米英だけが海外ドラマじゃない!今すぐ見たいヨーロッパドラマまとめ

日本で放送されるドラマといえば、アメリカのアクション満載の派手なシリーズを中心に、イギリスの重厚なミステリードラマ、中世の時代に戻る歴史モノやコスチュームドラマがほとんどを占めている印象がある。最近でこそ、Netflix(ネットフリックス)や、Amazonプライムといった配信サービスで世界各国のドラマも配信されるようになったが、見慣れない国のドラマと知って、ためらったりしていないだろうか? そこで今回は、英米以外のヨーロッパドラマを中心におすすめ作品をご紹介しよう。

■『THE KILLING/キリング』(デンマーク)

舞台を米ワシントン州シアトルに移した米AMCによるリメイク版『THE KILLING〜闇に眠る美少女〜』はよく目にするが、こちらはデンマーク発の本家。この作品が「北欧発のドラマ=ノルディック・ノワール」と呼ばれるきっかけになったと言っても過言ではないだろう。

2007年に現地で放送開始されて以来、熱狂的に視聴者から支持され、その人気は国民の3人に一人が視聴するというデンマーク史上最高視聴率(当時)を記録するほど! ドラマだけにとどまらず、北欧の犯罪小説の人気にも火を着けた。殺人事件を解決するまでの20日間を1日1話、全20話で描く新しい手法で、英国アカデミー賞も受賞している。

あらすじ

デンマークの首都コペンハーゲンは、歴史的建造物と豊かな自然の広がる街。デンマーク警察のサラ・ルンド刑事(ソフィー・グローベール)は、息子のマークを連れてスウェーデンの恋人の元へ移住する予定だったが、退職する日に少女の無残な死体が発見され、後任のイエン・マイヤー刑事(ソーレン・マリング)と共に捜査にあたることになる。少女の死は、家族に大きな衝撃を与えただけでなく、学校、市長選の立候補者をも巻き込んでいく。果たして、一体誰が少女を殺したのか...。

■『THE BRIDGE/ブリッジ』(スウェーデン&デンマーク)

 

ノルディック・ノワールドラマの人気を一気に高めたシリーズが、この『THE BRIDGE』。『THE KILLING』のスタッフと、スウェーデンの『刑事ヴァランダー』の脚本家という人気ドラマのスタッフが共同制作したサスペンス。よく練られたプロット、天然なのか変わっているのかわからないが、憎めない魅力的な主人公サーガに惹かれてしまう。また、北欧らしくお洒落なインテリアも素敵だ。

あらすじ

スウェーデンとデンマークとの海峡を跨ぐ国境のオーレスン橋で切断された女性の遺体が発見されるが、その遺体は体の中央で正確に国境ラインを跨ぐように置かれていた。おまけに、上半身と下半身は別人という困った事件に。スウェーデンのマルメ県警の女刑事サーガ・ノレーン(ソフィア・ヘリン)と、デンマークのコペンハーゲン警察のベテラン刑事マーティン(キム・ボドゥニア)は合同捜査をすることに。しかし、サーガはかなり変わった性格の持ち主で、常識が有るのか無いのか、掴みどころのない人物。しかし、共に事件を捜査するうちに彼女の有能さに気付き、信頼し合う名コンビとなる。果たして彼らは次々と犯行を重ねる犯人にたどり着くことは出来るのか。

■『ラ・モント』(フランス)

「猟奇殺人」をテーマにした本作。Netflixがヨーロッパのドラマシリーズの拡大を計画していますが、本作もその一つになる。若干、荒けずりのシーンがあるものの、それはご愛嬌で...。もちろん、全編フランス語だが、全6話とミニ・シリーズなのは、ヨーロッパ流だろう。主人公を演じるキャロル・ブーケの寡黙で淡々としながらも、堂々と構えた演技が光る作品。

あらすじ

「カマキリ」を意味する殺人犯ラ・モント(キャロル・ブーケ)は、25年前に8人の男を非常に猟奇的な方法で殺害した女性連続殺人鬼。彼女の被害者には、家族に虐待をしていたという共通点があった。そして25年後、ラ・モントの殺害方法をほぼ完璧に模倣した殺人が起こった。終身刑で刑務所にいるラ・モントは、警察に対して「捜査に協力したい」と持ち掛けるが、彼女の「一人息子である刑事のダミアン(フレッド・テスト)とだけ話をするという条件付きだった。 次々と起こる模倣殺人だが、ラ・モントの協力により、犯人に繋がる情報は得られるのだろうか。

