米Amazonで最もイッキ見された『弁護士ビリー・マクブライド』、シーズン2は正義の変人vs悪の奇人

Amazon Primeオリジナル作品『弁護士ビリー・マクブライド』は、主演のビリー・ボブ・ソーントンをゴールデン・グローブ賞に導いた人気シリーズ。この作品に2年ぶりの続編が登場した。大金を手にしてなおバーに入り浸る「敏腕ダメ弁護士」のビリーが、友人のバーテンダーの頼みを断りきれず、今期再び法廷へ。友人の16歳になる息子の弁護は容易に思えたが、背後にはメキシコの麻薬組織の策略が渦巻くことが明らかになる。

■酒に溺れる弁護士、16歳の少年を護るため再び立ち上がる
シーズン1で見事な活躍を見せたビリー。しかし敏腕弁護士の姿は見る影もなく、再び酒に溺れる日々を過ごしている。金に興味のない彼は報酬金を手にしても幸せになることができず、愛車を売り払うことさえ考えている。さすがにモーテル暮らしは卒業したものの、金持ちになってなお、波打ち際で時間をつぶすことが気に入っているという変わり者。

そんな彼の元に舞い込んだ依頼は、二人の人間の殺人罪に問われている16歳の少年を弁護すること。懇意にしているバーテンダーの息子とだけあって、その身の潔白を確信している。ビリーの掛け声のもと、寄せ集めの弁護団が再び集結することとなった。被害者の片方が集団暴行魔だったことから、もう一方の白人の少年は事件の巻き添えを食らって死亡したかに思われた今回の事件。しかし、少年こそ真のターゲットであると判明した時点で様相は一変。市長選、土地デベロッパー、そして麻薬カルテルと、巨大組織の影が見え始める。

■最もイッキ見されたシリーズに、待望の続編
本作のシーズン1は、アメリカで製作されたAmazon Primeオリジナルシリーズ全てのシーズン1において、配信開始後10日以内に視聴者が全話を鑑賞したドラマの中でトップの記録を獲得したと、2017年12月に米The Wrapが報じていた。今期も驚きの事実が続々と出てくるが、その見せ方が巧いと英London Evening Standardは賞賛する。不意を衝くアクション、拷問シーン、そして腐敗した警察の描写など、見所が随所に待ち構える。

前シーズンはややむらっ気が目立った、と米Indie Wireは振り返る。それに対してシーズン2はソリッドな仕上がりになっている。物語の展開は面白く、さらなるシーズンへの更新も期待できると評価。賛否両論となるであろうエンディングも含め、驚きの連続となるストーリーが視聴者を釘付けにする。ダークなツイストも散りばめられており、特に弁護士モノのファンなら納得すること請け合いだ。

■正義も悪も、一筋縄ではいかない者ばかり
今作で注目したいのは、そのユニークなキャラクターたち。脇役ながら猟奇的なキャラクターで目を引くのは、不動産開発業者のトム・ワット(マーク・デュプラス)。ビリーが麻薬カルテルの悪を法廷で明るみに出そうとしたことから、組織のボス・ガブリエル(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)は、トムに援護を依頼する。腐敗した警察とのコネがトムの強みだ。Indie Wireは、四肢の切断を見るのが好きでたまらないという彼のおぞましい願望を紹介。切断箇所の手当てを喜んで見物するほか、自身が所有する倉庫には、目の前で実際に切断を行うための器具が。彼の歪んだ性癖は、ブドウ球菌の感染症で脚を失った姉がきっかけになっている。義足を外した姉が保湿ケアを受ける様子を見て、生涯初めての性的興奮を覚えたという、嗜虐的な性格の持ち主だ。

常識はずれという意味では、主人公ビリーも前回と変わらない変人ぶりで視聴者を楽しませてくれる。自然体の演技を披露するビリー・ボブは、本作のシーズン1で2017年にゴールデン・グローブ賞を受賞。London Evening Standardは、ボサボサの髪型で、かすれた咳をしてもタバコは辞められず、あまり社交的とも言えない、とビリーを表現。起きているのか寝ているのか区別がつかないとも言われる彼を、ビリー・ボブが雰囲気のある控えめな演技で魅せている。

正義の変人と悪の奇人が火花を散らす『弁護士ビリー・マクブライド』シーズン2は、Amazon Prime Videoで独占配信中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『弁護士ビリー・マクブライド』シーズン2
(C) Amazon Studios