デップーと行く東京観光!『デッドプール2』バスツアーをしながらライアン・レイノルズに直撃インタビュー!?

マーベル史上最も過激なヒーローとして絶大な人気を誇る"デッドプール"の最新作『デッドプール2』。その日本公開を記念したジャパンスペシャルイベントのために来日したデッドプール/ウェイド・ウィルソン役のライアン・レイノルズを直撃!

なんと今回のインタビューは「『デッドプール2』ライアン・レイノルズと行く!ドキドキ TOKYO バスツアー」と題して、ライアンと一緒にバスツアーで東京観光をしながらバスの中でインタビューするという異色の形式。主演のほか製作・脚本も手掛けたライアンが、ユニコーンのぬいぐるみを持ちながらデッドプールよろしく危険スレスレな言葉やジョークを交えて、今作の見どころや次回作、自身について語ってくれた。

(※本記事は、『デッドプール2』のネタばれを含みますのでご注意ください)

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――前作に続いて今作も世界中で大ヒットを記録していますが、デッドプールという一風変わったキャラクターがここまで人々を引きつける理由はどこにあるのでしょう?

やっぱり他のスーパーヒーローが言ったり、やったりできないことを、デッドプールは言ってもいいし、やってもいいというところだろうね。デッドプールは非常にダーティーなところもあるし、道徳的にも非常に曖昧なんだ。でもだからこそ、すごく共感を呼ぶキャラクターになっているんだと思うよ。彼はキャプテン・アメリカやスーパーマンみたいなスーパーヒーローではないけど、昨日よりはクソ野郎でないように努力はしているんだ(笑)

――ヒーローがヒーローであるという理由をどう考えていますか?

ヒーローっていうのは、自分の居心地の良いところから一歩踏み出して何かをする人のことだと考えているんだ。それがどんなに小さいことでもね。今回のデッドプールの場合は無私無欲で行動しているよね。だから、小さいことでもいいんだけど、そうした行為をするのがヒーローじゃないかな。そういう意味では、僕のヒーローとしての行為は、妻(ブレイク・ライヴリー)と一緒にメットガラ(NYで開催される世界最大規模のファッションの祭典)に行くことだね(笑)

――ライアンさんにとってのヒーローは誰ですか?

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のマイケル・J・フォックスが僕のヒーローだったし、ああいう映画が特に好きだったんだ。あとはほかの子どもたちと同じように、アーノルド・シュワルツェネッガーが好きだったね。

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――大ヒットした映画の続編はスケールアップを求めて全世界を救うような話になりがちですよね。今作ではそうなっていないことが、その"小さいこと"に表れているんでしょうか?

地球を救うとか、宇宙を守るというのはデッドプールには全くふさわしくないよね。そういうことをやる資格を持ったヒーローはほかにいっぱい存在しているから、彼らに任せた方がいいと思う。『デッドプール2』の冒頭でデッドプールがイタリアとか日本で戦っているシーンがあって、世界的レベルで活躍しているように見えると思うけど、最初は僕のアイデアだと同じ街にあるリトル・イタリーとかリトル・ジャパンみたいな場所で戦っているという設定で脚本を書いていたんだ。そうなっていないのは、監督のデヴィッド・リーチのアイデアが採用されたからなんだけどね。この映画シリーズでは、デッドプール自身のキャラクターこそがスペクタクルなんだよ。爆発する街とか、地球を襲う隕石とかじゃなくてね。だから予算はほかのスーパーヒーローものの半分で済むし、とにかく赤いコンドーム野郎の映画になっているんだよ(笑)

――ライアンさんは今作では脚本も担当していますが、お気に入りのシーンはどこですか?

一番気に入っているシーンは、デッドプールがジャガーノートと最初に戦った後に、ウェイドがブラインド・アルの家にいて、みんなが訪ねてくるシーンだよ。観客と一緒に観ていたんだけど、最初はクスクス笑い出して、そこから大きく笑い出して、ウェイドがあることをした時に大爆笑になったんだ。本当に恥知らずのデッドプールだよ(笑) そのシーンの脚本は自分が全部書いていて、お気に入りなんだ。アクション映画なのにそういうシーンに脚本として8ページも使うというのはかなりの長さだけど、観客と一緒に観ていた時に笑いの反応がだんだん大きくなっていくのが本当に嬉しかったな。それと、ポップカルチャーのジョークが入っているシーンも好きだし、クマのプーさんの話も好きだね。脚本は僕とレット・リースとポール・ワーニックの3人で書いているんだけど、レットとポールが書いているシーンも面白いよ。3人での作業はチームワークが良くて、あんまりケンカすることもなかったし、3人で一緒になって作り上げている感じがすごくしたね。

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――映画のクレジットなど今回も面白いネタ満載でしたが、どうやって考えているんですか?

