法廷で弁護士姉妹が対決! 家族関係が予想外の展開を...『ザ・スプリット 離婚弁護士』

敏腕弁護士の活躍するドラマは枚挙にいとまがないが、英BBCの新作『ザ・スプリット 離婚弁護士』(原題『The Split』)は設定の妙が効いたミニドラマだ。実の姉妹である弁護士二人が、ひょんなことから一つの親権訴訟を別々のサイドに付いて弁護するという設定が目新しい。突然家族の元に戻った失踪中の父も含め、家族間のパワーバランスが法廷闘争に予想外の影響をもたらしていく。

実の姉妹が訴訟の両サイドに

離婚訴訟を専門とする敏腕弁護士ハンナ(ニコラ・ウォーカー)は、母ルース(デボラ・フィンドレイ)が指揮を執る法律事務所で働く、三姉妹の長女。しかし、ハンナに会社を継がせるという約束を母親が反故にしたことから、ハンナは事務所を退職し、自身の法律会社を設立する。それによって、母の事務所に残った次女のニーナ(アナベル・スコーリー)とは、家族でありながらライバル関係に。

ドラマを複雑化するのは、あるコメディアンから舞い込んだ親権訴訟の弁護依頼。顧客であるコメディアンを家族間で横取りする騒動の末に、長女ハンナと次女ニーナは、コメディアンとその妻を互いに対立する立場から弁護することになる。

このコメディアンと肉体関係を持ってしまうニーナ、不意に登場する三姉妹の末っ子ローズ(フィオナ・バトン)、30年の失踪を経て突然舞い戻った父オスカー(アンソニー・ヘッド)など、豊富なサブプロットも見逃せない。

生き生きとしたキャラクターが織りなす見事な会話劇

法廷モノという性質上、ドラマは会話中心の展開となるが、その巧みな脚本術は視聴者を楽しませてくれる。登場人物たちは家族や同僚など相手を選ばずジョークを飛ばし、時に口悪く罵る。結果として相手を傷つけることもあれば、ウイットに富んだトークで絆が深まるなど、人間ドラマに満ちていて飽きない。英Guardian紙は自然な触れ合いを繰り広げるキャラクターに注目し、「まさに本当の家族、友人、同僚のよう。現実世界の人々さながら」と褒め称える。ドラマのシナリオも、人生のあらゆる面倒事を凝縮したかのようで心躍ると高評価だ。

キャラクターの魅力については、英Telegraph紙も触れている。高価な服に身を包む主人公ハンナは、矛盾の塊だがそこが素晴らしい。容赦ない面を見せたかと思えば傷つきやすく、やる気に満ちていた次の瞬間には消耗しきっているなど、ころころ変わる表情で視聴者を魅了してくれる。

法律の世界にどこまで引き込めるか?

愛すべきキャラクターたちを抱える『ザ・スプリット 離婚弁護士』だが、難しい法律用語の飛び交う世界に観客を引き込むにはあと一歩何かが足りないという声も出ている。Telegraph紙は、前述のようにキャラクターの持つ引力を認めつつ、役者の力量だけでこの平凡なドラマを支えられるかは疑問だとも述べている。法律用語で埋め尽くされた脚本だけに、視聴者は追いつくことができず、何が起きているかをハンナの表情から読み取るしかないとの指摘だ。

訴訟の展開をめぐっても、観ていて楽しい要素ばかりではない。コメディアンとその妻の弁護をするエピソードについて英Independent紙は、弁護士姉妹が互いに敵対する立場から訴訟を担当する設定は面白いと評価している。しかし当事者である夫が自責の念に駆られる一幕では、その白々しさに冷めてしまったようだ。ちなみにこのコメディアンは劇中、公衆の面前で妻の性器についてジョークを飛ばしているが、このシーンは過去に見たドラマの中でも際立って不快だと記事では評している。

法律用語や極端なシーンなどにアレルギーのある人にはおすすめできないが、『ザ・スプリット 離婚弁護士』は快活なキャラクターが繰り広げる人間ドラマとしては一見の価値がある良作だ。U-NEXTにて配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ザ・スプリット 離婚弁護士』(C) Mark Johnson/Sister Pictures/BBCW/SundanceTV