悪魔が犯罪捜査で暇潰し!?『ホワイトカラー』『デクスター』に次ぐ、愛すべき問題児『LUCIFER/ルシファー』

悪魔と聞いて、あなたならどんな姿が思い浮かぶだろう? おとぎ話に出てくるような、一見人間なのにヤギや馬の足をしていたり、角や尻尾のある赤い化け物だったり、あるいは、ものすごい美男・美女だったり...。見た目には諸説あるものの、どんな悪魔にも共通点が一つある。魅力的なことだ。そりゃそうである。人を悪の道へと誘惑するのだから、容姿もしくは申し出が相手を惹きつけるものでなければ話にならない。そんな魅力にあふれた悪魔として今、全米で人気を集めているのが『LUCIFER/ルシファー』の主人公、ルシファー・モーニングスターだ。

このルシファー、一般的にイメージされる悪魔とはいろいろ違っている。地獄から現代のロサンゼルス(天使の街)へ5年前にやって来た理由はそもそも「地獄に退屈したから」だし、重度のファーザー・コンプレックスを抱えている(相手は全能の父である神なので、無理もないが)。父に課せられた役目(地獄の王として、罪人を処罰すること)が嫌になって思春期の息子よろしく飛び出し、人間世界でナイトクラブのセクシーな店長として自由気ままに暮らしている。特殊能力は、不死身の肉体と、人の後ろ暗い欲望を聞き出すこと。彼に見つめられると、パトロール警官は職権乱用の実態をばらし、夫は妻の前で浮気を告白、神父ですら人を殴りたい衝動を明かしてしまう。

そうやって人間相手にちょっとした遊びをしながら、毎晩お酒と美女と音楽に囲まれて楽しく過ごしていた彼の生活は、LAPDの刑事クロエ・デッカーと出会ったことで一変。友人が殺された現場に居合わせたことで知り合ったクロエは、秘められた欲望を聞き出すというルシファーの能力が通用しない初めての人間だった。そのことに興味を覚えた彼は、クロエのことを探るため捜査に勝手に同行。彼女の上司に取引を持ちかけ、ついにはロス警察の顧問という座まで手に入れる。とはいえ、楽しいこと、刺激的なことにしか興味がないので、事件がつまらないと思えば投げ出そうとしたりもするのだが。

 

そんな特異なキャラクターであるルシファーは、『ホワイトカラー』の天才詐欺師ニール・キャフリーや、『デクスター 〜警察官は殺人鬼』のシリアルキラー、デクスター・モーガンを彷彿とさせる。捜査に協力するかたわらでモデルや警官、判事、セラピストなどクロエ以外の女性をあっという間に魅了する様はニールのようだし、自らの殺人衝動を満たすため"必殺仕置き人"となっていたデクスターと同じく、犯罪者を追って時には私的制裁を加える理由は正義感ゆえではない。そしてニールやデクスター同様、ユーモアのセンスにあふれている。音楽プロデューサーの中年オヤジと若い美人モデルの結婚式では「不釣合いだ。彼女は金目当てだね」とバッサリ。悪魔信仰絡みの犯罪捜査で自分に捧げられた肉を見ると「病原菌がいそう」と文句をつけ、神がすることには何らかの計画があるという発言には、「なんでみんなそれがいい計画だと思うんだ」とツッコミ。傍若無人に振る舞う姿を見ていると、呆れながらも心のどこかで遠慮がないその言動に爽快感を覚えてしまうはず。

このルシファーはそもそもDCコミックスのキャラクターとして誕生した。アメコミ界の大御所ニール・ゲイマンのリクエストで、コミックスではかのデヴィッド・ボウイをモデルに、金髪の謎めいた男性として描かれている(そのオマージュとして、劇中ではルシファーのクラブにボウイのヒット曲「FAME」が流れるし、ドラマのルシファーが金髪でないことに対してツッコミも入る)。そんな主人公にボウイとはまた違った魅力を吹き込んだのは、英国出身のトム・エリス(『RUSH ~スキャンダルな外科医』『ワンス・アポン・ア・タイム』)。父親をはじめ家族に牧師が何人もいるという信心深い過程に育ったトムが悪魔を演じていることは、それこそルシファーに言わせれば「面白い皮肉」かもしれない。

 

そして、堅物ながらも有能な刑事クロエ役のローレン・ジャーマン(『シカゴ・ファイア』)、クロエの元夫で同じく刑事であるダン役のケヴィン・アレハンドロ(『トゥルーブラッド』)、ルシファーの兄弟で地獄を去った彼の代わりに地獄の門を守る天使アメナディエル役のD・B・ウッドサイド(『24 -Twenty Four-』)、用心棒メイズ(マジキーン)役のレスリー=アン・ブラント(『スパルタカス』)、ルシファーの相談に乗るセラピストのリンダ役のレイチェル・ハリス(『SUITS/スーツ』)といった共演者の存在もルシファーの魅力をさらに引き出している。

クリエイターは、女性と酒にだらしがない主人公を描いた『カリフォルニケーション』のトム・カピノス。さらに、『CSI』『コールドケース』と犯罪捜査ドラマを数多く手掛けてきたジェリー・ブラッカイマーや、『アンダーワールド』『スリーピー・ホロウ』などで超常現象ものはお手の物のレン・ワイズマンが製作総指揮を務める。

主演のトムは本作について、「見ればきっと笑顔になる」とコメントしている。ルシファーの悪魔らしく飄々としたところやズケズケとした物言い、あふれるユーモアと次第に見せ始める人への思いやり、意外な美声ぶりなどをあなたも目にすれば、その意見に同意するに違いない。

Photo:
『LUCIFER/ルシファー』
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