【お先見】改革を推し進める医師にはタイムリミットが...『ブラックリスト』ライアン・エッゴールド主演医療ドラマ『New Amsterdam』

大人気アクション・サスペンス『ブラックリスト』と、そのスピンオフ『ブラックリスト リデンプション』のトム・キーン役で知られるライアン・エッゴールド。同シリーズでライアンのファンになった人も多いだろうが、そんな彼と『ER』を生み出した米NBCがタッグを組んだ新メディカルドラマ『New Amsterdam(原題)』が9月25日(火)よりスタートした。

放送前のトレイラーから話題性十分な本作だったが、3話目の放送を待たずしてシーズン1のフルオーダー(全22話)製作が決定したこの秋大注目のドラマ。数多くある医療ドラマの中で、またひとつ他の作品と決定的に異なる主人公が誕生した本作について、一足先にその魅力をお届けしよう。

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Break the rules. Heal the system. #TheBlacklist"s Ryan Eggold stars in @NBCNewAmsterdam, coming soon to NBC.

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本作は、実在するニューヨークのベルビュー病院元メディカル・ディレクターだったエリック・マンハイマー医師著の回顧録「Twelve Patients: Life and Death at Bellevue Hospital(12人の患者:ベルビュー病院での生と死)」を元に、アメリカで1番古い州立病院に着任したライアン演じる新メディカル・ダイレクター、マックス・グッドウィンを中心に描かれるヒューマンドラマだ。舞台は、エボラ熱患者やニューヨークのライカーズ島刑務所の囚人、そしてアメリカ合衆国大統領のような要人をも、同じ屋根の下で治療を施すことができる世界で唯一の病院。優秀で正義感溢れるマックスは、病院内のお役所仕事的な業務を一掃し、患者にとって最善の治療を施そうとする。そのためには、長年勤めた医師らの即時解雇も辞さない。人材不足、資金不足、そして過小評価されているこの病院にかつての栄光を取り戻すため、彼は現状を打破して改革を進めていくというストーリー。

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ここまで聞くと、「良くある普通の医療ドラマか」と思われるかもしれない。だが、本作は今までのそれらと一線を画す点がある。なんと主人公のマックスが癌に侵されているのだ。トレイラーで既にネタばれはしているが、病院の再構築を先急ぐマックスには、"急がなければならない理由"があったのだ。更にマックスには、病院への着任が理由で不仲になってしまった愛する妻ジョージアと、そのお腹宿った小さな命という守るべき家族がいる。だが自分の病状を妻にも言い出せないまま、患者と家族へ、静かにそして惜しみなく愛情を与えていく――。

今後ストーリーが進むにつれて、病院の立て直しと同時進行で、マックスの容態がどうなっていくのかがポイントになっていきそうだ。更に彼がどうして医師を目指したのか、またなぜこの病院での勤務に執着したのかという意外な、だが現実社会でもありそうな理由も見えてくる。一見熱血でポジティブ思考に見えるが、どこか悲しげな表情をするマックスを演じるライアンの静の演技の評価も高く、視聴者はマックスというキャラクターのどこか儚げな輝きに魅了されること間違いないだろう。

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#NewAmsterdam is on a mission to care Tuesday at 10/9c on @NBC.

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人気ドラマでは欠かせない名脇役たちも勢ぞろいする。患者思いで真っすぐなブルーム医師に、『THIS IS US』でケヴィンの演技パートナー役の女優オリビアを演じたジャネット・モンゴメリー、資金集めのためにテレビで顔を売ってばかりいるシャープ医師に、Netflixオリジナル『センス8』のアマニタ役で知られるフリーマ・アジェマン、真面目なレイノルズ医師に『ザ・ラストシップ』カールトン役のジョッコ・シムズ、心優しい精神科医フローム医師に『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』フランクリン役のタイラー・ラビーン、そして、フローム医師と親しい和み系のカプール医師に『ベッカムに恋して』『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』などで知られるベテラン俳優アヌパム・カーらが出演している。

筆者の一押し脇役は、カプール医師役のインド出身俳優アヌパムだ。現在63歳の彼はインドのみならず、アメリカやイギリスなど世界各国の映画やTVドラマ500作品以上、100演目以上の舞台に出演しており、多くの賞で受賞歴もある。インドのFilm and Television Institute of India(映画、テレビ番組製作を学ぶ大学)のトップ、チェアマンも務めている彼は、映画業界での功績を讃えられ、2016年、ビル・ゲイツ氏も受賞したことがあるインドの最高栄誉賞パドマ・ブシャン勲章をインド政府から授与されている。そんな彼の演じるカプール医師は、どこにでもいそうな愛想の良いおじいさんにも見えるが、実はどうやらある秘密と孤独を抱えているようで、今後彼のストーリーが語られるのも気になるところだ。インド訛りをわざと生かした独特のしゃべりに乗せたセリフ回しと細やかな演技からは目が離せない。世界が誇る名優ここにあり、だ。

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People can have a change of heart. Just ask Dr. Kapoor. #NewAmsterdam

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アメリカだけに限らず、人種差別や性差別が話題になることが多い昨今、「同じ人種としか結婚しない」とはっきり言うあるキャラクターがいる。肌の色にとらわれないように教育を受けているアメリカで、また、ドラマでも人種のダイバーシティーや異人種間の交際シーンが描かれることが多い中で、ある意味時代に反するこのようなセリフを耳にするのは衝撃的だがとても新鮮だ。今後、そのキャラクターの考えが変わることがあるのか、それともそれは一個人のポリシーとして変わることはないのか、サイドストーリーとはいえ非常に興味深く、注目する人も多いだろう。

勿論メディカルドラマとしてのスピード感も満載だ。里親から虐待を受けている患者、自分を透明人間だと思っている患者、強盗を働き逮捕された身重の患者など次々に運び込まれる人々への対応に追われるチームの緊迫感溢れる医療行為は、メディカルドラマファンでなくとも見入ってしまうに違いない。

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Tonight, you"ve got a full support system. Leave a if you"ll be watching #NewAmsterdam with us!

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人を救う存在である医師が、若くして大病を患っている患者でもあるという新たな形の主人公が精一杯生きる『New Amsterdam』。マックスの苗字は、グッドウィン(Goodwin)だが、果たして最後に彼は "Good Win(良い勝利)"を掴み取ることはできるのだろうか。

(文/Erina Austen)