FOXからクレジットのリストが送られてくるんだけど、僕はプロデューサーもしているので、プロデューサーのサイモン・キンバーグと一緒に、「メチャクチャふざけちゃおうぜ」と言っていろいろと遊んでいるんだ(笑) 例えば、バニッシャーを演じたブラッド・ピットは50番目ぐらいにクレジットされているとか、マット・デイモンはディッキー・グリーンリーフという名前でクレジットされていたりとか。マットに聞いたところ、その名前にしてくれと言われたんだ。マットが出演した『リプリー』のジュード・ロウが演じたキャラクターの名前から取っているんだよね。そのほかにも、実はジャガーノートの声やモーションキャプチャは僕がやっているんだけど、僕の名前をクレジットしないで、ジャガーノート自身が演じているということにしているんだ。

――今作もネタ満載ですが、本当はやりたかったのにいろいろな事情があってできなかったネタはあるんですか?

とにかく使えなかったネタはカタログができるほどあるよ。法的な理由でNGなものとかね(笑) ディズニーに関してかなり厳しいジョークもあったんだけど、ちょうどポストプロダクション(編集)の時期にディズニーがFOXを買収したんで、そういうジョークは全部諦めることになったんだ。僕とレットとポールはイースターエッグ(小ネタ)をちりばめるのが大好きなんだよね。この作品でも、1回観ただけじゃ分からないネタがいっぱいあるから、映画館やDVDで何度でも観てほしいね。とにかくそういうのが大好きなんで、背景の方にいろいろと隠れているのもあるし、カメオ出演も数秒だけしか出てない人がいるから、まだ気づかれていないことも結構あると思うよ。

――モリーナ・バッカリン演じるヴァネッサは非常に魅力的なウェイドのパートナーですね。

ウェイドとヴァネッサはかなり変わっていて、奇妙な関係だけど、お互いを見つけたんだ。そういった意味では完璧なコンビだね。モリーナの住所を知っているから、口説くなら教えてあげようか?(笑) モリーナとはいろんなことを相談していて、ウェイドとヴァネッサの関係にもかなり自分たちの関係を反映しているんだよ。でも、今作の全てはモリーナには語らなかったんだ。彼女が完成版を目にした時のリアクションを見たかったから。2週間前にNYで初めて上映会があったんだけど、その時に彼女は感動して泣いたと言ってくれたよ。

――『デッドプール』のテーマ曲として、1作目はWham!の「Careless Whisper」、この2作目はa-haの「Take On Me」となっていますが、どんな経緯で選曲されたのでしょう?

脚本の中に選曲を書き込んでいる場合もあれば、後で選ぶ場合もあるんだ。でも、「Take On Me」の場合はちょっと違っていて、最初に脚本に書かれていたのはOutfieldの「Your Love」だったんだよ。だけど、たまたま「Take On Me」を聞いて「これだ!」と思ったんだよね。1980年代のほかの歌でやろうかとも話し合ったりしたんだけど、これを超えるものが見つからなかったんだ。

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――すでに『デッドプール』のスピンオフとして『Xフォース(原題:X-Force)』も予定されていますが、こちらはどういったものになりそうでしょう?

今は『Xフォース』の監督ドリュー・ゴダードと一緒に脚本を練っている段階だよ。彼とは「全然違う方向に持って行こうぜ」と話し合っているんだ。かなり大きな映画になりそうだ。今までのスーパーヒーローものではやったことがないことをやりたいし、違うジャンルにも持って行きたいというようなことを話し合っている。

ここでバスは渋谷のスクランブル交差点に到着。ライアンがバスを降りた瞬間には、外国人の観光客がライアンの突然の出現に驚きの表情を浮かべるなどちょっとしたハプニングも発生。梅雨入り間近ということもあって、小雨が降る中でしたが、ライアンはスクランブル交差点を渡るなど渋谷の中心地を楽しみ、写真撮影もしていました。

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――(戻ってきたライアンに)渋谷のスクランブル交差点はどうでした?