■『ケーブル・ガールズ』スペイン

 

こちらも『ラ・モント』と同じく、ヨーロッパ発Netflixオリジナルドラマの一つ。ラテン系の国であるスペインのドラマは、とても新鮮。おまけに舞台は1920年代ということで、レトロなファッションを楽しむことができる。イタリアと同じく歴史的建造物が多いスペインは建造物の保存にも力を入れているためか、舞台となっているマドリードの中心部の町並みは、今とほぼ変わりないようで、行ったことのある人には見覚えのある風景が出てくるだろう。「電話のケーブル」のように複雑に絡み合う男女の愛の行方はどうなるのか。男社会で女性の権利を求めていくのは、現代に通じる事柄だろう。

あらすじ

1928年のスペイン・マドリードは、女性が自由に働くのは簡単ではない時代。リディア(ブランカ・スアレス)、マルガ(ナディア・デ・サンティアゴ)、カルロタ(アナ・フェルナンデス)、アンヘレス(マギー・シバン)は、電話交換手として勤務する女性たち。リディアは上司であるフランチェスコ(ヨン・ゴンサレス)との過去の因縁に悩み、独裁者的な夫に苦しむカルロタ、威圧的な父親から逃げたいカルロタ、田舎から出てきたアンヘレス...。まるでケーブルのように絡み合う愛と人生。働く権利と独立を求める彼女たちの愛と試練、待ち受ける苦難。彼女たちの仕事への情熱は報われるのだろうか。そして、男たちから自由を勝ち取れることはできるのか?

■『マルセイユ』フランス

 

タイトルの『マルセイユ』だけ見ると、フランス的なロマンスドラマかと思ってしまいそうだが、実は政治&権力争いのドラマ。南仏の美しい街を舞台に、政治家・移民・マフィアが絡む汚れた裏世界、市長の周囲の複雑な人間関係や恋愛事情が絡み合う。

フランスらしくエロティックなシーンも多めだが、さらりと描かれているのはさすが。ジェラール・ドパルデューの名演が光るのは、往年のフランス映画ファンには嬉しいのでは。『ハウス・オブ・カード 野望の階段』や『サバイバー 宿命の大統領』が好きな人には、楽しんでもらえるだろう。

あらすじ

ロベール・タロ(ジェラール・ドパルデュー)は、南フランスの有名な港町であるマルセイユで25年という長い期間、市長を務めている。一度は引退を宣言したものの、副市長のルーカス(ブノワ・マジメル)が選挙に出ると知り、復活を決意。マフィアとの癒着、あの手この手を使い、どちらも何とか選挙を有利に進めようとする。その裏では、タロの娘の恋愛事情や、彼の妻の不安定な精神状態と、問題は山積みである。しかし、父親を知らないルーカスが、調べを進めるにつれて、意外な事実が発覚する...。

■『刑事ジョー パリ犯罪捜査班』フランス

 

映画俳優として日本でも人気のジャン・レノが初のドラマ出演ということで話題となった刑事シリーズ。1話完結の全8話。シーズン2までの契約だったそうだが、残念ながらシーズン1で終了に。ハードボイルド路線を狙っていながら、ジョーと娘の親子関係に重点が置かれている。パリの名所でロケをしているので、美しい風景がたっぷり楽しめる。

あらすじ

パリ警視庁犯罪捜査班の刑事ジョアシャン"ジョー"・サン=クレール(通称ジョー)は、叩き上げの刑事で、仕事に関しては感が冴え渡り有能。科学捜査を頼らず、地道な捜査を行っている。しかし、家庭生活は上手くいっていない。売春婦との間に生まれた娘アデル(ハイダ・リード)とは疎遠であり、何とか親子関係を修復したいと願っている。そんなジョーが、パリの名所であるノートルダム大聖堂、エッフェル塔、コンコルド広場、オペラ座などで起こる事件を解決していく。

Photo:『THE BRIDGE/ブリッジ』 (c)2011 FILMLANCE INTERNATIONAL AB All rights reserved Netflixオリジナルドラマ『ケーブル・ガールズ』 『刑事ジョー パリ犯罪捜査班』 (c)2012-ATLANTIQUE PRODUCTIONS S.A / Stromboli Pictures / RTBF ALL RIGHTS RESERVE