ホラーからガールズもの、スリラー、ミリタリーと様々なジャンルがバランス良く並んだ今年のスクリーニング。良作も多く選ぶのが大変でした!
目次
■お気に入り作品BEST5
第5位 『The Bold Type』
(NBC Universal)
『SEX AND THE CITY』、『リップスティック・ジャングル』、『ゴシップガール』などNYを舞台にしたオシャレなシリーズが好きな人にはぜひともおススメしたい本作。
女性誌Cosmopolitanの元編集長ジョアンナ・コールズの半生を基にしたもので、ストーリーの中心は編集部に勤める20代の仲良し3人組。若くてやる気もあって、まさに"人生今が最高"にも見える彼女たちの日々を追っている。もちろん、仕事も恋愛も思ったようにいかないこともある。でもこのシリーズ、何が良いって嫌な人が一人も出てこない(あくまで第一話の印象だけど)。誰か一人くらい嫌われキャラがいてもいいのにと思うのだが、『プラダを着た悪魔』や『アグリー・ベティ』などと違って女編集長は若い社員にも優しく接し、親身になって話も聞いてくれる、まさに理想の上司。おまけにピンチな時に支えてくれる親友二人も同じ職場にいるなんて。
『Girls/ガールズ』のようにリアルすぎてグサっとくるドラマも大好きだけど(誤解して欲しくないのだが、『Girls』は個人的に今まで見たドラマの中でもトップに入るほどのお気に入り)、『The Bold Type』のように誰もが共感でき、スカッとできるシリーズも必要なのだ。
第4位『Channel Zero:No End House』
(NBC Universal)
『Channel Zero』はインターネット上で語られている都市伝説や怪談話を集めたCreepypastasというサイトに掲載されたスレッドをベースにしたアンソロジーシリーズの第2弾。『No End House』の本国でのプレミアは9月20日だが、その放送前に既にシーズン4までの更新が決定している。
ホラーは苦手なので自ら好んで見るジャンルではないということもあり、『No End House』が観客に与えた"嫌悪感"は見終わったあともしばらく後を引いていたことをよく覚えている。しかし、シーズン1について"『アメリカン・ホラー・ストーリー』が子ども向けに思えるほど怖い"と海外サイトに書かれているのを目にしたので、普段からホラーが好きな人ですらそう感じるのは間違いないようだ。このシーズン2では、突如として街中に現れるお化け屋敷が舞台。その中には6つの部屋があり、心理的にキツイ出来事がその部屋ごとに起きる。途中で退室せずに6番目の部屋までたどり着いた人には二度と会えなくなってしまう、というものだ。この"心理的にキツイ"というのがミソで、このシリーズの体験そのものがその一言で表現できる。それでも続きが気になってしまうのは、脚本がうまいからだろう。ちなみにクリエイターは『ハンニバル』脚本家のニック・アントスカ。
第3位『Ghosted』
(FOX)
『X-ファイル』がコメディだったら的なシリーズ。パイロット版の監督を務めたジョナサン・クリセルといえば、もともとカートゥーンネットワークのAdult Swimという大人向けアニメを放送している時間帯の番組で知られる『Tim & Eric(原題)』を手掛け、それから『サタデー・ナイト・ライブ』や、エミー賞にノミネートもされている『Baskets(原題)』(『ハングオーバー』のザック・ガリフィナーキス主演でコメディアンのルイス・C・Kがクリエイター)の脚本家として活躍している人物。コメディ好きとしては彼が関わっているというだけで見るっきゃない!と、予告編が公開された時から楽しみにしていたのだが、その期待を裏切ることなく、笑わせてくれましたー。なんせ主人公を演じるアダム・スコットとクレイグ・ロビンソンはコメディ映画には欠かせない俳優なので、この凸凹コンビのやり取りだけで一見の価値アリ。早く続きが見たい!
