・デイ(11:00~11:00)
<ストーリー概要>
シーズン8から4年後、英国ロンドンが舞台。ずっと行方をくらませていたジャックが目撃されるが、それは彼の意図したものだった。ジャックは捕らわれていたクロエ救出という目的を果たすが、アメリカ大統領となったヘラーが滞在中のロンドンではドローンを悪用したテロ計画が進行していた。ジャックは今一度、テロとの戦いに身を投じることになる。
エヴァン・カッツ:18:00~19:00(第8話)。ヘラー大統領はロンドンを救うため、テロリストであるマーゴットの要求を呑んでウェンブリースタジアムに一人で現れる。ウィリアム・ディヴェインの演技が見事だね。
マニー・コト:19:00~20:00(第9話)だな。マーゴットを捕らえたジャックは、彼女に人権の説明をしたりすることなく、突き落として殺すんだ。
ロバート・コクラン:僕は11:00~12:00(第1話)だよ。4年にわたり身を隠し続けてきたジャックが姿を目撃されるわけだけど、それには裏があるんだよね。過去に出てきたキャラクターたちが多数登場してくれて、リブート版としてフレッシュなスタートを切ることができた。
Photo:
『24 -TWENTY FOUR-』
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