『ゲーム・オブ・スローンズ』ブラン・スターク役アイザック・ヘンプステッド=ライト直撃インタビュー

待望の第七章に突入した大人気の大河ファンタジー『ゲーム・オブ・スローンズ』でドラマの重要な鍵を握る人物の一人、ブラン・スタークを演じるアイザック・ヘンプステッド=ライトが来日。子どもの頃から人生のほぼ半分を本作とともに過ごしてきたアイザックだが、やんちゃな少年から成長していくブランを演じていく中で、自身も俳優として成長してきた手ごたえを感じている様子。作品やキャラクターについて落ち着いた語りぶりを見せながらも、時折見せる茶目っ気が印象的だ。

――『ゲーム・オブ・スローンズ』も第七章に突入し、子どもの頃から出演してきたあなたにとっては本作とともに人生の半分近い年月を過ごしてきたことになりますが、これまでを振り返ってみていかがですか?

とにかく幼い時から、まるで学校に通っているような感じで、毎年夏には撮影があったんだ。この作品は本当に自分の人生の一部だと言える。その過程で演技や自分自身について学んだし、たくさんの友人にも恵まれた。素晴らしい体験をしてきたから、来年で終わってしまったらすごく寂しくなるだろうね。

――ファンの皆さんももう終わってしまうのかという思いは強いと思います。ブランは子どもから大人へと成長する過程でかなり変化していくキャラクターですが、彼の成長を演じる上でどんなことを意識されていましたか?

最初の頃は、僕自身が本当に若くて演技について知らなかったから、12歳の子どもが単に書かれたセリフを言っているだけだったんだ。でも僕が俳優として成長していく中で、ブランという役も謎めいた、神秘的な要素が出てきて複雑なキャラクターになってきた。僕自身も意識して役に入り込んだり役を作り込んでいて、いい流れで役が複雑になっていると思う。

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――登場人物の多くが過酷な運命を背負っている本作ですが、スターク家の子どもたちは特にその傾向が強いと思います。そんな兄弟たちが一堂に会することができるかどうかも今後ひとつの見どころだと思うのですが、もし彼らが再会した場合、もしかしたらすでに再会しているのかもしれませんが、どういうものになると思いますか?

シーズン序盤で離れ離れになってしまった彼らだけど、再会できたとしてもちょっとほろ苦いものになるかもしれないね。今ではアリアは刺客で、サンサは政治的に抜け目がなくなり、ブランは木の魔法使いだから。みんなが期待しているほど楽しい再会にはならないんじゃないかな。

――本作といえば鉄の玉座争いが気になりますが、あなた自身は誰が最終的に玉座に就くと思われますか?

玉座争いというものが、物語の最後の頃には大きな問題ではなくなっていると思う。人間VSホワイト・ウォーカー、究極的な「善VS悪」という流れになっていくだろうから。ただ、個人的な希望としては、スターク家の誰かに就いてほしいね。

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――おっしゃる通り、ホワイト・ウォーカーとの戦いがどんどんクローズアップされていて、最終章に向けて第七章はそこがメインになってくると思います。それに伴って今後さらにブランの重要性が増してくると思うのですが、そのあたりについてはどうお考えですか?

あまり具体的なことは言えないけれど、ブランは今や〈三つ目の鴉〉となった。これは彼が塔から突き落とされた時からの運命だったと思う。彼は不思議な力を持っているし、ジョン・スノウの両親や、ホワイト・ウォーカーの起源についても知っているから、役割は重要になっていくだろうね。

――ブランの今後について、もしもあなたが制作側に何かリクエストできるとしたら、ブランのここを直してほしいとか、こういうシーンが欲しいといった希望はありますか?

一番の望みは、やっぱりスターク家の兄弟みんなが再会することだね。僕の勝手な願望だけど。ブラン個人については...(しばらく考え込んで)道徳的にジレンマを抱えて悩むような展開が欲しいかな。例えば、彼が弟のリコンに別行動を取らせたのは、その方が弟にとって安全だと思ったからなんだ。でも今では〈三つ目の鴉〉となっていろんなことを学んだし、ホーダーに対する失敗もあって、違う判断をしていたかもしれない。そうしたジレンマを感じるような展開があるといいね。

――この作品には実に様々な登場人物が出てきて、それぞれが濃いキャラクターですが、その中で特に興味深いのは誰ですか?

