【レビュー】『フォスター家の事情』から5年、大都会で二人の姉妹が奮闘する『Good Trouble』

米Freeformの贈る新作ドラマチック・コメディ『Good Trouble(原題)』は、昨年のシーズン5を最後に終了した『フォスター家の事情』のスピンオフ。フォスター家の問題児だったキャリーとマリアナの姉妹は、5年の時を経て立派に成長。惜しまれつつも完結した本編に代わり、一家を巣立った姉妹の可笑しくも切ない日々を追う。アメリカでは1月上旬から放送が始まっている。

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♦フォスター家を離れ、憧れのロスへ
本編の世界から5年が経ち、二人の養子だった姉妹のキャリー(マイア・ミッチェル)とマリアナ(シエラ・ラミレス)はそれぞれ、ロー・スクールと名門大学であるMIT(マサチューセッツ工科大学)を卒業。故郷のサンディエゴを離れ、ロサンゼルスに意気揚々と進出する。几帳面なキャリーは裁判所の書記官として、鉄砲玉のようなマリアナはITスタートアップの技術者として採用され、出だしは好調。

しかし、マリアナが二人のために見つけてきたアパートは、他の20人以上のアーティストと共同生活するシェアハウスという珍しい物件。キャリーは彼女に連れられ仕方なく入居するが、プライバシーのない共同生活と埃の舞う屋根裏の居住スペースには閉口。さらに悪いことに、彼女たちの住むロフトは空き巣のターゲットになってしまう。一切の家財を持ち去られて焦ったキャリーとマリアナは、なりふり構わず近所のリサイクル・ショップに駆け込む羽目に。

仕事で成功し、恋を見つけ、誰もが憧れるような人生を送るのだという意気込みとは裏腹に、ロスの片隅で現実の壁にぶち当たる彼女たち。毎回散々な目に遭いながらも決してへこたれない二人が、不思議な高揚感を与えてくれるようなシリーズだ。

♦Z世代のはつらつとしたムード
キャリーとマリアナは、2000年を中心とする10年間に生まれたいわゆる「Z世代」の若者たち。仲間とのコミュニケーションを重視し、物事の本質に敏感な世代と言われている。そんな活気に満ちたZ世代の、若々しく、サイテーで、それでいて楽しさに溢れた毎日を描いた作品だ、と米Hollywood Reporterは表現。この世代の備えるエネルギッシュなムードを捉えながら、数々の大失態をコミカルに映し出す。いつも凛々しいツッコミ役のキャリーと陽気なマリアナの二人は、相性も抜群。仕事の困難も助け合うというまさに理想的な姉妹の絆は、本作のストーリーの中心軸だ。

本編に親しんだ視聴者は、二人の成長ぶりに感慨深い思いがあるだろう。米Vultureは、『フォスター家の事情』でただただトラブル・メーカーだった二人は、今やバーでひとときを過ごし、職場で膨大な作業をこなし、ときに目のやり場に困るようなベッド・シーンまで繰り広げると表する。緊張感と艶かしさは本編以上に進化しており、スピンオフの枠を超えたクオリティは必見だ。

♦ドラマを盛り上げる仲間たち
主役二人の他にも、ドラマの世界には躍動感に満ちたキャラクターが次々と登場する。キャリーとマリアナが暮らすシェアハウスに住む20人以上のアーティスト。小洒落た空間で二人が出会う個性的なメンバーをHollywood Reporterは紹介している。アジア系のアリス(シェリー・コーラ)はレズビアンで、ケンカ別れした元カノをまだ忘れることができない。ゲール(トミー・マルティネス)はバイセクシャルで少しネクラな彫刻家。他にSNSの女王を気取るダヴャ(エマ・ハントン)など、クセのあるメンバーが盛りだくさん。明日の見えない日々のなかで、それぞれの時間を生き抜くアーティストたちが輝いている。

こうした仲間たちのおかげで、本編『フォスター家の事情』とは一味違ったドラマになっている、と米Vultureは述べる。ロスで成功を夢見るアーティスト集団のところへ転がり込んだキャリーとマリアナは、職場でも困難に見舞われる。本編よりもカオスとエッジの効いた世界を、本編でフォスター家から学んだ不屈の魂で生き抜く二人の姿がたくましい。

パワフルな二人が明日への気力をくれる『Good Trouble』は、米Disney傘下のFreeformで放送中。(海外ドラマNAVI)

Photo:

『Good Trouble』
©Freeform/Gus&Lo