世界中で大ヒットした『ジュラシック・ワールド』の続編、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(配給:東宝東和)が7月13日(金)より全国ロードショーとなる。前作に続いてクレアを演じるブライス・ダラス・ハワードが約3年ぶりに来日したところを直撃! クレアの変化やオーウェンとの関係、観るたびに気になるというあるシーンの裏話も語ってくれた。
【インタビュー】ブライス・ダラス・ハワード
――『ジュラシック・パーク』にローラ・ダーンが演じたエリー・サトラー博士というキャラクターがいますが、クレアというキャラクターを演じる上で、彼女の演技を役作りの上で参考にしたりされましたか?
二人の唯一の共通点は女性だということね(笑) つまりほとんど似たところはないから、参考にはしていないわ。まずクレアは科学者ではないので、ローラの演じたエリー・サトラー博士とはそこが違う。1作目でのクレアは、ジュラシック・パークの運営を任されているという、弁護士キャラに似たキャラクターだったから、みんな初めて見た時にきっと「彼女はこの作品の悪役で、最後は恐竜に食われるんだろう」と思ったでしょうね(笑) でも物語の最後で、彼女は危機を救うという役回りだったの。本作では彼女はさらにいろいろなことを経験して人間として大きく変わっているわ。本作で初めて本当のクレアが見られる、と言えるのかもしれないわね。
――先程おっしゃったように、クレアは人間として変わっていますが、1作目と2作目との間の空白期間に何があったという風に設定されているのでしょうか? その期間にオーウェンと何があったのかも気になります。
(笑) オーウェン役のクリス(・プラット)とは事前に、1作目から2作目までの間でクレアとオーウェンの間に何が起きたのかをかなり話し合ったの。二人はおそらく莫大な保険料を受け取って、オーウェンは自分の取り分を持って森の小屋で暮らすと決め、クレアは自分の取り分を資金に恐竜保護団体(DPG)を立ち上げた。彼女は、自分が創造に加担してしまったと言える恐竜たち、生き物たちに対してすごく責任を感じているから。
面白いのが、本作で再会した当初のオーウェンとクレアが、お互いに自分が相手を捨てたと言い張っているところね。ということは、二人はちゃんと別れていなくて、もしかしたら想いは結局通じているのかもしれない。ただ、意見の相違があって、二人は別々の道を歩んでいるの。
――じゃあその後の展開に期待ですね。
ええ、楽しみに待っていて(笑)
――あなたはこれまでに何度か、『マンダレイ』(『ドックヴィル』の続編)、『ターミネーター4』といったシリーズ作で続投できなくなった元のキャストの代わりにその役を演じたことがありますが、今回は自分が演じたキャラクターをもう一度演じています。人がすでに演じたキャラクターを演じるのと比べて、やりやすかったですか?
いい質問ね。他の人が役作りしたものをインスピレーションとして参考にするのでなく、自分でキャラクターを生み出さなければいけないという差がそもそもあるわけだけど、クレアを再び演じる上で非常に興味深い挑戦だったのは、1作目の経験を経て彼女がすごく変わっているので、今回のクレアがある意味、別人みたいなキャラクターであるところね。1作目でのちょっと腐敗したというか、悪いこともあまり気にしないエグゼクティブ的なキャラクターから、今回は恐竜たちを保護するアクティビストになる。前作とでは結構な違いがあるわけだけど、それでも、"クレア"という一人の女性だということに変わりはないから、それをいかに感じてもらうかが大切なの。そんなクレアの変化を表現する上では、前作と変わらないオーウェンとの関係性が大いに助けになったわ。
――本作は、もちろん子どもから大人まで幅広く楽しめますが、観た後で考えさせられたテーマも含んでいますね。あなたがこの作品を観た後に考えさせられたこと、あるいはこの映画を通して伝えたいメッセージがあれば教えてもらえますか?
