アメリカと日本のTVドラマの違いの1つとして挙げられるのが、パイロットの製作だ。アメリカではまず、いわゆる"お試し版"を放送し、視聴者や批評家の反応を見てシリーズ化するか決定する。ほとんどの場合はシリーズ化されても同じキャストが続投するが、時にはパイロットとシリーズで変更される場合がある。今回、英Digital Spyはそんなパイロットで切られてしまった俳優8人を紹介している。
目次
1.ジェナ・フィッシャー(『Man with a Plan(原題)』)
『ザ・オフィス』のパム・ビースリー役で知られるジェナ。彼女は、『フレンズ』のジョーイ役でブレイクしたマット・ルブラン主演の『Man with a Plan』のパイロットで彼の妻アンディ役を演じていた。しかし、相性の問題でジェナが番組を去ることになったのだ。彼女の後任を務めているのはライザ・シュナイダー(『シングルパパの育児奮闘記』)。
シリーズの評価はあまり良いとは言えないが、シーズン2への更新が決定している。
2.ステイーヴン・トボロウスキー(『バフィー〜恋する十字架〜』)
近年は『カリフォルニケーション』や、『ワンデイー家族のうたー』などで活躍しているスティーヴン。実は、人気ドラマ『バフィー』のパイロットでフルーティー校長を演じたのは彼だった。後釜に収まったのはケン・ラーナー(『NYPD BLUE 〜ニューヨーク市警15分署』)
数年後、スティーヴン本人はこの交代劇について、「僕は米ABCと2週間後に始まる別の番組のために契約していたんだ。それが『バフィー』の事と関係があったのかは今となってはわからない。でもそれでよかった。(もう一方の番組を)やれてよかったと思うんだ」と、Reddit AMAで説明した。
3.リサ・クドロー(『そりゃないぜ!? フレイジャー』)
『フレンズ』のフィービー役でおなじみのリサは、同作に出演する1年前に『フレイジャー』で主人公の同僚ロズ役を演じることが決まっていた。しかしリハーサルの時点で彼女のクビは切られ、代わりにペリ・ギルピン(『跳べ!ロックガールズ ~メダルへの誓い』)が出演することになった。
2006年にクリエイターのピーター・ケイシーになぜリサがクビになったのか尋ねたところ、「僕と、ジェームズ・バロウズ、ケルシー・グラマー(フレイジャー役)はリハーサルの3日目には、リサにはロズをうまく演じられないだろうとわかってしまったんだ。彼女の奇妙さは面白かったけど、リサが力を発揮できないでいたことで、僕たちは毎日キャラクターを書き直さなくてはいけなかったんだよ」と、答えていた。
4.ジェニファー・イーリー(『ゲーム・オブ・スローンズ』)
『ブラックリスト』でマデリーン・プラットを演じたジェニファー。彼女は大ヒットファンタジー大河『ゲーム・オブ・スローンズ』のパイロットでキャトリン・スタークを演じていたが、後に同作を去ることが発表された。
後任を務めたのはミシェル・フェアリー(『SUITS/スーツ』)で、ジェニファーのシーンはすべて撮り直しになった。ジェニファーは出演を望んでいたが、娘を出産したことで長期にわたる撮影に参加することができなくなってしまったのだという。
5.リチャード・キール(『超人ハルク』)
人気アクション映画『007』シリーズのジョーズ役で愛されているリチャード。映画での活躍が多かった彼は、もう少しでTVスターになる可能性もあった。マーベルコミックが原作で1978年〜1982年に放送された『超人ハルク』のパイロットで、デヴィッド・バナー博士役を演じていたのだ。
しかし、プロデューサーたちはただ体格が良いだけでなく筋骨たくましいハルクを求め、ビル・ビクスビー(『ヤム・ヤム・ガールズ』)が同役を務めることになった。リチャード自身も、ハルクのためのメイクやコンタクトの使用に不快感を感じていたようで、よろこんで降板したという。
6.レベッカ・ゲイハート(『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』)
大ヒット青春ドラマ『ビバリーヒルズ青春白書』でトニー役を演じるなど、TVと映画で活躍中のレベッカ。彼女は、ジョス・ウェドン(『エージェント・オブ・シールド』)が製作総指揮を務め2002年に放送されたSFアドベンチャー『ファイヤーフライ』でイナーラ役を演じるはずだった。しかし、撮影開始からわずか1日でクビになってしまった。
ウェドンによると、彼女と他のキャストの間に化学反応が足りないと感じたことがきっかけだったようだ。後任はモリーナ・バッカリン(『GOTHAM/ゴッサム』)が務め、キャスティングされたその日から撮影を始めたという。
7.リフ・リーガン(『バフィー〜恋する十字架〜』)
『バフィー』のウィローといえば、アリソン・ハニガンのハマリ役として知られているが、実は同役の第一候補は彼女ではなかった。パイロット製作当初にウィロー役を当てられたのはリフ・リーガンという女優だったが、キャスティングディレクターのマルシア・シャルマンは本作のDVD特典の中で、「ただうまくいかなかった。それで別なウィローを探したほうがいいだろうとずっと思っていたの。ウィローが持っていなければいけない資質は、女優が持つべきそれとは真逆のもの。自信がなく、シャイで控えめ。他の人なら悲しでいるように表現するところを、アリソンは喜びで表現した。それでこの役はアリソンにしかできないと思ったの」とその理由を説明していた。
リフは2000年を最後に女優の仕事はしていないが、彼女の代わりにウィローを演じたアリソンは、映画『アメリカン・パイ』シリーズや、人気TVシリーズの『ヴェロニカ・マーズ』、『ママと恋に落ちるまで』などに出演し活躍を続けている。
8.アレックス・ボースタイン(『ギルモア・ガールズ』)
アメリカの人気アニメーション『ファミリー・ガイ』のロイス役の声優としても知られるコメディアン女優のアレックス。実は、あの大ヒットファミリードラマ『ギルモア・ガールズ』で主人公ローレライの親友、スーキー役を演じるはずだったが、米FOXのコメディ番組『マッドTV!』にレギュラー出演していたため、スケジュールの調整ができずに降板してしまった。その後、アレックスに代わってスーキー役を好演したメリッサ・マッカーシーがドラマのヒットとともに大きく飛躍したことはご存知の人も多いはずだ。
残念ながら『ギルモア・ガールズ』を去ってしまったアレックスだが、その後ローレライが支配人を務めるホテルのハープ演奏者役など、複数の役で何度かゲスト出演を果たしている。
Photo:
ジェナ・フィッシャー © Izumi Hasegawa / HollywoodNewsWire.net
ステイーヴン・トボロウスキー©Jun Matsuda / www.HollywoodNewsWire.net
リサ・クドロー©Yoko Maegawa / www.HollywoodNewsWire.net
ジェニファー・イーリー©Kazuki Hirata / www.HollywoodNewsWire.net
リチャード・キール©Ima Kuroda / www.HollywoodNewsWire.net
レベッカ・ゲイハート©Rena Durham / HollywoodNewsWire.net
アレックス・ボースタイン©Izumi Hasegawa / www.HollywoodNewsWire.net