第2位『Reverie』
(NBC Universal)
自分だけの理想の世界が作れるVRにどっぷりハマってしまい、命が危なくなってしまった人たちを現実世界に呼び戻すというSFもの。主役のマーラを演じるのは日本でも大人気のサラ・シャヒ(『パーソン・オブ・インタレスト』『Lの世界』)で、彼女自身も実は心に大きな傷を抱えている。設定を聞いた時には、そこまで惹かれなかったのだが(普段SFはあまり見ないので)、第1話を見たら想像と全然違うー! パイロット版では最愛の妻を亡くした男性が、彼女との時を過ごしたくてVRの世界に入りっぱなしというなんとも切ないテーマ...。泣かせてくれる。きっとこの流れだと毎回様々な理由でVRに依存してしまった人たちが出てくることになると思うので、1話完結っぽい感じでも楽しめるのかなと期待大。
第1位『Me Myself &I』
(WB)
アレックスという男性の人生の14歳、40歳、65歳を同時進行で描いたコメディ。世代が違うのに同時に?!...って、わけがわからなくなりそうだなぁと思っていたのだが、それがうまい具合に繋がっていて斬新! 「子どもの時のあの出来事が、こう繋がるのねー、うまい!」というのがパイロット版の感想。一つの作品なのに、それぞれ違うジャンルのドラマのようにも感じられるのが今までのコメディにはなかったかな。子どもの時は『マルコム in the Middle』のようなファミリーもの、妻の浮気のせいで悲しみに暮れる今はまるで『トゥゲザーネス』や『マスター・オブ・ゼロ』のようなリアルさがたまらない。65歳のアレックスが人生一番楽しそうってのにも好感が持てて、今後も絶対面白くなるというのがパイロット版でバッチリ伝わってきた。
■お気に入り俳優BEST5
第5位『The Gifted』ブレア・レッドフォード
『X-MEN』の実写版シリーズ『The Gifted』でミュータントの援護活動をする地下組織のメンバーの一人を演じているブレア・レッドフォード。ブレアといえば、『新ビバリーヒルズ青春白書』シーズン3から登場したオーストラリア人のオスカーという役が印象に残っており、かれこれ7年ほど前から目をかけていたのだ。最近では『理想の夫婦の別れ方』にも出演していたが、もともと体格(と顔)がいいからか、ミュータント役、しかも地下組織に所属しているちょっと危ないヤツ的な雰囲気がピッタリでついついその姿を追ってしまう。共演者には『トゥルーブラッド』のスティーヴン・モイヤー、『パーソン・オブ・インタレスト』のエイミー・アッカーら、ドラマファンにはお馴染みの実力派がいるが、そんな彼らの存在感にも負けていないブレアに注目して欲しい!
第4位『Claws』カルーシェ・トラン
今年のスクリーニングで鑑賞した作品の中で一番ぶっ飛んでいたのがこちらの『Claws』。フロリダのネイルサロンで働く派手な女性たちの裏の顔は、マフィアのためにマネーローダリングを行っている犯罪グループ。そのサロンに新人として入ってくるのがカルーシェなのだが、ブリーチを重ねたシルバーに近いブロンドヘアー、ネオンカラーの長い爪に、ショッキングピンクのメッシュトップといった身なりで登場し、小柄ながらもその存在感がすごい。新人らしくお行儀よくなんてするわけもなく、ボスの愛人を横取りしたりと、彼女が入ったことでゴタゴタが起きる。このあと一体何をしでかして視聴者を楽しませてくれるのだろうと期待せずにはいられない。
第3位『Young Sheldon』イアン・アーミテイジ
『ビッグバン★セオリー~ギークなボクらの恋愛法則』のシェルドンの子ども時代をテーマにしたスピンオフで、主役を演じるイアン君。番組内の設定と同い年で若干9歳の子役だが、俳優活動をスタートさせた2017年だけで既に映画2本とドラマ3本(『ビッグ・リトル・ライズ ~セレブママたちの憂うつ~』、『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』)に出演済み。あの癖のあるシェルドンの子ども時代ということで、ある程度役のイメージはできても実際に演じるとなると大変だったに違いない。パイロットでもすでに大人シェルドンに繋がるちょっとした発言や行動を見ることができたので、今後はオリジナルファンをもっと楽しませてくれる演技に期待したい。
第2位『Me, Myself&I』ボビー・モナハン
コメディ好きとしては外せない『サタデー・ナイト・ライブ』で、2008年から今年5月まで9年間レギュラーメンバーを務めていたボビー。その降板の理由が、『Me, Myself&I』への出演だったようだが、思い切って卒業を決めた気持ちがわかるほどの良作だ。13歳、40歳、65歳という一人の男性の人生の中の3つの時代を描いた作品で、ボビーは妻の不倫現場を目撃し、人生最悪な時期にあった40歳の頃を演じている。アダム・サンドラー、アンディ・サムバーグ、ウィル・フェレル、ティナ・フェイなどもそうだが、SNL卒業後に主演レベルで活躍する俳優は多く、ぜひボビーにも成功して欲しい。
第1位『Rise』アウリイ・クラヴァーリョ
見事1位に輝いたのは、『Rise』のアウリイ・クラヴァーリョ。彼女の名前どこかで聞き覚えないだろうか? そう、ディズニーアニメーション映画『モアナと伝説の海』で主人公モアナの声を務めた新人女優である。NAVIでは以前から『Rise』については何度も取り上げていたため、アカデミー賞授賞式の舞台で大スターを目の前に、堂々としたパフォーマンスを披露していた16歳はどんな演技を見せてくれるのかと楽しみにしていたのだ。演劇部版『glee』とも言える本作では、決して恵まれたとは言えない家庭出身の女の子を演じており、ディズニースターのアウリイとは違った一面を見せている。
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Photo:アウリイ・クラヴァーリョ
©NYZ17/FAMOUS