『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』シーズン4、ガエル・ガルシア・ベルナル直撃インタビュー

いよいよ本日2月16日(金)から配信開始となるAmazon Prime Original(アマゾン・プライム・オリジナル)『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』シーズン4。当サイトでもお伝えしていた通り、新シーズンには日本が舞台となるエピソードが含まれるが、その撮影のために来日していたガエル・ガルシア・ベルナル(ロドリゴ役)を直撃インタビュー!

本作へ出演を決めた理由や、ロドリゴの好きな部分などたっぷりと話を伺った。

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――映画俳優として輝かしい経歴をお持ちですが、本作のどういったところに魅力を感じ出演を決めたのですか?

パソコンやタブレットで見る時代になり、今はテレビの形というのが、昔と違っているよね。僕も5年前くらいにAmazonからこの作品のコンセプトを聞いた時にすごくワクワクしたのを覚えているよ。でも、当時はまだストリーミングサービスがここまで充実していなかったから、"なんでAmazonが?"と思いながら話を聞いていたんだ。でも、その話の中で今までとは違うどこか解放されたような経験が出来るのではないかという直感を感じたんだ。

特に、ロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマン、ポール・ワイツといった人たちの才能とのコラボレーション、音楽がテーマであるという部分にもとても惹かれたよ。クラシックの世界に身に置いた指揮者の役と聞いて、絶対に楽しい体験になると思ったんだけど、実際に飛び込んでみたら本当にその通りになったんだ。

――ゴールデン・グローブ賞も受賞したヒット作ですが、どのようなところが人気につながったと思いますか?

僕自身がシリーズに関して抱いている気持ちをファンの皆さんも持っているからじゃないかな。音楽の世界にどっぷりと浸かることによって、すごくオープンになれたよ。僕にはロドリゴのように数学的に音楽を考えることはできないけれど、彼に手を引いてもらうような感じでこの世界に入ったんだ。ただ、その世界は広大だから全てを理解することはできないかもしれない。それでも、触れ合えているということを幸せだと感じているよ。きっと見ている人もそう感じているんじゃないかな。

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メキシコでの撮影中にもすごくうれしいことを言ってもらえてね。バイオリンを習っているという青年が指揮者になりたいって話してくれたんだ。その理由が、このシリーズを見たからって教えてくれてね。僕が出来るなら、彼もできるかもって思ったのかもしれないよね(笑)時に人間は大きなことにチャレンジするとき、後押しとしてインスピレーションが必要だと思うんだけれど、その子にとっては『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』がそれだったんだ。コメディだから誰もが楽しめて、それがインスピレーションになっている。そんなところがこの作品の魅力なんじゃないかな。

――おっしゃる通り、見ているだけでワクワクするシリーズですよね。劇中では天才指揮者を演じていますが、準備はどのように行ったのですか?

最初は演じるのが怖かったよ。世の中には幼少の頃から楽器を手にして精進してきた素晴らしいミュージシャンが大勢いるわけで、僕が演じるロドリゴもそういう天才的なキャラクターだ。例えば外科医なんかはよく役者は演じるけれど、彼らが実際にオペ室に立って手術をすることはできないよね。でも、音楽の場合ある程度のレベルまでであれば実際に演奏することが出来るんだ。シーズン1ではロサンジェルス・フィルハーモニックの指揮を執ったシーンもあったからね。もちろん、指揮のレッスンは受けていたけれど、その時は直感で演じたんだ。

シーズンを追うごとにどんどん音楽に対する興味も増えてきたから、和声のレッスンも終わらせたんだ。家にピアノも置いているし、音楽への理解が深まったから演奏を見ていても何が起きているかわかるようになったよ。

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僕が思う音楽の魅力の一つというのは、必ず誰もがその人なりの解釈を持てるということだと思う。有名な曲だって、聴いた人によって解釈が違って、それぞれの価値がある。僕は音楽は普遍的な言語ではないと思っている。言葉も解釈も違うわけだからね。でも、それを楽しむことによって人を一つにして、対話を生むことが出来る力を持っていると思うんだ。だから僕は音楽に飛び込むような感じで演じているよ。

――そんな天才指揮者のロドリゴですが、彼の人間性をどのように理解して演じているのですか?

天才ミュージシャンのステレオタイプというのは、みんな頭の中で想像できるよね。僕はそれを遊び心を持って演じることが出来ていると思うんだ。天才的な人って、ある分野にとっても優れている部分もあれば、ダメな部分もあって、ロドリゴも同じなわけで。シーズン4では今までロドリゴが経験してこなかった人間関係に身を置いてみようと考えるんだ。彼にとってはピザを頼むことすら冒険になるんだけど、そういうのを演じるのはとても楽しいよ。

僕にとってロドリゴはドッペルゲンガー的な存在でもあるんだ。夜になったらロドリゴに変身して、彼のように自由でいたいし、楽器を手にしてすぐに演奏をしてみたいなと思ったりもするよ。彼は非常にたくさんの側面を持ったキャラクターであるとも思っていて、自由な時もあれば悲しい時もあったり、落ち着きたいと思ったり。感情のアップダウンが多いのも演じ甲斐があるよね。僕たちには似ているところがあって、ロドリゴも同じように外国で仕事をすることがあるから、異端者のような部分では彼とかぶるんだ。

今、僕たちはみんなが平等でオープンでいるべきであるという社会に対して、本当にそうなのかな?って、疑問を持ち始めていると思うんだ。ロドリゴが最高だなと思うのは、彼はずっとその先を行っているところだよ。彼にとっては自由でいることが当たり前だし、例えば結婚なんか絶対理解できないよね。もしかしたら、もう4~5回結婚しているのかもしれない(笑)彼には道徳的に解放された部分があって、ある意味悟りを開いているというのかな。自分の自我を中心に世界が回っていると思っているから、ちょっとでも違うと「あれ?」ってなってしまうんだ。そんなところがロドリゴの好きな部分だよ。

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『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』シーズン4はAmazonプライム・ビデオにて2月16日(金)より独占配信スタート。

Photo:『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』撮影のため来日していたガエル・ガルシア・ベルナル(撮影 金子怜史)