(質問をうなずきながら聞いて)まずこの映画シリーズの原作は、そもそもマイケル・クライトンが警鐘を鳴らすような形で書いているの。そして『ジュラシック・ワールド』シリーズ2作はその警鐘が鳴らされていたことが実現した姿を描いている。私たちの今の状況というのは不可能な選択を迫られている状態、"ウィンウィン"の逆で"ルーズルーズ"、つまりどちらを選んでもある意味敗者になってしまう。テクノロジーの今ある結果に対して私たちは向き合わなければいけない状況に陥っていると思うし、繰り返し何度でも向き合うべきだわ。つまり、強欲さに根差した革新がいかに悪いもので、革新というものは人間性に根差していなければならない、というメッセージね。常に大きな未来をしっかり頭に描きながら、革新、テクノロジーというものは進歩しなければいけない。そういった意味で、今だからこそより現代の世界になぞらえてみることができる作品になっていると思うわ。
――では、遺伝子操作には反対されますか?
いいえ。大いに応援したいし、受け入れるわ。ただ、なぜやるのか、その目的はきっちりと見極めたい。人間性に根差しているのかということはやはり考えたいわね。進歩やイノベーションは私も応援しているし、サポートしたいけど、同時に道徳観や倫理観、人間性を大事にしなければならない。言い換えれば、賢明に判断すべきということね。
――本作の撮影中、J・A・バヨナ監督がセリフのないシーンに音楽をかけたそうですね。
現場にあるサウンドシステムに監督が自分のスマホをつなげていて、いつでも音楽をかけられるの。リハーサルの時だけでなく、音を録る必要がないセリフなしのシーンの撮影中にも音楽をかけることによって、監督が思い描いているそのシーンのエモーション、感情、恐怖などがわかりやすく伝わったわ。流れていた曲は、やっぱり(本シリーズのテーマ曲も手掛けている)ジョン・ウィリアムズのもの、特に『ジュラシック』シリーズものが多かった。監督はほかにも、恐竜の声や足音みたいな音声データも持っていて、それを私たちが予測していない瞬間に流すから、私たちは実際に驚いて飛び上がったりしたわ。
――ところで、本作を観ていて気になったのですが、島にいる時のあなたは長袖のシャツの下にタンクトップを着ていましたが、直後では一見同じ服ながら袖のあるものを着ていますよね。これは何か意図があったのでしょうか?
(苦笑しながら)失敗したの。長袖のシャツを上に着ていたから、暑くなりすぎないように、ハワイで撮影した島のシーンでは下の服の袖をちょん切ってたのよ。そしたら下り坂を走っている場面で、上のシャツがペラーンとめくれた時にそれが見えちゃって(笑) スタッフには後で直しておいてねって言っておいたんだけど、完成版を観たら直ってなかったの。恐竜の方にお金をかけちゃったのね。目ざといわ。私も観るたびにあそこが気になってしょうがないの。
――服装でいうと、靴も変化しましたね。1作目のクレアはヒール姿が印象的でしたが、今回はブーツでだいぶ動きやすくなっているようでした。これはキャラクターの変化の象徴かと思ったのですが、そういった衣装の変化に関してご自身の意見もあったのでしょうか?
衣装に関しては、1作目から100%自分の意見を言わせてもらっているわ。そして靴は、まさにあなたが言った通りクレアのメタファーなの。彼女は本作では人生における自分のバランスをやっと見つけることができて、自分の人間性を取り戻すことができて、地に足が着いているの。それはすごく大きな変化よ。
――ところで、あなたご自身が1作目のようにヒールを履いていて恐竜に会ったらどうされますか?
恐竜に会ったらとにかく走って! そしてヒールを履いているなら、絶対につま先にずっと体重をかけ続けてね。じゃないと、ヒールがグッと泥に埋まって動けなくなって、恐竜に食べられちゃうから。ヒールを履いている時は、常に重心をつま先に置くのが鉄則よ!(笑)
クレアの様々な変化も必見の『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は、7月13日(金)より全国ロードショー。
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Photo:ブライス・ダラス・ハワード
© Kazuhiko Okuno
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
© Universal Pictures