すごくクレージーなことになるかと思ったけど、ごく普通に反対側に渡ることができたよ(笑) でも、こういうランドマークを歩けたのは良かったね。ビートルズのアビー・ロードのカバーをやりたかったけど、カメラマンが横から撮ってくれなくて、成功しなかったのが残念だね(笑) 周りの人にちょっと気づかれて、この時代だからスマホで写真を撮られてたよ。僕が子どもの頃はパッと取り出すのはライターなんたけど(笑) 傘に隠れていたのもあって、そんなに気づかれなかったんじゃないかな。

――映画でもSNSが登場するシーンが多くなり一般的になりましたが、ファンのSNSによる情報発信をどう思いますか?

ファンのツイートとかネットの書き込みはすごく読んでいるよ。僕は2004年からFOXにこの映画を作ってくれとずっと言っていたんだけど、FOXから「絶対に作らないぞ! F○CK YOU!」と反対されていたんだ(笑) でも、たまたまテストショットがリークされて、それをインターネットで観たファンがぜひ作ってくれという声を上げてくれたから、FOXはそれを無視できなくなったんだ。そのおかげで『デッドプール』が作られたんだから、感謝しかないよ。本当にファンが作ってくれたようなものだね。

――ライアンさんは今作を1456回観たとツイートされていましたが本当ですか?

本当にそのぐらい観ていると思うよ。編集を8ヵ月やって、一日3回も4回も観ているからね。ジョークが1つ必要なところに、大体10ぐらい、多い時は15ぐらいのジョークのバリエーションを撮影しているんだ。編集室でどのバージョンがいいかを選んでいくわけなんだけど、これにしようと決めて何度も観ていると、飽きてきて別のジョークに変えたりするんだよ(笑) そうすると全く別物になるんだ。そうやって進化させていく作業は本当に面白いね。

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――この後に増上寺を訪れますが、日本で他にしたいことはありますか?

仕事としては初の来日になるんだけど、以前にプライベートで日本に来たことがあって、3週間ぐらい滞在したんだ。その時は京都とか、富士山みたいな場所に行けなかったので、そういうところに行きたいな。だけど、東京という街はすごくイイよね。今はNYに住んでいるんだけど、NYと同じで東京は少し歩き回るといろんな面白いものをたくさん見ることができるよね。LAに住んでいた頃は30分ぐらい歩いても面白くなくて死んじゃうぐらいだったよ(笑)

――日本の作品で影響を受けたものはありますか?

尊敬している日本のアーティストはたくさんいるよ。日本映画だと、もちろん黒澤明監督だね。彼が残した遺産というのはとても大きいよ。まだ詳細は言えないけど、次のデッドプールのアイデアは黒澤作品の一つからヒントを得ているんだ。作家だと、一番好きなのは村上春樹さんだね。彼の影響でNYマラソンにも出場したし、「ノルウェイの森」や「海辺のカフカ」は大好きな作品だよ。

――黒澤作品に影響を受けているということは日本で撮影する可能性はありますか?

ぜひやりたいね。親友のヒュー・ジャックマンは『ウルヴァリン:SAMURAI』の時に日本で撮影したんだけど、すごく気に入っていたんだよ。でも、僕の出身地であるバンクーバーでの撮影もすごく好きなんだよね。地元での雇用という意味でも、いいことだから。ただ、『X-フォース』はインターナショナルになると思うから、世界中のいろいろなところに行くと思う。だから、日本での撮影の可能性もあるんじゃないかな。

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――今作のジョークでもダブステップの音楽ネタなどいろいろとありますが、どうやってジョークを考えているんですか?

ジョークを思いついた時にメモを取るということはしないかな。とにかくポップカルチャーが好きなんで、現代のものはもちろん、1980年代から2000年代までのものもいろいろと覚えていたりするんだ。ダブステップのネタについては「なんであんなに流行るんだろう?」と、いつも頭の中にあったんだよ(笑) あのシーンも20通りぐらいバージョンがあって、いろんなやり方を考えていたんだ。『シャークネード』のネタとか、ロングショットという変なミュータントが出てきたりというバージョンもあったんだよ。それで、たまたま僕がそのシーンで「ダブステップが好きだ」と言ったら、ケーブル役のジョシュ・ブローリンがアドリブで返してきたんだ。それに対して僕が「ダブステップが大好きなんだ」と言うのが現場で生まれたんだよ。

――ライアンさんのコメディセンスはどのように培われたのでしょう?