そうだな...。まずこの作品の素晴らしいところは、どのキャラクターにも興味が持てるってことなんだ。たとえそれが悪役であってもね。個人的にお気に入りなのは、ティリオン・ラニスター。彼は非常に斬新な人物だし、家族との関係も複雑だ。身内から嫌われていることに対してどう反応しているのか、外見がほかの人と違うことで周りからどう見なされているのか、といったところは興味深い。これは、現実世界にも通じると思う。人にどう接すべきかを描いているからね。それに彼は非常に頭脳的だ。暴力的だったり悪意を抱いていたりする人が多いこの作品で、頭を使って対抗する彼のような存在は新鮮だよね。

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――ブランは鉄の玉座争いとは無縁の、ちょっと特殊な立ち位置で、ずっと最果ての地にいる分、撮影では大変だったりすると思うのですが、その中で印象に残っていることは?

特に第六章ではロケが多くて天候が良くないところが多かったから大変だった。ホワイト・ウォーカーたちの間をブランが抜けていくというシーンでは採石場を雪に覆われたようにして撮ったんだけど、その地面に3フィート(約1メートル)くらいの泥がたまっていたんだ。イタリア製の革のブーツは素敵だけど防水じゃないから、寒いし濡れるしで大変だったね(笑)

――(笑)あまりブランは小奇麗には過ごせないキャラクターですよね。

(大声で)全くね(笑)

――そんなハードな撮影の合間にはどういう風に過ごされているのですか?

ようやく高校を卒業したけど、これまではオフには、とにかく追いつくために宿題を一生懸命やっていた。平日にずっと撮影をしていて、週末に宿題をこなすというスケジュールは、正直、かなりキツかったよ。あとは撮影場所のベルファストで毎週日曜にマーケットが開くから、それに行ったりしている。やることは結構あるんだ。

――撮影中のリラックス法は?

撮影が終わったら、スタッフや共演者と飲みに行くことが多いね。そしてお互いの撮影について情報交換したり、いろんな話をしたり、撮影では一緒じゃないキャストに会ったりして交流を深めている。ホテルの部屋に閉じこもったりはせず、みんな社交的なんだ。

――高校を卒業されて少し自由時間が増えたかと思いますが、本作も残り2シーズンで終わりとなる中、今後どんなことをやってみたいですか?

これがやりたい!って具体的なものがあるわけじゃないんだけど、歴史ものやファンタジーはこの7年ずっとやってきたから、何か現代を舞台にしたものがいいかな。殺人とか残虐といったものとは無縁の、もう少し軽めの作品ができればいいと思う(笑) 例えばコメディとかね。

――本作は相当ヘヴィーですものね(笑)

本当にね!(笑)

――この作品ではネタばれ対策が大変だと思います。昨年来日したアリア・スターク役のメイジー・ウィリアムズもそうでしたが、詳しいことは明かせない中で、取材は受けないといけないという状況は苦労しませんか?

とにかく注意しておくしかないよね(笑) この作品ではあまりにもいろんなことが起きるから、もうすでに放送されただろうと思う部分について話したら、まだだったってこともある。最新の第七章もそうだけど、僕らも語りたいのは山々なんだよ。僕ら自身がこの作品の大ファンだから。でも言えない。だから、全部放送された後でまた呼んでもらえればと思う(笑)

――(笑)心おきなく話せるようになったタイミングでぜひまた来てください。少し話が変わるのですが、今は日本にいらしていますが、この後でサンディエゴ・コミコンに出席されるんですよね。結構なハードスケジュールだと思うのですが、大丈夫ですか?

そうだね(笑) ロサンゼルスで行われたプレミアに出た後、すぐ日本に来て、それからまたカリフォルニアに戻るわけだから。でも、いろんな都市を訪れるのは楽しいよ。今回が僕にとって初めての来日だけど、すごく素敵な時間を過ごせている。皇居や原宿に行って、いろんな文化を楽しんでいるんだ。

――特に気に入ったところは?

皇居はすごく心が休まる場所だった。あとは浅草や明治神宮も素晴らしかったね。非常に大きな鳥居のように、これまで目にしたことがないドラマチックなアジアの建築物の数々に魅せられたよ。

――では最後に、言えないことが多々あるのは承知しているのですが、このストーリーラインには注目しておいた方がいいといった第七章の見どころを教えていただけませんか?

どんどん終末に近づく中、思ってもみなかった人たちが出会ったり手を組んだりと、それまではかけ離れていた世界が徐々に狭くなっていく。そういう意味でストーリーももっと面白くなっていくよ。

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Photo:『ゲーム・オブ・スローンズ』
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