一番影響を受けたのは父だね。あまり面白い人ではなかったんだけど、ユーモアをよく使う人だったし、ユーモアが非常に好きだったんだ。僕は4人兄弟の末っ子で、空想をして過ごしていることが多かった。それで、何かつらい時とか、いじめられた時は、ユーモアで切り抜けるという方法を使っていたんだ。コメディとかユーモアを使って自己防衛をするというのは非常にデッドプールに通じているところがあるね。父の影響で、バスター・キートンとかハロルド・ロイドとかマルセル・マルソーのコメディを見ていたな。ジャック・ベニーなんかは今回の映画にブラインド・アル役のレスリー・アガムズと一緒に出演しているんだよ。僕自身はもう少し成長すると、ビル・マーレイ、チェビー・チェイス、エディ・マーフィのような不謹慎な笑いを繰り広げるコメディアンの真似をよくしていたね。自分のスタイルを確立するのにとにかく時間がかかって、35歳ぐらいでやっと確立できたんだ。

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――今作では、ライアンさんもデッドプールも、自身がネタにしてきた過去に決着をつけるというような展開が面白かったです。

自分をネタにするのがすごく好きで楽しいんだ。やっぱり自分のことを笑えないとね。それがまさにデッドプールらしさなんだよ。僕とデッドプールってほとんど境界線がないぐらいに重なっているところもあるからね。やり過ぎるとストーリーに集中できなくなるけど、そのメタな部分が僕は大好きだよ。

――今回にもご自身の出演作である『グリーン・ランタン』やいろいろな映画がネタになっていますが、逆にイジってほしくない自分の映画とかはありますか?

『[リミット]』『ハッピーボイス・キラー』『ワイルド・ギャンブル』だね。『あなたは私の婿になる』はサンドラ・ブロックが大好きだから気に入っている映画の一つだよ。でもやっぱり、自分のことをネタにできるというのは貴重なことだから、イジることもすごく好きでやっているよ。

――実は、私は『グリーン・ランタン』が世間から言われているほど嫌いじゃなくて、好きなんです。

マジで言ってるのか!? おい、バスを止めてくれ! もうインタビューは終了だ!!(笑)

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――(笑) 今作での『グリーン・ランタン』に関連したネタも面白かったんですけど、続編などでいつの日かデッドプールがグリーン・ランタンを受け入れるなんてことはあるんでしょうか?

それはすごく面白いアイデアだよ! 例えばデッドプールがグリーン・ランタンに命を救われたら、デッドプールは憎たらしく思うだろうな。それが実現したら君をクレジットするよ(笑)

――グリーン・ランタンだけでなく、アベンジャーズとクロスオーバーする可能性はありますか?

今のところ全くアイデアはないんだけど、デッドプールはアベンジャーズとやっていけるか心配だな。彼は口が悪くてモラルがないし、クソ野郎だからね(笑) もしかすると、アベンジャーズの一人とペアリングとか、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの一人とペアリングなんてのが実現したら、カッコイイのができるかもしれないね。でも、チームとしてデッドプールが入ると、みんなが5分以内に僕を殺そうとするんじゃないかな(笑) だけど、サノス(※本作のケーブル役であるジョシュ・ブローリンが演じる)とはぜひ共演したいね。

そしてインタビューの終了とともにライアンが大好きなヒュー・ジャックマンの『ウルヴァリン:SAMURAI』のロケ地でもある東京・芝大門にある増上寺に到着。当日は大雨の予報でしたが、『デッドプール2』に登場するドミノの幸運パワーが発動したのか、見事に雨が止むという奇跡が起きました(笑)

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東京タワーが見下ろす大殿の前では、集結したデッドプールたちがライアンをお出迎えし、『デッドプール2』大ヒット祈願のお札を持ったライアンと記念撮影。さらには、ライアンとインタビュアーの記者たちも一緒に記念撮影を行うなど、観光旅行らしい一幕もありました。

続いてライアンは境内を散歩しながら、安国殿で映画の大ヒット祈願を実施。東京観光を満喫し満足した様子で、帰路につきました。

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全世界メガヒットのクソ無責任ヒーローがド派手なカムバックを見せる『デッドプール2』(配給:20世紀フォックス映画)は6月1日(金)より全国公開中。
公式サイトはこちら

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(文/豹坂@櫻井宏充)

Photo:
『デッドプール2』
ライアン・レイノルズ
(C)2018Twentieth Century Fox Film Corporation